研究内容
【当センタ−の研究概念図】
紀伊半島における畔田翠山,南方熊楠らの自然史研究,さらに本学における数十年の生態学研究の成果の蓄積のもとに,二つの研究グループが下記の研究A及びBを進めています。


生物圏地球圏研究グループ
(1)生物間共生機構の解明
(2)生物多様性の保全
(3)紀伊半島から全球に至る自然環境変動の解明と影響評価
[→詳細はこちら]



化学物質研究グループ

(1)環境中における化学物質の動態の解明
(2)環境共生的な食生活の構築
(3)環境保全型新規「イオン性液体」媒質の開発
(4)共生循環型物質変換システムのための人工光合成の構築
[→詳細はこちら]
A: 生物圏地球圏研究グループ
本研究グループでは、生物間共生機構の解明、生物多様性の保全、紀伊半島から全球に至る自然環境変動の解明と影響評価に関する研究を進めています。
A-1.干潟・汽水性生物の保全生物学

 干潟や汽水域は、人間社会の活動による影響を最も強く受けてきた海岸環境であり、そこを住み場所としている固有の生物の減少、絶滅が危惧されています。干潟や汽水域に生息するカニ類、貝類の生態的特徴や遺伝的特養を明らかにし、日本各地の分布の現状も踏まえて、その保全に貢献するための基礎的研究を行っています。

A-2.人工衛星データの画像解析による、陸域自然環境変動の解析

 人工衛星データを用いた陸域環境変動モニタリングを目的とし、植生総生産量推定アルゴリズムの開発、植生タイプの分類手法の開発、および、奈良県の林業支援を目的として衛星データの利用可能性に関する研究を行っています。
 植生総生産量推定の手法に関しては、光合成過程をそのキャパシティと気象要因などのストレスによる抑制部分に分離し、それぞれの過程に対応する推定手法の開発を行っています。近赤外と緑色の波長での分光反射率を用いたクロロフィルインデックスが個葉ではクロロフィル量と線形関係にあることを確認し、樹冠では光−光合成曲線の光飽和時での最大光合成量と線形関係にあることを明らかにしました。さらに、これらの結果から、光−光合成曲線を導入した総生産キャパシティの推定の枠組みを構築しました。光合成の抑制部分に関する研究は、地上での光合成と葉温の日変化の観測とモデルを用いた解析により取り組んでいます。
A-3.河川流域からみた紀伊半島の自然環境特性に関する研究

 紀伊半島は、豊かな自然が残る一方で、古代日本にまで遡る、多様な人間活動の足跡が残されている地域でもあります。そのような自然と人間との歴史的な関係性も意識しながら、紀伊半島の生物学的調査研究とも関連して、流域を単位としたみた地形や水文環境など、自然環境特性の解明についても研究をすすめています。
A-4. 有害紫外線モニタリングネットワークへの参加
 成層圏オゾン層の減少により、地上に到達する有害紫外線(B領域紫外線:UV-B:290-320nm)が増加しています。この領域の紫外線は、生物に皮膚がんや白内障などの眼疾患を誘発します。
 奈良女子大学の屋上に紫外線測定装置(UV-A、UV-Bおよび日射量測定装置)を設置し(図1)、測定を継続しています。図2は、年間の日射量と紫外線量の日変動を月ごとに示したものです。国立環境研究所が中心となって、全国24の大学、研究機関が参加して有害紫外線モニタリングネットワークを形成していますが、共生科学研究センターもこのネットワークに参加しています。
A-5. スクミリンゴガイをめぐる種間関係とそれを利用した外来種管理技術の開発
 

南米原産の淡水巻貝スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)が日本に侵入してから,在来種との間にどのような種間関係を築き上げてきたのかについて調べています。生物相,特に捕食者相が豊かな場所ではこの貝の定着は困難であることが分かりました。豊かな環境を維持し,あるいは復元することによって,在来天敵相を活用した新たな外来種管理技術の開発を行っています。


