古都奈良における生活観光

 

 

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古都奈良における生活観光 奈良女子大学
現代GP
平成19年度採択 現代GP 「古都奈良における生活観光」
−地域資源を活用した全学的教育プログラム−
  取り組み概要
教育課程   ⇒ 教育方法   ⇒ 実施体制   ⇒ 全体のスケジュール
 
本学の教育課程における位置づけ
 本学提供の教育は、教養教育、専門教育から成り立っています。両者はお互いに関連しつつ、最終的には卒業研究に結実します。本学では、教養教育の改善に取組み、平成18年度から教養科目を基礎科目群と教養科目群に二分しました。そして、基礎科目群の科目として「奈良のくらしと文化」(2単位)を開講しました。また、本学では毎年多数の学生が卒業研究に取組みますが、奈良を対象としたテーマが多いという特徴があります。
 現状のままでは、本学に入学し、奈良に興味のある学生は、1年生で教養科目「奈良のくらしと文化」を履修し、各学部・学科で教養科目や専門科目を履修した後、4年生で各々の専門領域から奈良をとらえた卒業研究に取り組むことになります。この場合、部分的には専門科目で奈良について実践的に学べますが、学部・学科の枠を超えた履修は難しく、大学教育の体系として、4年間を通じて奈良のことを継続的、効果的に学べる体制づくりはまだ始まったばかりです。
 そこで本プログラムを、広く浅く学ぶ教養科目と、深く専門的に学ぶ卒業研究の間を埋める中間的な教育プログラムとして位置づけます(図1)。そして、奈良に興味のある学生が教養教育を受けた後、学生の関心に従って奈良について実践的に学び続け、より専門的な卒業研究へスムーズに進めるようにします。結果として、本取組では、地域に自ら足を運び、そこで対象・課題を見つけ、自らまとめ上げ、わかりやすく発表する、そのような学習過程を重視します。



図1 教育課程における位置づけ

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教育課程、教育方法について
 本プログラムでは、4つのテーマを設定しています。地域資源の発掘・再評価を進める3テーマと、実際の観光設計と情報発信をすすめる1テーマからなります。テーマ設定では、文・理・生活環境3学部における研究・教育の蓄積を生かしました。各テーマでは、各学部で主に現在2〜3学年を対象に提供している授業・演習を関連づけたものと、本学で平成18年度から開講しているキャリア教育科目のキャリアデザイン・ゼミナールの中に、本テーマに合わせた独自の授業を新規に開講するものからなります。
 各テーマは、個別に地域資源の発掘・再評価を進め、毎年11月に実施される奈良のイベント「正倉院展」での情報発信を組み込んだスケジュールとします。地域資源の発掘・再評価と来訪者に提供するコンテンツ開発等、具体的な時期的目標と課題を共通に設定することによって、実践的に進めていきます。
 

