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相馬 秀廣 SOHMA Hidehiro (教授)
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研究課題
     環境変化に対して敏感に反応しやすい泥炭地,乾燥地域,高山地域を主な対象地域として,現地調査を併用し,衛星写真・空中写真などを利用したリモトーセンシングの手法を加えて,長期および短期的な環境変化の実態を明らかにしようと頑張っています。具体的には,国内では各地の泥炭地における環境変化と地形変化の関連,海外ではシルクロードに沿う地帯を中心に遺跡分布・立地環境の変遷などについて検討しています。その他,奈良県を中心に,主に近畿地方の地形・気候・植生など自然環境に関連する様々な分野についても関心を持っています。
主な研究業績
  1. 「トルファン盆地の遺跡の立地条件−CORONA衛星写真の判読を中心として−」(相馬秀廣,シルクロード研究,8,37-78頁,2000年)

  2. 「『名張』図幅ほか」(相馬秀廣,『近畿圏の活断層』,岡田篤正・東郷正美編,2000年,東京大学出版会,東京)

  3. 「大台ケ原−南限のトウヒを襲う冬の強風−」(相馬秀廣,『日本の気候景観−風と樹 風と集落−』,青山高義他編,2000年,古今書院,東京,181頁)

  4. 「泥炭地−森林・非泥炭地境界付近の変化」(相馬秀廣・阪口 豊,『尾瀬の総合研究(福島・群馬・新潟三県合同調査)』,尾瀬学術調査団,29-40頁,1999年)

  5. 「尾瀬ヶ原の地学的諸問題」(阪口 豊・相馬秀廣,同上,85-106頁 1999年)

  6. 「CORONA衛星写真からみたウズン・タティ遺跡付近−西域南道扞弥国とのかかわり−」(相馬秀廣 国立歴史民族博物館研究報告,81,227-245頁,1999年)

  7. 「衛星画像からみたシルクロード」(相馬秀廣 シルクロード・奈良国際シンポジウム記録集4,(財)なら・シルクロード博国際交流財団 シルクロード学研究センター,49-62頁,1999年)

  8. Silk Road from the Satellite Images (SOHMA Hidehiro "The Silk Road Nara International Symposium '97-The Silk Road of Sanzo-Hoshi・Xuamzhuang:The Climate and His Foot-Steps",Record No.4 on The Silk Roads-Nara International Symposium,The Nara International Foundation Commemorating the Silk Road Exposition Research Center for Silk Roadlogy,,50-64,1999)

その他

  1. 日本沙漠学会第12回学術大会において,大学院生3名と連名で,「CORONA衛星写真からみた楼蘭遺跡群」を発表した.

  2. DVDソフト『地の道T 中央構造線−九州・四国・近畿・中部−』を,坂田俊文;総合監修,解説チャンネル;坂田俊文・相馬秀廣,企画・制作・著作;電通,発売・販売元;ポニーキャニオンで作成した(2001年2月25日).

  3. シルクロード学研究発表会「トルファン地域と出土絹織物の総合的研究」を,(財)なら・シルクロード博記念国際交流財団/シルクロード学研究センターと共同で企画し,併せて,「トルファン盆地における遺跡立地」の題目で発表した(2001年2月4日)

  4. (社)日本リモートセンシング学会第29回学術講演会において,特別講演(題目:『星からシルクロードをながめる』)を実施した(2000年11月30日).

  5. 環境庁長官,福島・群馬・新潟三県の知事が出席した「尾瀬サミット'99」(1999年9月8,9日)に参加し,スライドレクチャー(タイトル:「尾瀬ヶ原の成り立ちとこれからの保全」)と自然観察会の案内役を担当.

