奈良の鹿害 川の役割
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奈良の鹿害 川の役割

・奈良の鹿害について
 私たちが住んでいる東大寺や奈良公園など奈良市周辺では、鹿の存在はとても重要なカギになっています。 よい面、一見してわかりやすいものとしては、観光として鹿がもたらす経済的効果です。 鹿と身近に触れ合えるのは、奈良と広島の宮島ぐらいではないでしょうか。
 しかし、その観光客や他の地域から来た私たち大学生がほとんどといってよいぐらい知らないのが、鹿が及ぼしている鹿害です。
 何も知らない私たちが奈良の風景を見て感じるのは、「自然がいっぱい」ということだと思います。しかしそれは本当の"自然"なのでしょうか?
 右の写真は奈良公園の一部の飛火野というところの写真です。やはり緑が多く、自然に囲まれている気持ちにしてくれます。
 しかし、他に気づくことはないでしょうか?
 まず奥に生い茂っている木々ですが、自然ではありえないほど地面から葉までの高さが一様です。
  普通の木々 飛火野の木々
 
  これは鹿が木の葉を食べるため、鹿が届く高さの葉がすべてなくなってしまったのです。
 また、手前に一本だけ若い木が生えています。その木の幹部分に金網がしてあるのがわかるでしょうか?
 これは数が増えすぎたため食べ物が足りなくなった鹿が木の皮さえも前歯でむしり食べてしまうからです。若い木は幹の皮を剥がされてしまうと成長できず、しまいには枯れてしまいます。
 これが深刻なのは、春日山原生林です。
 鹿はだいたいの草、葉、樹皮など食べますが、食べない草や木があるのです。それが、ワラビ、ナンキンハゼ、アシビ、ナギで、葉などに毒素などが含まれているそのため鹿は口にしません。原生林ではそのため、ナンキンハゼ、アシビ、ナギが群をなしてきています。
 その一方、そのほかの鹿が食べる草や木は生えるとすぐに食べられてしまうので成長できません。

(春日原生林。草などが一切はえていない。)
 ことに木に関しては太くて立派な木は多いのですが、台風などでその木が倒れたとき次に大きくなる若い木がとても少なく、世代交代という面で問題なのです。
 左の写真はフェンスによって向こう側に鹿が入れなくされています。そのため、向こう側には草がたくさん生えています。しかし、手前には草が一切なく枯葉が目立ちます。この写真で鹿の存在の有無の大きさがよくわかると思います。
 このように奈良の緑豊かな風景は、実は鹿によって徐々に変えられ、作られたものなのです。

 奈良ではないのですが、伊豆の伊東市では地元交流や宿泊などをしながら鹿の生態とそのものすごい破壊力を知るために鹿激害地視察を開くことになったそうです(地元会員を対象に)。
○日本オオカミ協会ウェブサイト「伊豆のシカ激害地視察」のページ:
                     http://www.japan-wolf.org/event/izudeer.htm