明日香村『牽牛子塚古墳』のひつぎから、絹由来タンパク質を同定することに成功

 奈良県高市郡明日香村に所在する終末期古墳である『牽牛子塚古墳(けんごしづかこふん)』は斉明天皇(594-661年)と娘の間人皇女の合葬墓であると言われています。出土遺物については夾紵棺片や七宝亀甲形座金具、ガラス玉等があります。
 これまでの研究では、夾紵棺は麻布と漆で作られており、顕微鏡観察などから表面部分に絹の使用が指摘されていました。本学古代史・環境史プロテオミクス研究創成事業の研究チーム(代表:理学部教授 中澤隆)は、本学が所蔵する夾紵棺の断片から、質量分析により絹由来タンパク質を同定することに成功しました。科学的な手法 を用いて夾紵棺の絹の使用が明らかになったのは今回が初めてです。絹は、夾紵棺作製当時非常に高価な品であった為、ひつぎに絹が利用されたという確固たる証拠が得られたことは、歴史学的に重要な知見を与えることとなります。
     古代史・環境史プロテオミクス研究創成事業URL: http://www.nara-wu.ac.jp/proteome/aprp/
     本研究採択事業URL: http://www.nara-wu.ac.jp/news/H21news/091104.htm
     
   

  

     

   古代史・環境史プロテオミクス研究創成事業:古代史・環境史に関わる人文及び社会科学的研究課題を, 生物由来の試料に残留するタンパク質に着目し、自然科学的手法(プロテオミクス)で解決を目指す新研究分野の開拓を目指しています。

   奈良女子大蔵の牽牛子塚古墳夾紵棺の断片:大正三年に牽牛子塚古墳の発掘調査が行われた際、奈良女子高等師範学校の佐藤小吉教授が発掘調査に参加しており、その関係で女高師の教材として夾紵棺断片が奈良女子大学の所蔵になったと考えられています。    

  
     
 
 作成・管理:奈良女子大学広報企画室