古代の揚げ菓子再現実験

目 次
平安貴族の菓子
いよいよ作ってみる

平安貴族の菓子

 「八種唐菓子」に代表される、平安貴族たちに愛された揚げ菓子。

 それはいったいどんな食べ物だったのでしょうか?

 最古の料理書の一つである『厨事類記』は、基本的な唐菓子の作り方をこのように記しています。

モチヰケナキ米シロメテ。コニツキフルイテ。シトギノヤウニシトネテオシヒロメテ。ユヲサラサラトワカシテ。湯ニウクホドユデテ。又ウスニイレテ。メデタクツキアワセテ。トリイダシテ。ヌノヲヌラシテ。ソレニツツミテ。ヌノノカタハシヲアゲテ。サマサズシテ。スコシヅツトリテ。何ニモツクル也。…ツクリテノチハ。ヨキアブラヲコクセンジテ入ベシ。

 これをまとめると、基本的な唐菓子の作り方は以下のようになります。

いよいよ作ってみる

今回は、砂糖などの味をつけない、シンプルな唐菓子を再現してみました。
『厨事類記』の記述や、古代菓子のなごりであるといわれる奈良・春日大社のブトの作り方も参考にしつつ、家庭でもできそうな作り方を提案しています。ぜひ試してみてください。

●材料
米粉・お湯・油(できれば胡麻油)

1.米粉を練る

 精米・製粉から始めるのは大変なので、市販の米粉を使います。
 米粉にお湯を入れ、練ります。
 耳たぶくらいの硬さになり、べとつかずにうまくまとまるのがよい状態です。

こねる様子1 こねる様子2

2.蒸す

 春日大社の神饌にならい、5分くらい蒸し器(又はせいろ)で蒸します。くっつかないように、布巾を敷いた上に生地を入れるのがポイント。
 ゆでてもよいかもしれません。

蒸す様子

3.搗く

 餅つき用の臼と杵を用いるのがベストなのでしょうが、用意ができませんでした。
 なので生地をすし桶に入れ、「すりこぎ」で叩いてみることにしました。

搗く様子

4.成形する

 古い時代に書かれた唐菓子の記録には、唐菓子の図がほとんど残っていません。
そのため、江戸時代にまとめられた唐菓子の図を参考にして成形しました。

成形できた様子

5.揚げる

 古代の食用油は主に胡麻油だったようなのですが、値段が張るので胡麻油と菜種油を混ぜて使いました。
あまり高温で一気に熱を加えると、破裂してしまうことも判明!

火傷にはくれぐれも注意しましょう!!

揚げる様子1 揚げる様子2

6.完成

少し焼き色が薄かったり、破裂してしまったものもある気もしますが、完成しました。

完成した菓子1 完成した菓子2

7.試食

 いよいよ試食。
食感は…思ったよりも軽い感じがします。現代のおかきのような食べ物とは少し違うようです。
そのままでも米粉の甘みがしないではないですが、黄粉や砂糖を付けた方がやっぱりおいしいです。

*注意点*

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