国立大学法人奈良女子大学経営協議会学外委員からの「国立大学 に対する基盤的経費の確保を求める声明」を受けて(平成27年12月9日)

国立大学法人奈良女子大学
学長 今岡春樹

 平成28年度から第3期中期目標期間が始まります。それを目前にして財政制度等審議会財政制度等分科会が平成27年11月24日に発表した「平成28年度予算の編成等に関する建議」では、国立大学法人の運営費交付金の削減と授業料の引き上げが提案されました。既に法人化以降12年間で約12%の運営費交付金削減を行い、国立大学法人が疲弊の極に至っている上での提案であり、驚愕を隠しきれません。
  第3期中期目標期間において、本学はこれまでにない高い目標を自らに課しました。今後の日本を支えてくれる留学生数の倍増、入試改革も含めた高い教養を持つ女性人材の育成、日本の産業を支える理工系女性の育成、理系での6年一貫教育による高度職業人の養成、地域を活性化するための地域科目の設定と地域就職率の向上など、グローバル・イノベーション・地域創生という国家的重要課題に積極的に挑戦する目標を立てました。教育・研究・社会貢献の三本柱を維持・進展させつつ女性の社会進出を向上させる使命を持つ本学において、さらに上記の国家的目標を達成するためには二倍三倍の努力が必要であると覚悟しています。このような高いハードルに挑戦し実績を残すためには大学運営の基盤的経費である運営費交付金の充実が必須であります。
 国立大学の授業料引き上げは、別のきわめて重要な議論となります。志を持つ若者に教育の機会を与え、健全な社会移動が達成できることが社会の活力の源であることは自明であります。このことは授業料免除制度と奨学金制度と強く関連します。そしてその設計と実行は「国家の責任」において行うものであり、運営費交付金と天秤にかけるものでは決してありません。
 国立大学法人奈良女子大学経営協議会学外委員からの「国立大学に対する基盤的経費の確保を求める声明」を受けまして、深く共感いたしております。私たちは多くのステークホルダーのご支持を得て教育・研究そして社会貢献を行っています。各界に置かれましてもこのような国立大学の現状をご理解いただき、ご支援とご支持を賜りますようにお願いいたします。

 





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