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高田 将志 TAKADA Masashi (准教授)
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研究課題
  1. 第四系のTL・OSL・ESR年代測定,地形と氷河からみた第四紀の環境変動

  2. これまで年代資料の得にくかった各種の試料を対象に,TL・OSL・ESR法を駆使した新しい年代データの獲得を目指し,それらを元に第四紀の環境変動像を明らかにする.
主な研究業績
  1. Takada, M., Tani, A., Miura, H., Moriwaki, K. and Nagatomo T.(2003): ESR dating of fossil shells in the Lutzow-Holm Bay region, East Antarctica. Quaternary Science Review, 22: pp. 1323-1328 (2003).

  2. 「分布図と資料ー近畿の活断層」(岡田篤正・東郷正美・高田将志ら7名,『近畿の活断層』,岡田篤正・東郷正美編,東京大学出版会,66-395頁,2000年)

  3. 「地形の形成年代」(高田将志,『山地の地形工学』,日本応用地質学会編,古今書院,19-34頁,2000)

  4. 「(4)越後山脈の周氷河斜面と雪窪(5)山地解体の諸相.」(高田将志,『日本の地形4 関東・伊豆小笠原』,貝塚爽平ほか編,東京大学出版会,45-48,2000)

  5. 「Optically stimulated luminescence (OSL) study of synthetic stishovite」(*Tani, A., Yamanaka, C., TAKADA M. ら6名(*大阪大学),Radiation Measurement, 32, 473-477, 1999)

  6. 「第四紀試料のルミネッセンス年代測定」(高田将志・長友恒人,月刊地球,号外No.26,108-118頁,1999)

  7. 「Quaternary landform and geochronology in Tenerife, the Canary Islands」(Takada M., In: Anaga Cloud Forest, ed. by M. Ohsawa, W. Wildpret & Marcelino A., pp.39-54, 1999)

  8. 「Radiocarbon and thermoluminescence ages in the Mt. Riiser-Larsen area, Enderby Land, East Antarctica」(Takada M., Miura H. & Zwartz D.P.., Polar Geoscience Research, no.11, 239-248, 1998)

  9. 「Holocene lake sediments and Sea-level change at Mt. Riiser-Larsen」(*Zwartz D.P., Miura H. & Takada M.〈*Utrecht University〉, Polar Geoscience Research no.11, pp.249-259, 1998)

  10. 「山の地形」(高田将志・清水長正,『山の地図と地形』,田代 博,藤本一美,高田将志ら4名,山と渓谷社,105-246頁,1996)

  11. 「ESR and TL Dating of Quaternary Sediments in the Lutzow-Holm Bay, East Antarctica」(Takada M., Hayashi M., & 3 others, Proc. NIPR Symp. Antarct. Geosci., 8,230-238,1995)

  12. 「堆積物のOSL年代測定法ー人類紀の新しい年代測定法の現状と課題ー」(高田将志,奈良女子大学文学部研究年報,39,53-68頁,1995)
教育業績 (非常勤講師)
    大阪市大大学院(2001年度)
    神戸大(99)
    大阪府大(97〜01)他.

海外調査
  1. ブータンヒマラヤの生物分布帯に関する生態学的研究・第2次・第3次(1988年,99〜2001年)

  2. 第38次南極観測隊夏隊・地学(96〜97年)

  3. カナリア諸島の遺存型照葉樹林の植生パターンと気候・地形要因の比較生態学的研究(97〜98年)

  4. 東海大学チベット・プマユムツオ湖学術調査隊(2001年)
その他
  1. 新聞掲載記事:「地球最大の氷河に挑む」(奈良新聞,1997年8月29日朝刊),「さまよえる湖の謎解明へ科学のメス」(産経新聞,1999年8月14日夕刊)

  2. 講演:朝日新聞社「朝日ブルーアイス計画」(1997年7月,於:豊田市立市木小学校)

  3. 市民生活協同組合ならコープ「南極の自然と環境問題」(1998年2月)

  4. 千葉県立中央博物館「ブータンヒマラヤの地形と環境変動」(2001年7月,第2回特別展講演)
主要研究業績とその要旨(著書・論文)

