修学案内

教養教育

1. 本学の教養教育の理念

奈良女子大学記念館

「奈良女子大学的教養――5つの問いと7つのアプローチ」

奈良女子大学にようこそ。
大学が「大学」である所以の一つは、高度な専門研究・教育と共に教養教育にあります。では「教養」とは何でしょうか。
よくある誤解は、幅広い知識や常識、というものです。たしかに知識は大切です。しかし死んだ知識をいくらたくさん持っていても、それは教養ではありません。では、「生きた」知とは何でしょうか。
実はこれは今、日本中の大学で問い直されている問題なのです。私たちの奈良女子大学では、「奈良女子大学的教養」を敢えて以下のような5つの問いのかたちで皆さんに提起したいと思います。これらの問いを自ら考え、共に実践すること、それ自体が教養教育であり、その結果、皆さんの身についたものが「教養」である、と私たちは考えます。

5つの問い――

  • 1. 大学ならではの学びとは何ですか?〔大学〕
  • 2. 女性ならではの知というのはありますか?〔女子〕
  • 3. 奈良で学ぶことを通じてあなたは世界にどんな貢献ができますか?〔奈良、グローバル〕
  • 4. 大学で学ぶことはあなたと未来の世代の人たちにとってどんな意味がありますか?〔次世代育成、未来〕
  • 5. あなたがよく生きるために必要な知と技(わざ)は何ですか?〔価値、モラル、知識、スキル〕

これら5つの問いを皆さんが考え、実践するために、奈良女子大学の教養教育で私たちが重視しているのは、次の7つのアプローチです。

7つのアプローチ

1. 知の創造に参加する
大学は知の創造の場であり、奈良女子大学の教員は一人ひとりが第一線の研究者です。
教養教育においても、多様な分野の教員の研究の最先端に触れることを通じて学びます。
2. 社会的実践に飛び込む
大学の知は社会の現実と切り結ぶ中で創造されます。
社会は豊かな学びの源泉でもあります。仲間と共に社会的な問題の解決に取り組む実践を通じて、学びの意味を認識し、実感できることを重視します。
3. 本物に触れる
奈良は様々な「本物の」文化財や出来事に接する機会に恵まれた地です。
大学でも、本物のモノや人や古典に触れることを通じて学びます。
4. 背伸びする
大学の授業は、受け身で知識を与えてもらう場ではありません。
教師が敢えて教えず、学生が少し背伸びして、自ら行動し、調べ、考え、気づくことを大切にします。 また、そのために自らの生活と学びを設計し、管理するトレーニングを行ないます。
5. しっかり書く
よく生きるためには、物事を論理的に、そして深く考えることが必要です。
言葉を正確に読み取り、聞き取り、的確に要約して書くトレーニングを徹底的に行なうことを通じて、タフで懐の深い思考の力を養います。
6. 問いをあたためる
学問研究の対象も社会的現実も、簡単に短絡的に捉えることができない複雑さに満ちています。
安易に答えに飛びつかず、「正しさ」を疑い、問いを持ちこたえ、あたためることを大切に学びます。
7. 他者と学ぶ、他者から学ぶ、他者を学ぶ
様々な「他者」――大学の仲間たち、社会の中で立場や専門や利害を異にする人たち、異なる文化に生きる人たち――と積極的にコミュニケーションし、共に問題解決に取り組む経験を通じて学びます。

以上のような「奈良女子大学的教養」の5つの問いと7つのアプローチは、以下のような教養教育カリキュラムの全体に具体化されていますが、さらに豊かな学びを実現するために、「パサージュ」と「教養コア科目」が開講されています。

本学の教養教育は、「幅広い教養と豊かな人間性を備えた人材を育成する」ことを目標として、「基礎科目群」「教養科目群」の2つの科目群に分かれています。

2. 基礎科目群

本学の教育全体の基礎や前提として、入学後の早い時期(1、2年次)に選択履修すべき科目です。次の4つの分野に分かれています。

1. 外国語科目
英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、中国語、ロシア語、韓国語のうちから選択履修します。開講科目とクラス数の関係から、各外国語で履修できる単位数が異なり、スペイン語とロシア語と韓国語は合計4単位までしか履修できません。

