臨床心理学領域

反すう思考の臨床心理学的検討と支援

梅垣 佑介(うめがき ゆうすけ)

研究概要

自分自身の否定的な側面や感情、症状について繰り返しネガティブに考えてしまう思考を反すう思考と呼びます。反すう思考は、困難な外的状況や内的な感情を回避する機能を持ち、結果としてうつ病や不安症といった精神的不健康につながることが報告されています。
梅垣研究室では、反すうをターゲットとした臨床心理学的支援法である反すう焦点化認知行動療法に注目し、創始者である英国University of ExeterのEdward Watkins教授の協力のもと、日本での展開を進めています。精神科医療領域や臨床心理学領域で対面・個別支援を実施している他、反すう・心配傾向を示す成人を対象とした自助プログラムを用いたうつ・不安の予防的研究も行っています。また、日本人における反すう思考の特徴について、調査研究を実施しています。

アピールポイント

反すう思考は誰しもに見られる、困難な事象に対する自然な反応です。ですが、それが過剰になった時やバランスを崩した時に、精神的不健康につながると考えられています。反すうをターゲットにした支援法や予防法は、多くの人にメリットをもたらす可能性があると考えられます。
うつ病や不安症は、精神障害の中でも有病率が比較的高く、一般臨床やコミュニティ・サンプルにおいてもしばしばみられる精神障害です。これらに共通するプロセスである反すうをターゲットとすることで、うつ病や不安症を改善できたり発症を予防できたりすることが分かれば、多くの人が享受できるとても大きな発見になると考えています。

掲載日:2022/12/3 更新日:2022/12/3