  1. Takada, M., Tani, A., Miura, H., Moriwaki, K. and Nagatomo T.(2003): ESR dating of fossil shells in the Lutzow-Holm Bay region, East Antarctica. Quaternary Science Review, 22: pp. 1323-1328 (2003).
     東南極リュッツホルム湾において、かねてからその存在が知られていた3万年前よりも古い14C年代を示す貝化石について、ESR年代測定によるクロスチェックを試みた。その結果、3万年よりも古い14C年代の一部は、最終間氷期やそれよりも古い時代にまで溯る年代を示す試料が含まれている可能性があることを指摘した。

  2. 三浦英樹・高田将志・Daniel Zwartz(2002):東南極,エンダービーランド,リーセルラルセン山周辺の第四紀氷床変動の証拠と古環境.月刊地球,271号,51-57.
     東南極リーセルラルセン山地域における氷床変動と氷河関連堆積物の年代についてこれまの研究成果を総括した。その結果,当該地域のような沿岸部の氷床の変動は,従来明らかにされてきた東南極内陸部の氷床変動とは異なる挙動を示す可能性がある点を指摘した。とくに最終氷期の氷床の挙動については,今後さらに検討すべき事項がある点を整理した。年代測定に関わる部分の記述を中心に,第1著者と原稿について具体的に検討した。

  3. 高田将志(2000):(4)越後山脈の周氷河斜面と雪窪,(5)山地解体過程の諸相.貝塚爽平ほか編「日本の地形4 関東・伊豆小笠原」,東京大学出版会,p.45-49.
      関東地方と伊豆・小笠原弧の多彩な地形とその研究のエッセンスをできるかぎり分かりやすい形で紹介する本の中で、2-1「越後山脈と帝釈山地」の(4)越後山脈の周氷河斜面と雪窪,(5)山地解体過程の諸相を分担執筆し、当該地域の最終氷期以降の山地地形発達史について解説した。

  4. 高田将志(2000):地形の形成年代.日本応用地質学会編「山地の地形工学」,古今書院,p.19-34.
      斜面安定調査や地質構造調査の調査現場でしか得られない資料を多数交え,地質工学の重要事項である岩盤の風化/劣化をも含めた,地質技術者のための地形工学技術書の本の中で、2.2「地形の形成年代」(P.19-34)を分担執筆し、地形面や地形層序の概念,地形面の形成年代と対比・編年,地形面の新旧判定方法などについて解説した。

  5. 岡田篤正・東郷正美・田中真吾・植村善博・鈴木康弘・高田将志・相馬秀廣(2000):分布図と資料.岡田篤正・東郷正美編「近畿の活断層」,東京大学出版会,p.66-395.
     近畿圏に分布する活断層の分布と性状について,空中写真判読と最新の研究成果をふまえ,1/5万地形図幅毎に詳細な解説を加えた本の中で、第II部「分布図と資料」(65-395頁)の86図幅中の6図幅の執筆と12図幅のクロスチェックを担当した。

  6. Takada, M.(1999):Quaternary Landform and Geochronology in Tenerife, the Canaray Islands. M. Ohsawa, W. Wildpret & M. Arco (eds.), “Anaga Cloud Forest”. Laboratory of Ecology, Chiba University, p.39-54.
     大西洋カナリア諸島のテネリフェ島において,火山島の地史に関するレビューを行い,現地調査の成果もあわせて,とくに第四紀後期の火山噴出物・海成堆積物の層序と地殻変動について議論し,沿岸部の緩やかな隆起について定量的に明かにした。また,照葉樹林の立地環境と関わる地形・土壌特性についても論述した。

  7. 高田将志・長友恒人(1999):第四紀試料のルミネッセンス年代測定.月刊地球,号外26号,p.108-118.
     近年,研究の進展が目ざましい光ルミネッセンス(OSL)年代測定を中心に,第四紀試料,なかでもとくに堆積物を中心とした試料への適用について,具体的な手法と問題点,現在までの具体的な成果,今後の課題などについて論じた。

  8. Takada, M., Miura, H. and Zwartz, D. P. (1998):Radiocarbon and thermo-luminescence ages from Mt. Riiser-Larsen area, Enderby Land, East Antarctica. Polar Geosciences, No.11. p.241-250.
     東南極リーセルラルセン山地域に分布するリチャードソンクレイとツーラティルに含まれるカルサイト結晶のAMS炭素14年代測定を行い,各々40,250±1200 y BP,42,570±670 y BPの値を得た.結果の信頼性をチェックするために行った後者のTL測定から,カルサイトは古く見積もってもせいぜい最終間氷期よりは新しい時代に結晶化したであろうことが推測された.これらの結果は,従来,漠然と中期更新世よりも古い堆積物ではないかと考えられてきたこれらの堆積物に,具体的な年代観を与え,東南極氷床の変遷を検討する手がかりを提供したたことに,大きな意義がある.試料処理,TL測定,測定結果の検計・考察および本文執筆等,全体のとりまとめを担当した.


