いたしけれど [朱も]、 いまださるわざも (世本さるいやしきわざも)、 ならはざりければ、 うへのきぬの、 かたを、 はりさきて (世本やりて) げり、 せんかたもなくて、 (世本たゞ二字有) なきにのみ (世本のみ二字ナシ)、 なきけり、 これを、 かの、 あてなる男、 きゝて、 いと心ぐるしかりければ、 いときよげなりける (世本きよらなる、 ろうさうの)、 四位の、 うへのきぬ、 たゝかた時に、 見いでゝ (世本をみいでゝやるとて)、 〈古今〉むらさきのいろこきときはめもはるに 野なる草木そわかれさりける むさし野の、 心なるへし 第四十 昔、 男、 色ごのみと、 しるく、 女をあひしれり (世本いへり) け○り○、 (世本されど三字有) にくゝも (世本も字ナシ) あらざりけれど (世本はた、 あらざりけり、 しばくいきけれど)、 なをいと、 うたがひ (世本うたかひ四字ナシ)、 うしろめたなし、 (世本めたくさり とて、 いかで、 はた、 えあるまじかりけり、 猶はた、 えあらざりける中なりければ) そ○の○人○ [朱うへにいと] 、 たゝにはあらざりけり、 ふつか、 み○か○、 ばかり、 いかで (世本さはることありてえいかで)、 かくなん 〈新古〉いてゝゆく (世本こし) あと [朱みち一本] たにいまたかはら○ [朱か] ぬに (世本しを) たかかよひちといまはなるらん ものうたがはしさに、 よめるなりけり 第四十一 昔、 かや (イかやう) のみこと申す、 みこおはしましけり、 [頭注 世本傍注 賀陽親王 桓武第七母夫人多治比 氏三品治部卿貞観十 年十月八日薨〈七十八〉] 其みこ、 女を (世本おもほしめして) いとかしこく○ [朱う]、 めしつかひ (世本めぐみ、 つかう) たまひけり (世本けるを人なまめきて)、 いとなまめきて、 有けるを、 わかき人はゆるさゞりけり (世本我のみと思ひけるを又人きゝつけて文やる)、 我のみと思ひ けるを、 又人きゝつけて文やる、 郭公の、 かたをつくりて (世本かきて) ほとゝきすなかなく里のあまたあれは なをうとまれぬおもふものから [頭注 ほとときす――古今 第三亦猿丸大夫集に あり其人不知] といへり [朱けり]、 この女けしきを、 とりて 名のみたつしてのたおさはけさそなく いほりあまたと [朱に] うとまれぬれは