平成 27年度奈良女子大学卒業式並びに学位記授与式 学長式辞

 

 文学部169名、理学部187名、生活環境学部157名、合計513名の学部卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
 名誉教授の先生、佐保会理事長、奈良佐保短期大学長、放送大学奈良学習センター所長、育友会会長にはご臨席を賜りまことにありがとうございます。奈良女子大学の教職員一同は、ご来賓の方々と共に、皆さん、本日ご同伴されましたご家族の方々、また各地で本日のご卒業をお喜びのご親族の方々に、心よりお祝いを申し上げます。
 ご卒業は、皆様の人生において幾つかある節目の一つです。節目に当たって二つお願いがあります。まず、ご両親あるいは皆さんを支えてくれた方に「ありがとうございました、おかげで無事卒業することができました。」と感謝の言葉を伝えてください。この言葉は、経済的支援だけでなく、皆さんが無事でいて欲しいとの祈りの気持ちに対しての返礼になります。是非口に出して伝えてください。5年前の3月11日に東
日本大震災が発生しました。21年前の1月17日に阪神・淡路大震災が発生しました。これらは皆さんの時代に起こったことです。無事であること、「つつがなし」は実は大変な事なのです。
 節目に当たってもう一つのお願いですが、自己分析を行ってください。4年間、編入学の皆さんは2年間ですが、成長しましたか。知識のことと、自立する力に分けて分析してください。知識は高校レベルとどれだけ違うかで判定できるでしょう。自立する力は、判定が難しいものです。他人の言葉を素直に聞くこと、自分の信念に誠実であること、この二つを両立させることが必要です。つまり、自分の考えを整理して、言葉で他人に伝える能力ですが、上達しましたか。

 さて、ご卒業後はさらに大学院へ進学する方々と社会人になる方々がいるでしょう。社会人と学生との間には大きなギャップがあります。学生はお金を払う「お客さま」ですが、社会人はその活動でお金をいただく立場になります。そこで日々発生するのが大量の「ストレス」です。社会人になるとまず「ストレスと付き合う方法」をマスターする必要があります。そしてよりロングスパンでの人生設計も必要になります。つまり「ワーク・ライフ・バランス」を考えなくてはいけません。NHKの朝ドラで日本女子大学が創立された、今から116年前の時代が放送されました。この100年間で女性の社会進出はとても進みましたが、社会のシステムが対応し切れていないのが現状と思います。

  話は変わりますが、せっかく奈良とご縁があったのですから、是非学生時代の良き思い出を、生涯の宝物としてお持ちください。奈良の特徴は長い伝統です。修二会は1265回、春日若宮おん祭は881回、一度も中断することなく継続しています。奈良での経験から、皆さんは10年、100年、1000年というマルチスパンで物事を考える力を得たと思います。皆さんは多様なスパンで物事を考えることができるリーダーの卵です。

 私たち教職員は、皆さんの成長が喜びです。尊敬と信頼に耐える社会人となれるよう自己を鍛錬してきた実力を、全国に持ち帰って思う存分発揮してください。
 最後になりますが、皆さまの輝かしい未来を祈念してお祝いの言葉といたします。

平成28年3月24日 奈良女子大学長 今岡春樹



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