  9. 田代 博・藤本一美・清水長正・高田将志(1996):山の地図と地形.山と渓谷社,247ページ.
     登山者や地学・地理学に興味をもつ一般読者向けに,地図の利用法や地形の成り立ちについて平易に解説した本の中で、第2部の第2章(P.108-114),第7-10章(P.162-1の,第12-14章(P.213-233),コラム(P.137-131,149-150)を担当した.各章では,日本列島に分布するいくつかの山岳を取り上げ,具体的な事例に則しながら,地形形成プロセスや地形形成時の環境について解説した.

  10. Takada, M., Hayashi, M., Sawagaki, N., Hirakawa, K. and Moriwaki, K(1995).:ESR and TL Dating of Quaternary Sediments in the Lutzow-Holm Bay, East Antarctica. Proceedings of the NIPR Symposium on Antarctic Geosciences, No.8,p.230-238.
     本論文は,南極地域を対象とした海成層のTL年代と貝化石のESR年代測定の初めての試みである.リュッツホルム湾沿岸部の試料を測定した結果,炭素14法によって従来指摘されてきた,後氷期と最終氷期後半という2回の高海面期のうち,今回の結果は,前者の高海面期の存在と調和的であることを示した.試料処理,TL・ESR測定,測定結果の検計・考察および本文執筆等,全体のとりまとめを担当した.

  11. 高田将志(1992):北アルプス薬師岳周辺の周氷河性平滑斜面.地学雑誌,第101巻,第7号,p.594-614.
     現成の周氷河砂礫地・残雪緩斜面と化石周氷河性平滑斜面・化石残雪緩斜面を中心に,斜面形態と斜面構成物の構造,およびその時代的変遷を検討し,極相期を含む最終氷期後半の北アルプス薬師岳周辺における気候地形帯の垂直分布を明らかにした.さらに,周氷河性平滑斜面の形成される高度帯の下部においては,多様な地形形成プロセスが同時期に働いて多様な地形が形成されたことを示した.

  12. 高田将志(1992):ブータンヒマラヤの地形-山間盆地の河岸段丘に関するいくつかの問題-.地学雑誌,101,p.283-297.
     ブータンヒマラヤの第四紀地史を検討し,ブータン中部の東西に並ぶ山間盆地を形成する地殻変動が,第四紀を通じ継続してきた可能性を指摘した.また,河岸段丘の形成に小氷期の氷河の拡大や氷河湖決壊洪水が密接に関係していることを示した。さらに侵食の進んでいないナッペの存在などから、ブータンヒマラヤは他のヒマラヤと比べると隆起のスピードが遅い、あるいは顕著な隆起の始まる時期が遅かった可能性を指摘した。

  13. Takada, M.(1991):Landform and Quaternary geohistory of the Bhutan Himalaya. M. Ohsawa (ed.), “Life Zone Ecology of the Bhutan Himalaya II”. Chiba University, p.41-88.
     以前から地学・生態学的調査の進んできた西部・中部ヒマラヤに比ぺ,実態がほとんど未解明であった東部ヒマラヤのブータン王国において,地形と第四紀地史について検討し,ヒマラヤ全域に普通的な現象とブータンヒマラヤに特徴的現象とは何かを整理し,その原因について議論した。そして,ブータンヒマラヤでは氷河の拡大様式や地殻変動の変遷に注目すべき地域性が存在することを明らかにした。