A-6. 現代の民俗事例における堅果類の食制の研究と,歴史遡及的な民族考古学的研究

 平成13年以降、紀伊半島の中心に位置する奈良県川上村でトチノミのアク抜き方法の現地調査を実施してきました。川上村のトチノミのアク抜き方法は、加熱処理をともなわない非加熱処理に特徴があり、飛騨地方や他地域のアク抜き方法と大きく異なっています。このような、堅果類のアクヌキ方法の差異は、環境的な要因ではなく、処理方法の学習や伝承等によって形成されるものと推定されます。さらに、このような堅果類の食習慣が、歴史的にどこまで遡りうるのかも重要です。近世の農業書には堅果類について記されているが、中世には史料が少なく、考古学的資料も乏しいのが現状です。縄文時代には盛んに食されていた堅果類が、稲作や畑作の受容のなかで、どのような変遷をたどって現在の姿になったのか、この変化の過程を解明したいと考えています。

A-7. 紀伊半島の水害常襲地域における流域社会の変容と災害対応に関する研究

  本研究では、2011年の台風12号紀伊半島大水害の被害地域でもあり、且つ国内有数の多雨地域で歴史的にも多くの洪水被害や土砂崩れに見舞われてきた熊野川流域を対象として、災害発生以前の状況(流域の自然環境、災害に備えるための知恵や技術、災害に対応する社会の仕組み)、災害発生時の状況(地域住民、被災者の経験・記憶)、災害発生後の対応(行政担当者、地域外の人々の経験)を個別の災害ごとに整理するとともに、それらの時代ごとの変容を、災害の地域誌として体系的に整理し、災害多発地域で自然とともに生きることの意味を再考していきます。
ページの先頭へジャンプ
B: 化学物質研究グループ
本研究グループでは、環境中における化学物質の動態の解明、環境共生的な食生活の構築、環境保全型新規「イオン液体」媒質の開発、共生循環型物質変換システムのための人工光合成の構築等に関する研究を進めています。
B-1.環境保全媒質「イオン液体」の開発とその機能性の追及
 食塩のようにイオンから成る化合物はイオン間の相互作用が強いため,800 ℃にまで温度を上げないと液体にならないことは良く知られています。しかし,有機物から成る塩の場合,構成イオンの分子構造が非対称的でフレキシブルであると,融点が非常に低くなり,室温でも液体になる例が幾つか知られ「イオン液体」と呼ばれています。これらは蒸気圧が非常に低く,揮発しにくいために溶媒として毒性が低い(グリーンソルベント)のが特徴ですが,同時に様々な機能性を持っている場合が多く注目されています。我々の研究室で開発された,例えば右下のキレート構造を持つ液体は,金属イオンや二酸化炭素などの「ルイス酸」を強く吸収する性質を持っているため,右上図のように,水溶液からも容易に重金属イオンを抽出できますし,二酸化炭素吸収剤として利用することが期待されます。
B-2.金属イオン蛍光プローブの開発
 新規に開発した化合物であるTQENを基本骨格にした金属イオン蛍光プローブの開発を行っています。分子骨格の変更や,適切な置換基を適切な位置に導入することにより,蛍光特性と水溶性の改善を行い,高い感度と高い金属選択性を有する蛍光性金属イオンセンサーを開発しています。水銀イオンのような,特定有害金属イオンの検出や除去に役立つと期待されています。

B-3.環境共生的な食生活の構築

 現代の食生活は、生産、流通、廃棄において、環境に大きな負荷を与えている。 これに対し、環境への負荷を小さくする方法を提案し、環境共生的な食生活の構築を図る。現在は、地産地消の推進による流通エネルギーの削減や食品の調理加工における消費エネルギーの削減に取り組んでいます。
B-4.真菌の化学生態学
 カビは様々なニオイ物質を放散し、他のカビや微生物を攻撃するだけでなく、昆虫を誘引・忌避するなど、高等な情報交換を行います。情報のやり取りに用いる化学物質を同定するとともに、化学物質を合成する代謝経路を遺伝子情報から明らかにして、その戦略を解明します。特にテルペン類は、カビの胞子形成にかかわる物質で、自らの胞子形成に関与するだけでなく、他のカビへの攻撃にも用いられます。

ページの先頭へジャンプ
.
google
小中高生向け 東吉野村野外体験実習
シンポジウム情報
奈良女子大学 共生科学研究センター
〒630-8506 奈良市北魚屋東町
【センター本部】

コラボレーションセンター 1階
107室(データベース作成室)
108室(共生科学研究センター実験室)
TEL・FAX 0742-20-3687
【センター事務担当】

研究協力課研究協力係
(コラボレーションセンター 1階)
TEL 0742-20-3762 FAX 0742-20-3958
.
.