  6. 受賞((財)尾瀬保護財団,尾瀬賞,1999年6月)
主要研究業績とその要旨

  1. 泥炭地−森林・非泥炭地境界付近の変化.『尾瀬の総合研究(福島・群馬 ・新潟三県合同調査)』 尾瀬学術調査団,29-40,1999.(相馬秀廣・阪口 豊)
     泥炭地と森林・非泥炭地との境界付近における変化を2箇所の斜面泥炭地で検討した。その結果、少なくとも浅間Bテフラ降下(AD1108年)頃までは現在よりも泥炭地域が山側へ拡大しており、その後流入土砂の増加に伴い泥炭地が中心側へ100mほど縮小し、さらに現在にかけて再び山側へ拡大したこと、また、ケルミ−シュレンケ複合体が、浅間B降下以降の土砂流入後再び拡大した泥炭地にも新たに形成されていたことなどを明らかにした。

  2. Silk Road from the Satellite Images - Relics and Oases. “The Silk Roads Nara International Symposium '97 −The Silk Roads of Sanzo-Hoshi・Xuanzang - The Climate and His Foot-Steps”, 50-64, 1999.
     中国西域から中央アジアにかけて分布する主要なオアシスを、衛星画像・Corona衛星写真の判読および現地調査などから、現在の位置・立地条件などに着目して、大きくは2つ、細かくは8つのオアシス型に分類した。次いで、漢−唐代の主な遺跡と現在のオアシスに関して両者の距離・オアシス型・自然環境などを比較し、遺跡は現在のオアシス内にあるもの、現オアシスから10−20kmほど下流側にあるもの、100km以上離れてものに大別されることなどを指摘した。

  3. CORONA衛星写真からみたウズン・タティ遺跡付近−西域南道扞弥国とのかかわり−.国立歴史民俗博物館研究報告」,81集,227−245,1999.
     中国タリム盆地南縁中央付近、現在の策勒オアシス北約20km弱にあるウズン・タティ遺跡の立地条件などをCORONA衛星写真から検討した。策勒から同遺跡付近にかけては明瞭な分流跡や一部に建物跡を伴う方形の区域が断続的に存在し、かつて山麓−河畔型オアシスが形成されており、漢書『西域伝』にある扞弥国がその付近に分布していたこと、タリム盆地の古代交通路では南北方向のルートの再検討が必要なことなどを指摘した。

  4. トルファン盆地の遺跡の立地条件−CORONA衛星写真の判読を中心として−.シルクロード学研究,8(トルファン地域と出土絹織物),37-78,2000.
     上記タイトルの内容について、石器時代・漢代・唐代などに時代区分された遺跡のうち、漢代のものは河川沿いを中心に現在のオアシス分布とほぼ重なる範囲に分布すること、16倍ルーペによるCORONA衛星写真の実体視判読から、長らく盆地の主邑であった高昌故城の東西では、地形の違いを反映して壕や水路の人工改変の様子が異なること、柳中故城では西からの進入路と壕跡の新旧関係から、時代を異にする複数の支配主体が存在したこと他、を指摘した。

  5. 高位泥炭地の保全と今後の課題−尾瀬ヶ原を中心としてー.「研究年報」(奈良女子大学文学部),45,129-146,2001.
     現在の尾瀬ヶ原が晩氷期から完新世初頭にかけての泥炭地化から現在の景観・微地形形成に至るまで、性格を異にする区域がモザイク的に集まり構成されていること、その結果として、景観・微地形などの保全に必要とする条件が場所ごとに異なり、泥炭地とりわけ高位泥炭地の保全を考える際、区域ごとの特徴を踏まえた細やかな対応が必要である点を、山側縁辺からの土砂流入の影響、微地形の形成時期、拠水林の特徴などから具体的に指摘した。

  6. シルクロード今昔 3つの時期の都市プランが残るサマルカンド.地図ニュース((財)日本地図センター,317,11-14,1999年.
     ほぼ一頁大に印刷したCorona衛星写真の実体視と以前の現地調査により、中央アジアの代表的な古い都市であるサマルカンド市街地では、チンギス・ハ−ンにより徹底的に破壊されたとされるアフラシャブ丘に切土地形や方形に近い区画など破壊前と推定される遺構の存在、チムール時代に建設され現在観光のシンボルである複数の建物とイスラム都市としての街並み、さらに、帝政ロシア時代に建設された新市街地が、それぞれ確認できることを指摘した。

奈良女子大学 文学部 地域環境学コース
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