  14. Takada, M., Sasaki, M., Yanagimachi, O. and Ohmori, H.(1990):Environmental Changes during the Late Holocene and the Climatic Implications of Snow Accumulation Hollows in and around Mt.Tango, the Echigo Range, Central Japan. Bulltin of the Department of Geography, University of Tokyo,第22号,p.35-53.
     残雪凹地周辺の地形・植生・土壌層の特徴や堆積物の花粉分析などから,越後山脈丹後山周辺における後氷期の残雪環境の変遷を明らかにした。その結果,3,370-2,400年前からA.D. 1783年以降まで,それ以前や現在よりも残雪が遅くまで滞留する時代が続き,この時期に古期残雪凹地が形成されたことがわかった。花粉分析結果や世界的な気温変化との同調性からみて,この残雪滞留期間の長期化の主因は気量低下にあることを示唆した。現地調査,花粉分析データ(分析:佐々木)の解釈と全体の考察,本文執筆・取りまとめなどを担当した。

  15. 高田将志(1986):三国山脈主稜線周辺の化石周氷河性平滑斜面・化石雪食凹地.地理学評論,59,p.729-749.
     日本列島における広域的な地形形成帯の垂直分布の時代的変遷を検討するために,中部山岳の三国山脈で化石周氷河性平滑斜面・化石雪食凹地の調査をおこなった.その結果,最終氷期中の垂直分布は,成帯的なハイマツ帯の存在を想定し,現在の垂直分布帯を平行に下げた従来のモデルではうまく説明できないことがわかった.そして,具体的なデータをもとにした最終氷期後半-後氷期の垂直分布帯のモデルを提示した.

主要研究業績とその要旨(その他)

  1. 高田将志・朱 立平(2003):チベット高原プマユムツオ湖周辺における地形と第四紀後期の環境変化.西村弥亜・高田将志編「東海大学ヒマラヤ学術登山隊研究報告書」,東海大学,75-90.
     チベット高原南部の標高約5,000mに位置するプマユムツオ湖の周辺における地形地質調査をもとに、氷河の拡大縮小と古環境について明らかにした。その結果、プマユムツオ湖の湖水位は、かつて10mほど高かった時代があり、当時は、現在の湖東岸から流出する河川に加え、北岸からも湖水が流出していたことが明らかになった。この高水位は、現在の流出河川の下流において、本流に合流する支谷で発達した氷河が本流をせき止め、河床を上昇させたことに起因していると考えられた。そして、アウトウオッシュ段丘のOSL年代などから、その時代が最終氷期極相期に相当することが明らかになった。

  2. 高田将志(1999):紀伊半島の自然と災害.「自然変動及び物質循環の視点から見た共生循環型地域社会の研究」,奈良女子大学大学院人間文化研究科,81-86.
     活断層周辺で発生する内陸直下型大地震,南海トラフのプレート境界で発生する海溝型巨大地震,台風・豪雨による風水害と土砂災害,このような自然災害との関わりから紀伊半島の自然を特徴づけ,概観し,十津川流域における土砂災害の実態について,簡単な解析結果を報告した.

  3. 高田将志(1998):東部ヒマラヤとその周辺地域にみられる囲郭・城塞的建造物と都市・集落.平成6-9年度科学研究費補助金成果報告書(代表者 戸祭由美夫)「ユーラシアにおける都市囲郭の成立と系譜に関する比較地誌学的研究」,p.115-130.
     インド,ネパール,チベットにおける中世以降の都市囲郭や城塞的建造物を概観し,ブータンにおけるそれとの比較を通して,地域的な類似性・近縁性と異質性を明らかにし,それを生み出した要因について考察した.その中で,中世都市囲郭の成立に,南北方向の差と東西方向の差が影響を与えた可能性があることを指摘した.

  4. 高田将志(1996):十津川最上流部天ノ川流域の斜面地形.平成6・7年度科学研究費補助金成果報告書(代表者 武久義彦・小方 登)「大縮尺空中写真の判読による地理的景観の復元」,p.18-19.
     紀伊半島十津川水系天ノ川流域を例に,撮影年次の異なるいくつかの大-小縮尺空中写真を用いて,山地斜面の経年変化の把握と,土砂移動予測がどの程度可能であるかについて検討した.その結果,山地斜面の不安定化が,空中写真判読からかなりの程度読み取れることが明らかになったが,一方で土砂移動範囲の事前予測が難しく,また,その痕跡が十数年で判読しがたくなるケースもあることが示された.

