[公事根元]今より四百五十余年前の書「十一月下の午日蔵人御ぐしのけづりくづを玉はりて主殿寮に
むかひてやくなり此外ことなる事なし」とあり是帝あるひは皇子皇女の御髪
の梳屑なるべし是をやきすつるはいか>゛にほもはるれど髪の毛は多年を歴されば消
ざる物ゆゑ灰となして埋もし流しもしたるなるべし今俗に剪たる爪火に入れば爪の
ぬし気ちがひになるといひはそらことなりいかんとなれば毛も爪も気脉のあまりなり
さる事らばいかで御髪を焼くべき
十九髪を洗ふをすますいふ古言
今物を洗ふをすますといふ女詞いと古し[うつほ物語]楼の上の巻下の上「七月七日・いぬ宮
御ぐしすまさせ玉ふとて・ろうの南なる山ゐのしりひきたるに泉を引たる庭・内の細き流れはまゆう

かど丸のしやうぎ水のうへにたて>・ないしのかみ・もろともにほはす・それもすまし髪をためり・人も
みへぬかたなれどほふせふ・ひかせ・玉へり」とありたればすますといふ詞は八九百年前より
ありしをしるべし七月七日に油の物をあらへばよくほつる事妙なるゆゑほのれこ>ろみていふ髪を洗ひ