ミッシングバリオン missing baryon

大規模構造



理科年表オフィシャルサイトより

観測技術が向上し遠くの宇宙まで観測ができるようになったことで宇宙がとても大きな構造を持っていることが明らかになってきました。星がたくさん集まって銀河を、銀河が100-1000個程度集まって銀河団という集団を形成しています。そして銀河団同士も蜘蛛の巣のような網の目の3次元構造をしていることがわかってきました。

研究テーマ

ミッシングバリオン探査

宇宙は私たちの身の回りにあるような通常の物質(バリオン)(4%)と目には見えないダークマター(23%)やダークエネルギー(73%)から構成されています。しかしたった4%しかないバリオンも近傍宇宙では半分以上が検出できていません。これをミッシングバリオン問題と呼んでいます。
ミッシングバリオンは宇宙の構造形成シミュレーションから網の目のような宇宙の大規模構造に沿って分布しているのではないかと予想されています。しかしこのガスは温度が銀河団ほど高くなく、極紫外線と軟X線の間で観測されるような温度(10万-100万度程度)で薄く広がって分布しているため現在の検出器での検出は難しいとされています。このような状態にある温かいガスをWHIM (Warm-Hot Intergalactic Medium) と呼んでいます。
このWHIMの存在を確かめるには、温かいガスに含まれる電離した酸素やネオンからの輝線放射を観測することが有効だと考えられています。そこで、私たちは銀河団周辺のWHIMの密度が高そうな部分を狙ってすざく衛星のデータから酸素輝線の検出を試みています。