  5. 高田将志(1995):堆積物のOSL年代測定法ー人類紀の新しい年代測定法の現状と課題ー.奈良女子大学文学部研究年報,第39号,p.53-68.
     1985年に開発され,実用化か検討されつつある光励起ルミネッセンス(0SL)年代測定法に関し,その開発の基礎となった熱ルミネッセンス年代湖定法とともに,研究の現状と今後の課題を概観した.日本におけるOSL年代測定研究は皆無であるが,基礎研究の発展によって第四紀学,自然地理字に多くの貢献が期待される.本論文では特にこの年代測定法の実用化に向けての問題点や,地域性を生かした日本独自の研究の道について論じた.

  6. 高田将志(1995):第四紀後期の黒部川の縦断形変化と長期的土砂流出.黒部(日本黒部学会紀要),第6号,p.9-16.
     第3回黒部川シンポジウム基調報告の概要.黒部川上流域の北アルプスの発達史,上流山岳域の第四紀における環境,新しい地質時代における山地の侵食速度,第四紀後期の黒部川の河床変動,の4点に関して,自らの調査研究成果と従来の研究の概要を紹介した.

  7. 高田将志(1993):ヒマラヤの地形をブータンから眺める.雑誌「地理」,古今書院,第30巻,第7号,p.50-56.
     ブータンヒマラヤの地史とヒマラヤ山脈内における地域性について解説した.なかでも特に,ヒマラヤに特徴的に分布する縦谷が,ブータンではあまり見られないことや,急峻な山岳における地すべり土塊のつくり出す緩傾斜地と土地利用の関係などを中心に紹介したまた,小氷期における氷河の拡大とそれ以降の縮小によって,多数の氷河湖が出現したことを指摘し,併せて氷河湖決壊洪水による災害についても触れた.

  8. 高田将志(1992):山の自然史(巻機山,薬師岳).小泉武栄・清水長正編「山の自然学入門」,古今書院,p.12,p.80-81,p.102-103.
     日本の山の自然景観形成に大きな影響を及ぼしている最終氷期-後氷期の気候変化・環境変化について平易に解説した.また,巻機山(越後山脈),薬師岳(北アルフス)の各個別山岳における最終氷期-後氷期の景観変化についても,現地観察の具体的・ポイントを示しながら,平易に解説した.

  9. 田村俊和・高田将志・八木浩司・西条 潔(1989):和賀岳自然環境保全地域の地形と表層物質.和賀岳自然環境保全地域調査報告書,環境庁自然保護局,p.39-74.
     奥羽山脈和賀岳周辺の地形・表層物質とその形成時期・作用ならびに植生との関係を検討した.対象地域の地形は,大局的には,最終氷期の周氷河作用て形成された斜面が,完新世の流水の作用で開析されつつあるという図式で表現しうるが,個々の発達過程に対応した地形の違いが,異なる「地形一植生」の対応関係として発現していることを明らかにした.空中写真判読による地形分類図の作成,地形測量・土壌観察・植生調査,および関連部分の原稿執筆を担当した.

  10. 大森博雄・高田将志・柳町 治(1988):大佐飛山自然環境保全地域及び周辺地域の地形・地質・土壌.大佐飛山自然環境保全地域調査報告書,環境庁自然保護局,p.39-92.
     栃木県大佐飛山自然環境保全地域とその周辺地域にいて,植生立地場の条件としてみた地形・地質・土壌の検討を行った.その結果,地すべり地・化石周氷河性平滑斜面などの緩傾斜地と崩壊地などの急傾斜地とのコントラストが植生分布に反映されていることが明らかになった。加えて,微地形に対応した積雪分布の不均一さが植生の違いに顕著に現れていることが明らかになった。空中写真判読による地形分類図の作成,地形測量・土壌観察などの現地調査,テフラの化学分析及び関連部分の原稿執筆などを担当した.

  11. 大森博雄・柳町 治・高田将志(1987):利根川源流部自然環境保全地域及び周辺地域の地形・地質・土壌.利根川源流部自然環境保全地域調査報告書,環境庁自然保護局,p.35-94.
     利根川源流部自然環境保全地域とその周辺地域における地形・地質・士壊について,植生立地に関与する事象を中心にその現状を把握し,環境保全面からの留意事項を検討した.その結果,本地域では特に,森林伐採による地すべり連動の活発化や,湿原・泥炭地の荒廃を招き易い、潜在的要因が存在することを指摘した.空中写真判読・現地調査による地形分類図の作成と関係部分の原稿作成,および土壌調査と関係部分の一部原稿作成を担当した.

奈良女子大学 文学部 地域環境学コース
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