意にかさらにきこえずといはれきさて又三代実録三十三の巻に下符 相模国令採進槻弓百枚云々信濃国梓弓二百枚但馬国檀 弓百枚備中国梓弓百枚枚字三代実録の本には皆枝とあれども弓を百枚とはいふべくもおほえずこは誤字 にて枚なるべけれは改つ といふ事見えたり昔は国々よりしなしなの弓を奉ることなりき といひていなんとしければ女 あづさ弓ひけどひかねど昔より心は君によりにしものを さきの歌をうけてこなたにも昔よりとにもかくにも心は君によ りにしものを見すてていなんとし給ふはうらめしといへる也とにもか くにもと云意を弓にたとへてひけどひかねどとは云也よるも弓の 縁なり男の歌にしなしなのうき事ありしよしを弓のうへにて いへるかへしもげにさやうありし時とにもかくにも心を君によ せてはなれざりしと云事を又弓のうへにていへる也諸注此歌の 心詞をときえず古意はことにわろし といひけれど男かへりにけり女いとかなしくてしりにたちておひ ゆけどえおひつかでし水のある所にふしにけりそこなる岩に およびのちしてかきつけける しりにたちてはうしろにたちてといふ意也日本書紀に背揮と あるを見てしるべし同書に随語の二字をしりにたちてとよ めるもおなじえおひつかでとはおひてとどめんとしつれど女のあ ゆみは男にはおよばざれば也し水のある所とは臆断におひゆく