1.高齢化社会のまちづくり
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 日本の人口構造は、少子化、高齢化、人口減少というベクトルで今後は推移していく。まちづくりを進めるにあたってもそのような社会的変化を考慮すべきである。このグループでは高齢化社会を見据え、以下の研究課題を定めて調査、分析を進める。
 下記の研究テーマ(1)は、他大学(大阪市立大学、兵庫県立大学、華頂短期大学、畿央大学等)の教員、大学院生と作っている生活支援システム研究会(京都)に参加して進める。
 また、中国では急速な高齢化が進んでいる。しかし高齢者の介護はまだ、家庭に頼っている状況であり、今後、高齢者の介護が社会的な問題になるだろう。そのため、中国の高齢者問題を取り上げて検討する。



(1)高齢者に対する生活支援サービスの圏域計画について

【内容】
 介護保険法の改正で日常生活圏域が位置づけられた。これは一定の範囲を定め、その中で高齢者の在宅介護に必要なサービスを充足するという考えである。この日常生活圏域に焦点を定め、どの程度の範囲を日常生活圏域とするのか、日常生活圏域内ではどのようなサービスが必要か、各種サービスをどのように連携させるべきかを検討している。

【主な研究業績】
●『地方自治体における高齢者福祉施設の配置計画』
  (奥山純子、中山徹、斉藤功子、田中智子、小伊藤亜希子、立松麻衣子)
  2005年12月、「日本建築学会技術報告集第22号」p445〜p450
●『介護サービス基盤の圏域設置計画とその整備手法 −地方自治体における高齢者
  福祉施設の配置計画その2−』
  (奥山純子、中山徹、斉藤功子、田中智子、小伊藤亜希子、立松麻衣子)
  2006年12月、「日本建築学会技術報告集第24号」p381〜p386
●『介護サービス基盤における日常生活圏域に関する研究−平成17年度地域介護・
  福祉空間整備等交付金(市町村交付金)の分析より−』
  (奥山純子、中山徹)
  2007年4月、「都市計画論文集、No.42-1」pp81−86

【過去の主な調査】
● スウェーデンにおける圏域計画の実態調査(2004年度〜2007年度)
● カナダにおける圏域計画の実態調査(2007年度、2008年度)
● 長野県茅野市における圏域計画の実態調査(2007年度)
● 全国の市町村を対象とした日常生活圏域設定の実態調査(2006年度)
● 全国の市町村を対象とした地域包括支援センターの実態調査(2006年度)

スウェーデンの高齢者施設(外観)  スウェーデンの高齢者施設(共用ルーム)




(2)中国の高齢者介護について(中国における調査)

【内容】
 中国は急速に高齢化が進み、いずれ世界の認知症高齢者の半数が中国で暮らすようになる。しかし、高齢者介護に関する制度はあまり進んでおらず、特に地方ではその傾向が顕著である。中国で、高齢者介護をどのように進めるべきかを検討する。

【過去の主な調査】
●長春市における在宅高齢者の生活実態調査(2008年度)
●青島市の高齢者施設の実態調査(2009年度)

長春の高齢者施設(外観) 長春の高齢者施設(居室)
 
青島の高齢者施設(外観) 青島の高齢者施設(居室)



▼終了したテーマ

(1)自立した高齢者が生きがいをもって暮らせる地域とは (2003年度終了)

【内容】
 高齢者の大半は、自立した生活が可能である。そのような高齢者が生き生きと暮らせるかどうかは、自助努力にゆだねられている。はたしてそれでいいのだろうか。また高齢者のパワーを地域社会の向上につなげることができないか。主として自然とのふれあいに関心のある高齢者を対象に検討を進めた。この成果は、今津氏の博士論文としてまとめられた。(「都市居住高齢者の緑行動に対する社会的支援のあり方とその効果に関する研究」)

【主な研究業績】
●『都市に居住する高齢者の緑行動を促進させる要因』(今津乃理子、中山徹)、
 「日本家政学会学会誌第51巻6号」、2000年6月
●『高齢者の自然環境に関する社会貢献活動参加についての事例研究』
 (今津乃理子、中山徹)、「2001年度日本建築学会大会(関東)学術講演梗概集、F-1」、
  2001年9月
●『シニアボランティアの指導による街区公園での自然環境学習実施に関する研究』
 (今津乃理子、中山徹)、「環境情報科学論文集No.16」、2002年11月

【過去の主な調査】
●高齢者の緑行動に関する調査(1999年度)
●高齢者の社会貢献に関する実態調査(2000年度)
●高齢者の社会貢献に関する調査(2002年度)



(2)高齢者の食生活を地域社会でどのように保障すべきか
(2004年度終了)

【内容】
 高齢者が健康に暮らすためには、食生活の保障が不可欠である。各地で配食、給食等が行われているが、介護保険制度には位置付けられていない。個人的な努力に任せるのは困難であるし、行政がすべて直営で実施するのも不可能である。社会的にどのようにすべきか、介護保険との関係をどう整理すべきかなどを検討した。その成果は、「これからの配食サービス」としてまとめた。この研究は生活支援システム研究会で進めたものである。

【主な研究業績】
●『社会福祉協議会による毎日型配食サービスに関する調査
      ー高齢者の食関連サービスのあり方に関する研究ー』
 (立松麻衣子、中山徹、藤井伸生、小伊藤亜希子、斉藤功子、田中智子)、
  「日本家政学会誌Vol.55、NO.11」、2004年11月
●『オーストラリアにおける配食サービスについて』
 (増淵千保美、斉藤功子、小伊藤亜希子、田中智子、中山徹、藤井伸生)、
  「日本家政学会誌Vol.55、NO.11」、2004年11月
●『高齢者の食生活の実態と食事支援のニーズ』(小伊藤亜希子、中山徹他)、
 「日本建築学 会近畿支部研究報告集第43号・計画系」、2003年6月、
●「これからの配食サービス」(中山徹、藤井伸生、小伊藤亜希子他)
  かもがわ出版、2004年10月

【過去の主な調査】
●京都市における配食サービスの利用者調査(2001年度)
●オーストラリアの配食サービス実態調査(2002年年度)
●社会福祉協議会が実施している配食サービスの全国調査(2002、2003年度)
●スウェーデンの配食サービス実態調査(2003年度)

スウェーデンの高齢者向け給食施設 スウェーデンの高齢者施設



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