まり: | えつー、ちょっと待ってーなー。 |
えつ: | なにー? |
まり: | 灯籠やよ。ちゃんと見なさい。 |
えつ: | 大きいなぁ。 |
まり: | さりげのうて見過ごしてまうけど、これも国宝なんやよ。大部分は奈良時代のもんで銅やけど1カ所だけプラスチックがあんねん。どこや? |
えつ: | あっ。この北東の面の色違う! |
まり: | 当たりぃ!そこは、昭和37年に盗まれたんやけど、重すぎて運びきれへんかったらしくて、裏庭に捨ててあったんやって。そのときに傷つけられたから、本物はしもてあって、プラスチックの複製がはめてあるんやよ。 |
| ―――7月22日 学校にて――― |
えつ: | なぁ、まりちゃん。昨日東大寺に行ってんけど、昨日で灯籠とお別れやったんやで。 |
まり: | えっ。何でなん? |
えつ: | 古くなったから修理するんやて。お坊さんの話では、次の灯籠はレプリカにするらしいで。本物はもう見られへんねんて。 |
まり: | 悲しい・・。でも、そういえば灯籠の錆ひどかったしなぁ。酸性雨やろか? 今まで幾度の戦禍を免れてきたのに。 |
えつ: | 最後に見れてよかった。 |
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