新しい観測装置の開発

カロリメータ検出器の実験 〜自分達で装置を作って宇宙の謎に挑もう〜


宇宙研究の新時代を切り開く観測装置としてカロリメータが注目されています。カロリメータは、ミリ波からX線にわたる広い波長域において、とても高い分光能力(波長を見分ける力)を持つ検出器です。X線に対しては、従来のCCD検出器と比べるとその60倍にあたる分光能力を実現可能です。そのため、宇宙最大の謎といわれるダークマターの探査や天体形成に伴う銀河間ガスの運動測定をはじめ、宇宙進化の解明に威力を発揮する新しい装置として期待されているのです。


X線カロリメータとは、素子を約100mKの極低温まで冷却し、入射した光子のエネルギーを素子のごくわずかな温度上昇から測る分光器です。現時点で宇宙観測用のX線カロリメータとしては、30ピクセル程度のものが実現しています。次のステップは、数100や数1000という多数のピクセルを持つ視野の大きなカロリメータを開発することです。これができれば、広大な宇宙をくまなく観測し、宇宙に潜むダークマターやダークバリオンの謎にせまる画期的な観測が実現するはずです。実際に、次世代の人工衛星DIOSやAthena+もカロリメータの搭載を計画しています。


さて、この実験の重要な課題は、多数のピクセルを持つカロリメータから実際にどのように信号を読み出すか?、その方法を見つけることです。もし、ピクセル一つを配線一本で読み出したとすると、数千ピクセルの素子を持つ大きなカロリメータでは配線の数が単純に数千本になってしまいます。それでは、配線自体から熱が流れ込み、カロリメータの高い性能を保つことはできません。このような問題を克服する新しい方法が必要なのです。我々の研究室では、究極の性能を持つX線カロリメータの多画素化の実現に向けて、JAXA宇宙科学研究所・満田山崎研究室と協力しながら、信号読み出し方法の確立を目的とした基礎実験を進めています。


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