文学部長からのメッセージ

文学部長からのメッセージ

柳澤有吾

柳澤有吾

大学で学ぶこと、その中でも、とくに文学部で学ぶ選択をするということに対しては、憧れもあれば不安もあるでしょう。純粋な学問の世界に浸ることができると思う一方で、浮世離れした話ばかりではないのかと、将来を見越して心配になることもあるかもしれません。けれども、文学部で学ぶ事柄は、社会について、またそこで生きる人間について、古今東西の知を背景に、さまざまな側面から光を当ててくれるものですから、現実世界との接点について心配する必要はありません。なによりも、多彩な職種・職場での卒業生の活躍ぶりがそのことをよく物語っています。

 とはいえ、たしかに、大学で学ぶことのなかには回り道のようにみえることもたくさんあります。ネットで検索すればすぐにわかること、多くの本に書かれているようなことも、あらためて「ほんとうにそうなのか」確認することを求められたりします。それは、何事も鵜呑みにしてはいけないというだけの話ではありません。たとえ結論は同じでも、時間をかけて物事に、あるいは人や作品に出会い直すこと、そこにあるものの感触を自分で確かめ、新たに立ち上がってくる問いに耳を傾けること、こういったことが学問するうえではとても大切ですし、またそれ自体が、何ものにも代えがたい至福の時でもあります。

 そうした問いの積み重ねのなかで培われる力は、特定の知識や技能の習得にとどまらない「生きた力」ですから、さまざまな場面、さまざまな課題に対して応用が利き、また、変化する状況に合わせて自らを更新することもできます。文学部では、コース制を採用することで履修の自由度を高めるよう配慮していますので、学部を構成する「人文社会学科」、「言語文化学科」、「人間科学科」のどこで学ぶことになっても、この一生モノの実践的な力を身につけることができるはずです。他者を知りおのれを知る。過去を知り現在を知る。ひとつのことを深く極めようとすることから広がる世界は、きっとこれまでとは違った姿をあなたに見せてくれることでしょう。

 時間がゆっくりと流れているこの奈良で、少人数制の親密な雰囲気のなか、厳しくもあたたかい先生や先輩たちといっしょに学んでみませんか。

 

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