外国語科目については、学部によって必修とされる単位数や外国語の種類が異なりますから、注意してください。
2. 日本語科目
外国人留学生のために開講される、日本語教育の科目です(日本人学生は履修できません)。外国人留学生については、日本語科目の履修単位が、外国語科目の履修単位として認められます。
3. 保健体育科目
保健体育科目には、基礎的な内容を扱う「健康運動実習」と、発展的な内容を扱う「スポーツ実習」があります。
「健康運動実習」は I と II に分かれ、全学部とも合計2単位が必修となっています。
「スポーツ実習」はA(ラケット競技)・B(チームスポーツ)・C(その他)の3分野からなります。様々なスポーツに楽しく挑戦してください。
4. 情報処理科目
「情報処理入門T」「情報処理入門U」「情報基礎」があります。
「情報処理入門T」は、コンピュータ操作の基礎を学び、ワープロや表計算、インターネットでの情報収集、電子メールの使い方など、大学生として最初に身につけるべき情報処理について学びます。

「情報処理入門U」は、情報処理入門Tの発展編として、ウェブページの仕組みとその作製法について学び、動的なウェブページを作成するためのHTMLとJavaScriptプログラミング、および表計算のためのVisual Basicプログラミングなどについて実習を行います。
「情報基礎」は、一般社会や企業において基礎となる情報技術と情報マネジメント、情報戦略などについて講義中心に学びます。授業は国家試験であるITパスポート試験の内容に近く、受験を希望する学生は是非受講してください。

教養科目群

教養科目群は、各自の関心に応じて、上述の「奈良女子大学的教養」を身につけるための科目群です。教養科目は専門科目を学ぶための基礎学習ではありません。従って、全在学期間を通じて履修できるようになっています。科目のテーマから、「大学生活入門・パサージュ」「人間と文化」「生活と社会」「人間と自然」「グローバル教育科目」という5つの分野に分けられています。

★教養科目群の開講科目一覧

分野名 科目名
大学生活入門 ・パサージュ 大学生活入門 考える力をみがく パサージュ
人間と文化 哲学の歴史 シルクロードと古代日本 ことばのしくみ
現代の倫理 考古科学ゼミ 日本の言語と文学
現代宗教学への招待 部落史と部落問題 アジア学入門
心の科学への招待 地域の人と暮らし アラビアの言語と文化
心の進化と発達 自然環境の地理学 ベトナムの言語と文化
【コア】持続可能な社会
(放射線の科学と思想)
日本の美と芸術 西洋の言語と文化
エネルギーと社会(放送大学科目) 西洋の美と芸術 世界文学への招待(放送大学科目)
【コア】人類史 音楽概説 環太平洋くろしお文化論
歴史学 【コア】古典を読むU  
生活と社会 【コア】ジェンダーから見た人間と社会 日本とヨーロッパ 法律学
ジェンダー論入門 国際関係論 経済学
女性リーダー論 パレスチナ問題(放送大学科目) 統計学
社会学 日本国憲法 社会と銀行(放送大学科目)
文化と民族 人権と差別 ケースで学ぶ現代経営学(放送大学科目)
【コア】なら学 政治学 グローバル化と日本のものづくり(放送大学科目)
人間と自然 初歩からの宇宙の科学(放送大学科目) 数学入門 いのちと健康
情報学へのとびら(放送大学科目) 生活の中の物理学 生活と健康
社会に出るまでに知っておきたい 科学 -
物語としての科学 -
化学の常識 ジェンダー生理学
科学の言語としての数学 化学の世界 健康・スポーツ科学
ベーシックサイエンスT、U 環境と生物 生活と色彩
【コア】共生科学 地球環境  
科学史 【コア】生命・運動・健康  
グローバル教育科目 異文化理解と国際協力 Modern Japanese Literature A、B Traditional Japanese Culture A、B
異文化理解と平和構築 Japanese Culture and History A、B  
日本文化と地域社会A、B Contemporary Japanese Society A、B  

このうち「大学生活入門」は、特に新入生向けの導入科目で、本学の学生としての勉強や生活をスタートする際の工夫や注意点が講義されます。1回生の最初に履修することを推奨します。