取組における4つのテーマ

1) 「古都」の地域資源を現代的視点から学ぶ(主として文学部)
大学生として4年間学ぶ地である「奈良」を深く知ります。そのなかで、奈良の文化資源を発掘・再評価する能力を養います。例えば、観光化されていない祭りや芸能、文化財、生活空間に刻まれた物語、歴史、地域特産物など県内各地の多様なテーマが設定可能です。そして見出された資源を現代的視点から読み解きます。そのため地域に関わる奈良内外の人材との交流も深めつつ、地域再生への提言力を身につけます。
2) 奈良の自然と景観を再評価する(主として理学部・生活環境学部)
自然と人間生活の間にサステイナブルな関係が構築されてきた奈良の景観をマクロな視点とミクロな視点で捉え、生活観光資源として活かすために再評価します。特に、市街地に隣接する原生林の景観、社寺境内の宗教的景観、平城京域の田園的景観、さらには伝統的市街地の町並み景観にいたるまで、多様な歴史的景観をコンパクトな空間領域の中で体験できる特徴を生活観光の設計に組み込む方法について学びます。
3) 生活環境を再評価する(主として生活環境学部)
伝統的な衣・食・住の形態の再評価を行います。都市としての長い歴史をもつ奈良において蓄積されてきた人間の生活の基本をなす経験知があります。これは、安定的な自然生態系の維持と健康で文化的な生活を持続的に営むために継承されてきたライフスタイルです。ここでは、奈良における伝統的な生活様式を再評価し、生活観光の資源として活かすための方法について考えます。
4) 生活観光の設計と情報の発信
1)〜3)の生活観光資源の再評価に基づき、具体的な地域・地区において、生活観光の展開方法を提案し、具体的な課題に取組みます。これは、景観の保全、地区の環境整備、施設の整備などの長期的な計画と、マップ作成、観光コンテンツの作成、観光イベントの運営と実施など、奈良市や地域諸団体等と協同で実践的事業に取組みます。あわせて、本学に蓄積された研究情報のなかから、観光情報として価値のあるものを積極的に発信していきます。奈良民俗データベース(国際社会文化学科)、万葉故地データベース(言語文化学科)奈良地域関連資料画像データベース(附属図書館)、奈良盆地歴史地理データベース(21世紀COEプログラム)を連結させてプラットホームとし、テーマ1)〜3)で得られた成果を集積して公開をすすめ、観光情報発信の新しいあり方を提案します。
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実施体制
 本プログラム実施にあたっては、社会連携センターを拠点とし、3学部が協力して、テーマの体系化、教育プログラムの作成、実施、評価のマネイジメントを行います。
 また、学外協力組織と連携しながら進めます。特に平成18年度に結成された「はじまりは正倉院展実行委員会」とは密接に連携します。この実行委員会では、観光・伝統的市街地の活性化に関係する諸団体組織が協議を進めており、本学も大きな役割を果たしています。平成18年度にすでに事業を行っており、平成19年度も正倉院展に向けたイベントを実施します。
 さらに、平成17年度採択の現代GP(地域の変革を促す女性人材育成プログラム)で、地域諸団体等との連携ができており、その関係も引き続き本取組に反映されます。
 このほか、本プログラムに関係する既存の取組として、全学的に取組んでいる21世紀COEプログラム、各学部における独自の取組、地域貢献事業などがあり、それらの成果のうえに本取組を進めていきます。




図2 実施体制のイメージ


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全体のスケジュール及び年次計画
 このプログラムには、いくつかの先行する試みがあります。さらに、個別の授業やキャリア教育科目での取組があります。それらをふまえて、図のような実施計画を考えています。
 教育課程の図に示したように、この取組の対象は2〜3年生で、原則として既存科目「奈良のくらしと文化」の履修生を対象としています。ですから、取組第1年度の対象学生は、平成18年度にこの科目を履修した学生が対象となります。これらの学生は、1年ないし2年間、この取組で、奈良における地域資源の発掘・再評価・発信について実践的に学び、最終年度には最初の卒業研究履修生が出ることになります。
 第1年度には関連科目の整備、平成18年から実施している「はじまりは正倉院展実行委員会」との関係をさらに強化し、この取組の正倉院展における位置づけを明確にします。また、現代GP委員会をたちあげ、取組全体の評価を行います。
第2年度は、第1年度における、正倉院展におけるコンテンツに対する評価、現代GP委員会における全体評価をうけて、テーマごとに教育方法の改善を行います。また、前年度に参加した学生に対する指導を行う体制を整えます。
 第3年度には、とくに卒業研究の発表の場を企画し、その評価もプログラム改善に反映させていきます。平成18年度から実施している「奈良関連の卒業論文発表会」(現行の現代GP、文学部なら学プロジェクト共催)を、より充実させていきます。
 また本プログラムは、事業期間および事業終了後も奈良市が提出を予定している地域再生計画と連動させながら実施・継続していきます。



図3 全体のスケジュール

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