スポーツ健康科学コース

行動と知性を支え、健康を創るスポーツ科学

コースの概要

近年、スポーツや身体にかかわる教育の重要性は高まってきており、求められるニーズも多様化しています。スポーツが私たちの生活でより密接なものとなり、コミュニケーション能力の獲得など、スポーツが秘めている可能性に注目が集まっているからです。
本コースでは、そこで生み出される個人や社会にかかわるさまざまな現代的課題について、主としてスポーツ科学、体育学等の研究方法を用いて学びます。そして、高度な専門知識と豊かな人間性を身につけ、大学や企業といった研究職、保健体育教員をはじめとする学校現場、行政機関、地域スポーツクラブ、健康産業など、多様な領域で活躍できる人材の育成を目指します。

学べること

スポーツ健康科学コースでは、他大学の健康・スポーツ系学部・学科にはない少人数制の教育が受けられるのが最大の特徴です。「からだ」や「健康」をキーワードに、遊びや文化、スポーツの歴史や社会的意味、スポーツと教育との関わりなど、現代スポーツにおける諸問題について考えます。また、スポーツ行動における心身相関のモデルや動きの生理学的機序の側面から、個人と社会の生活を支える「こころ」と「からだ」の調和について学びます。
様々なスポーツ種目の実習では、人間の身体的コミュニケーションの重要性を視野に入れ、自らの能力を向上させる工夫や試行錯誤の過程を重視しつつ、身体感覚を養います。そして、文献講読や実験実習、およびレポート作成などを通して最終学年での卒業論文執筆の準備を行います。この過程は“身体に蓄積された知を言語化する”トレーニングともなりえます。
また、フォローアップ研修会、ブリッジテラスといった地域貢献事業や実習で、地域の方たちと一緒に運動やスポーツを行いながら、主体的に学ぶ場が用意されています。

教員紹介

井上 洋一教授

主な担当科目
スポーツ法学、体育・スポーツ史、体育・スポーツ事故論、個人スポーツ実習A
研究内容
現代スポーツは、文化や教育そして健康や経済などの観点から多様な価値が認められ、個人から地域社会そして国のレベルまで、その政策的意義も高まってきました。しかしその一方で、そのうちには人権、環境、契約、教育、安全などの法律的かかわりも生じています。例えば、競技会への参加資格やオリンピックの代表選手選考、ドーピングによる資格剥奪などの紛争、自然環境の保護とスポーツ施設、選手の法的地位、スポーツ指導での暴力行為やスポーツ事故をめぐる指導者の責任などマスコミをにぎわすような事件も多く起こってきました。このようなスポーツの新しい問題を法的視点から研究しています。
主な業績
  1. 井上洋一 (2012) 女性スポーツの発展と現在そしてこれから. 新井博・榊原浩晃編, スポーツの歴史と文化-スポーツ史を学ぶ-. 道和書院, pp. 179-189.
  2. 井上洋一 (2011) アスリートをめぐる課題. 日本スポーツ法学会監修, 詳解スポーツ基本法.成文堂, pp. 167-182.
  3. 小笠原正監修, 井上洋一・小笠原正他 (2005) 導入対話によるスポーツ法学. 不磨書房.

藤原 素子教授

主な担当科目
スポーツバイオメカニクス、身体運動制御論、チームスポーツ実習B
研究内容
随意動作は脳からの指令による筋の収縮によって行われます。スポーツ場面における「巧みな動作」について、筋活動分析や3次元動作解析などの手法により、熟練者と初心者の比較や動作の熟練過程、幼児の動作の発達過程について研究しています。また、スポーツ場面では、力を入れることだけでなく、場面に応じて力を抜いたり、出し分けたりすることも重要です。そこで、力をうまく調節するときのメカニズムについても調べています。
主な業績
  1. 藤原素子 (2014) 方向転換動作. 予測性姿勢制御機構の解析. 進化する運動科学の研究最前線. エヌ・ティー・エス, pp.44-51, 184-194.
  2. 藤原素子 (2013) うまく歩く・じょうずに走る. 大築立志・鈴木三央・柳原 大編, 歩行と走行の脳・神経科学-その基礎から臨床まで-. 市村出版, pp. 202-215 (第16章).
  3. 藤原素子 (2010) 方向変換走のレビュー. 体育の科学, 60: 733-738.

成瀬 九美教授

主な担当科目
身体表現学、身体コミュニケーション論、身体表現実習
研究内容
からだは感情のうつわ。うつわの形を変えて思いを表すこともあれば、形を変えたうつわが思いの所在に気づかせてくれることもあります。このような、コミュニケーションにおけるからだの役割や、身体表現活動の心身に及ぼす影響、並びに他者との関係性に及ぼす影響について、動き(ダンス/ムーブメント)に含まれる時間的要素・空間的要素・イメージ要素を取り上げて、動作分析や観察、呼吸や心拍などの測定を交えて研究しています。
主な業績
  1. 成瀬九美(2014) 即興的身体表現に対する観察の傾向性と認知様式の関連. ダンスセラピー研究, 7: 35-42.
  2. 成瀬九美(2013) ダンス授業における「即興的に踊る」体験への取り組み. 奈良女子大学スポーツ科学研究, 15: 87-90.
  3. 成瀬九美 (2010) 速度調整からみた二者間の身体的同調過程. バイオフィードバック研究, 37: 37-44.