『教養コア科目』
「奈良女子大学的教養」を身につけるための中核科目として、平成27年度から新たに開講されている教養科目です。平成28年度は下記の8科目が開講されます。
  ジェンダーから見た人間と社会、なら学、共生科学、持続可能な社会(放射線の科学と思想)
  人類史、古典を読むU、生命・運動・健康

「教養」とは知識の量や幅ではなく、それをどれだけ使いこなせるか、という「機能」である、という考え方に基づき、専門領域の異なる複数の教員が協働して一つのテーマを徹底的に追求し、ゼミや実習、フィールドワーク、反転授業、ディベートなど、多様な学びの方法論を活用することを通じて、皆さんの学ぶ力、考える力を鍛えます。そして、一つのテーマに関する深い学びから、関連する様々な「サテライト科目」へと、学びが広がります。
多彩な学習方法を取り入れるため、希望者多数の場合は抽選などで受講者数の制限をすることがあります。必ず初回の授業に出席するようにしてください。

[パサージュ] 1回生の最初に大学の「学問」に触れ、それが高校までの学習と如何に違うのかを体験する授業です。(←5つの問いの1.大学ならではの学びとは何ですか?) 1回生前期を前半、後半に分けて、7回(+共通の全体ガイダンス1回)の1単位科目として設定されています。学部混合で、人数は各15名程度までのミニゼミです。履修希望者は第3希望まで申し込み、希望多数の場合は抽選で人数調整します。

パサージュテーマ一覧

  • 奈良を学ぶ、奈良で学ぶ
  • 夏目漱石『坊っちやん』に見る百年前の日本語
  • ことばと心―コミュニケーションを観察して見えてくるもの―
  • 「私」はどのようにつくられてきたのか?――学校と教育を語り直す
  • 微分積分学と線型代数学
  • アインシュタインの学問と思想
  • 錬金術から現代化学の最先端に至る科学史と研究の実例
  • 遺伝子組換え技術とどう向き合うか?・・・実践者として? 受益者として? 反対者として?
  • 私のアサンプションとは?―現在から未来文化へのフィールドトリップ
  • 化学のための数学1 〜化学現象の理解の手助けとなる微分積分・級数〜
  • 化学のための数学2 〜化学結合の本質を照らし出す線形代数学〜
  • 電子の振る舞いから考える分子の形
  • メタンから始まる有機物ワールドへのいざない
  • 「働くこと」をめぐる社会学
  • 下市町へ行こう!――奈良県の中山間地域を見る
  • 微生物と私たちの暮らし
  • 世界人口 The world population
  • おいしさの科学
  • 「触り心地」で広がる世界
  • ならのまち・村を歩く
  • 伝統的な木造住宅の継承について考える
  • スポーツ科学と脳科学
  • パズルやゲームの中の数学
  • 既存建築物の再生と活用――身近な生活環境を見直す(H28年度開講)
  • 「空間」はどのようにつくられてきたのか?(H28年度開講)
  • 物理法則はいかにして発見されたか(H28年度開講)
  • こころの問題と生涯発達(H28年度開講)
放送大学教育協力型単位互換科目
平成18年度から、本学と放送大学との間で、単位互換に関する共同研究プロジェクトを実施し、平成20年度からは、教育協力型単位互換実施校となりました。
放送大学との契約に基づき、本学が毎年指定する「放送大学教育協力型単位互換科目」は、3学部の全学生が無料で受講できます。また、本学の履修単位として認められます。

平成28年度の単位互換科目は、「世界文学への招待」「社会と銀行」「情報学へのとびら」「パレスチナ問題」「エネルギーと社会」「ケースで学ぶ現代経営学」「初歩からの宇宙の科学」「グローバル化と日本のものづくり」の8科目です。
詳しくは、冊子で配布される『全学教育ガイド』を参照してください。
奈良県内大学間単位互換科目
平成20年度より、本学は奈良県内大学間単位互換協定校に加盟し、県内7大学で開講される授業科目を履修できることになりました。この単位互換科目は本学の履修単位として認められます。
また、県内7大学の学生は、本学開講科目のうち指定した科目を履修することができます。
詳しくは、冊子で配布される『全学教育ガイド』を参照してください。