古代学学術研究センターでは、奈良県内の砂防指定地の管理を担当する奈良県県土マネジメント部長からの協力依頼に応えて、2015年8月21日に同部砂防・災害対策課長との間で「奈良盆地歴史地理データベースのデータ受渡及び使用に関する協定書」を締結し、10月27日、同データベースのうち「小字データベース」の電子データの提供を行いました。
一般的にデータベースは構築に多くの労力を要しますが、本例のように学術研究だけではなく、当初予想していなかった、行政機関による防災施策などにも活用され、さらに県費の節約にも結びつくなど、多様な活用の可能性があり有用であることが改めて認識されました。
なお、奈良県県土マネジメント部からの依頼の要旨は下記の通りです。
協力依頼要旨
奈良県における砂防指定地は明治時代に小字名を表示して指定された箇所が多く、区域の管理を文字情報のみにより行っている箇所があります。昨今は、GIS(地理情報システム)に代表されるように防災分野でも活用されている様々な技術の進歩が著しく、砂防指定地についても可能な限り地図上で表示することができるGISを活用した管理を推進する必要があります。
奈良女子大学古代学学術研究センターでは、小字名や小字界を調査した『大和国条里復原図』(1981年刊行、奈良県立橿原考古学研究所編)を主要資料として、学術的な見地からGISを活用し、「奈良盆地歴史地理データベース」を構築されているものと伺っております。
つきましては、砂防指定地について地図上で管理することを推進するため、同データベースのうち、小字に関する電子データの当県県土マネジメント部砂防・災害対策課へのご提供及び本件に関係する助言その他の必要なご協力をお願いします。
 協定書へ署名する奈良県県土マネジメント部砂防・災害対策課長と センター長 (古代学学術研究センターにて)
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