2015年度研究室メンバーのご紹介

集団生物学研究室には和田研究室と遊佐研究室があります。 和田研究室、遊佐研究室それぞれに所属しているメンバーの紹介です。

教員

*メールにてご連絡の際は、メールアドレスの@を全角から半角に直してください。

教授 和田恵次 メールアドレス:mbanzai@cc.nara-wu.ac.jp

研究領域:海洋生物学、動物生態学、進化系統学、保全生物学
海産底生動物の生態、行動、系統進化、保全に関する研究をしています。 主に干潟に生息するカニ類や貝類を材料に、生活史、個体群動態、社会行動、種間関係、系統進化、保全生物学を扱っています。

現在は… 1)潮間帯カニ類における社会行動の多様性とその進化過程
2)カニ類におけるはさみ振り行動や個体間掃除行動の社会的機能
3)汽水性カニ類の個体群間での遺伝的分化
4)汽水域に固有の希少性貝類の生活史と分布
などのテーマを扱っています。

教授 遊佐陽一

メールアドレス:yusa@cc.nara-wu.ac.jp



研究領域:生態学,行動学,進化学,遺伝学,応用動物学
貝類や甲殻類を中心とする淡水・海洋生物の生態と行動の研究を行っています。

現在は… 1)フジツボ類の性表現と矮雄現象
2)ウミウシ類における盗葉緑体現象
3)種間関係(間接効果や対捕食者戦略)
4)生物的抵抗を用いた外来種管理
5)スクミリンゴガイの性比変動と性決定機構
6)深海などの特異な環境に生息する動物の生態
などのテーマを扱っています。

学生

上から、所属・回生・名前、研究テーマ、研究テーマの紹介

遊佐研 D3 和田葉子 (日本学術振興会特別研究員DC2) 長期的な間接効果の働き方 生態系において、ある生物種は他種と直接的な種間関係をもっていますが、これに加え、一見何のかかわりもない種と間接的かつ相互に影響を与えあっています(間接効果)。私は現在、岩礁潮間帯において、捕食者である肉食性巻貝が草食性カサガイを介して藻類の群集構造に及ぼす間接効果の大きさを、長期間にわたって評価しています。

遊佐研 D1 安岡法子 性転換と同時的雌雄同体の進化条件:カキ類における種間比較 イタボガキ科カキ類は,近縁種間や種内でも多様な性表現(性転換、同時的雌雄同体、矮雄など)を示すことから,性表現の進化を考える上で特に興味深いグループです。私は、野外でのカキ類の性表現パターンと性表現に影響する要因について調査し、多様な性表現を持つ適応的意義と、性表現と雌雄の繁殖成功度の関係を明らかにすることを目的としています。

遊佐研 M2 Hendry Wijayanti PLASTICITY OF SEXUAL SYSTEMS IN BARNACLES OF THE GENUS OCTOLASMIS Darwin found that males and hermaphrodites coexist in several barnacle species. My master research focuses on the plasticity of sexual expressions in the pedunculate barnacle Octolasmis warwickii.

和田研 M2 井田晴香 コメツキガニの闘争行動と性的二型の関係 カニでは雌をめぐる雄間の闘争は主に鉗脚を使って行われるため、 雄の鉗脚が雌のものより大きくなることが多いが、 コメツキガニでは闘争行動で歩脚が鉗脚よりもよく使われるため、歩脚に鉗脚以上の性差が見られます。コメツキガニの闘争行動の特徴を記載し、鉗脚と歩脚の長さの雌雄差との関連を同科他種の特徴との対比も交え考察します。

遊佐研 M2 熊谷菜摘 スクミリンゴガイにおける性比変動 スクミリンゴガイでは、1つの卵塊から生まれた子のほとんどがメスである卵塊から、ほとんどがオスである卵塊まで連続的に存在し、性比が卵塊ごとにばらついています。ところが、集団で性比の平均を取ると、オス:メスの比が1:1に近くなるという特徴があります。この性比変動にはどのような適応的意義があるのか、どのような仕組みによって起こるのかを調べています。

遊佐研 M2 中村麻紀 ミョウガガイ類における矮雄の授精成功 雌や雌雄同体よりも著しく小さい雄は矮雄と呼ばれています。フジツボ類であるミョウガガイ(雌+矮雄)とヨーロッパミョウガガイ(雌雄同体+矮雄)で、矮雄の授精成功に関与する要因を調べるために、マイクロサテライトマーカーの開発と、それを用いた親子判定を行い、矮雄の授精成功度を調べています。

遊佐研 M1 稲田美和 アブラムシの繁殖調節メカニズム アブラムシは捕食者に対して様々な被食回避手段を持っています。私は、アブラムシの対捕食者戦略としての繁殖調節について、そのメカニズムを中心に調べています。

遊佐研 M1 野村有未佳  グッピーの繁殖調節における対捕食者戦略 捕食者の存在下で繁殖を調節することは有効な対捕食者戦略と考えられていますが、ほとんどその例は知られていません。そこで、グッピーにおいて捕食者の存在下で繁殖調節が行われるか、また、繁殖調節を引き起こす要因を調べることを目的としています。

遊佐研 M1 廣兼優 嚢舌類における光合成能の獲得 巻貝類に属する嚢舌類ウミウシは餌とする藻類から葉緑体を自分の細胞に取り込み、光合成を行うことが知られています(盗葉緑体現象)。本研究では、系統解析と系統的比較法により光合成能の適応的意義を明らかにします。

和田研 B4 坂本晴菜 干潟の稀少巻貝コゲツノブエ(オニノツノガイ科)の生態分布 サンゴ礁や岩礁が主要な生息場所であるオニノツノガイ科の種の中で干潟を生息場所としているコゲツノブエCerithium coraliumを取り上げ、和歌山県田辺市内之浦の干潟において本種の分布の季節的変化を生活史と関連づけて明らかにする。

和田研 B4 西山若菜 奈良公園の二ホンジカはどのようなときにおじぎ行動を示すか 奈良公園の二ホンジカが行うおじぎ行動について、おじぎ行動がどのような状況により示されているのか、またヒトと全く関わりのない状況でもおじぎ行動が示されるときはどのようなときかを、年間を通した定量的観察によって調査しています。

遊佐研 B4 江藤美緒 水路の底質と水深がスクミリンゴガイとその捕食者に与える影響 スクミリンゴガイは、日本の農業に深刻な農業被害を及ぼす外来の淡水巻貝です。水路の水深や底質の違いが捕食者相を通して、スクミリンゴガイの個体数に影響するという仮説を、屋外実験によって調べています。

和田研 B4 桑岡莉帆 シジミ類における雌雄同体と雄の共存 シジミには、雄の遺伝情報のみで発生が進む雄性発生で繁殖を行う種がいます。雄性発生をするシジミは雌雄同体であると思われていましたが、そこに雄が共存していることがわかりました。雌雄同体+雄という珍しい性システムの維持機構について、研究します。