星野 聡子准教授

主な担当科目
スポーツ精神生理学、スポーツ生理学、武道実習
研究内容
ひとは情動的・行動的・生理的に刻一刻と変化を繰り返します。特に、ストレス事態下では、状況の認知的側面が覚醒や情動を揺さぶり、身体行動の遂行に多大な影響を及ぼします。そこで生理学をベースに、スポーツと身体行動に関わる諸問題を精神生理学的に研究します。スポーツ時の心理・行動的側面を独立変数に、呼吸や心電図、血圧、眼球運動などの肉眼で観察不能な指標を非侵襲的測定した生理的変化を主たる従属変数とし、スポーツ行動における心身相関について解明します。また、からだへの気づきと自己制御や行動変容の可能性について考えます。
主な業績
  1. 星野聡子 (2012) スポーツ観戦の精神生理学. 山崎勝男監修, スポーツ精神生理学. 西村書店 (第16章).
  2. 星野聡子 (2009) スポーツ実践におけるバイオフィードバックとアウェアネス. バイオフィードバック研究, 36(2): 79-83.
  3. 星野聡子 (2007) 対戦時の社会的状況の差異が心臓活動性知覚に及ぼす影響. 奈良女子大学スポーツ科学研究, 9: 85-96.

石坂 友司准教授

主な担当科目
体育社会学、生活と生涯スポーツ論
研究内容
近年、オリンピックやFIFA・W杯をはじめとするスポーツ・メガイベントが注目を浴びています。都市・地域・国家はなぜメガイベントの開催を必要とするのでしょうか、また、そのような社会をどのように考えることができるでしょうか。イベント開催はポジティブな効果ばかりではなく、ネガティブな効果・遺産を生み出すことも多く、時に地域の生活を大きく変容させます。メガイベント開催とともに生じるさまざまな遺産と課題、地域の変容をとらえるために、1998年に開催された長野オリンピックなどを事例に調査研究をしています。また、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックとの比較研究も開始しました。
主な業績
  1. 石坂友司・小澤考人編(2015)オリンピックが生み出す愛国心─スポーツ・ナショナリズムへの視点─. かもがわ出版.
  2. 石坂友司・松林秀樹編(2013)<オリンピックの遺産>の社会学-長野オリンピックとその後の10年-. 青弓社.
  3. 石坂友司 (2009) 東京オリンピックと高度成長の時代. 年報・日本現代史, 14: 143-85.

中田 大貴准教授

主な担当科目
スポーツ心理学、生活行動変容論演習、認知神経科学論、チームスポーツ実習A
研究内容
ヒトの日常生活における動作やスポーツ活動は、視覚、聴覚、体性感覚などの感覚器官から伝えられる様々な感覚情報と、脳から発せられる運動指令をうまく組み合わせることによって成り立っており、その運動中の感覚認知メカニズムについて研究しています。またスポーツ場面では、瞬時に周囲の状況をできるだけ早く正確に把握し、次の行動に備え、準備と予測をすることが必要です。その「一瞬の間」に行われる感覚情報の認知や、実際に動作を行うのか、行わないのか、もし行うとしたらどのように行うのか、といった意志決定メカニズムについても研究しています。
主な業績
  1. Nakata, H., Yoshie, M., Miura, A., and Kudo, K. (2010) Characteristics of the athletes' brain: Evidence from neurophysiology and neuroimaging. Brain Res Review., 62: 197-211.
  2. Nakata, H., Sakamoto, K., Honda, Y., Mochizuki, H., Hoshiyama, M., and Kakigi, R. (2009) Centrifugal modulation of human LEP components to a task-relevant noxious stimulation triggering voluntary movement. NeuroImage., 45: 129-142.
  3. Nakata, H., Sakamoto, K., Ferretti, A., Perrucci, G.M., Del Gratta, C., Kakigi, R., and Romani, G.L. (2008) Somato-motor inhibitory processing in humans: An event-related functional MRI study. NeuroImage., 39: 1858-1866.
           

大高 千明助教

主な担当科目
心身健康学研究演習Ⅰ、健康運動実習Ⅰ・Ⅱ
研究内容
ヒトは日常生活やスポーツ場面において、全力での力発揮はもちろん、少しだけ力発揮すること、ゆっくり動くこと、力を緩めることなど、対象物や相手に合わせて力を出し分けることによって多くの動作を遂行しています。このような力の調節能、随意運動制御のメカニズムについて研究しています。幼児や児童を対象とした調節能の発達過程についても検討しています。また、感覚を含む運動スキルについて、例えばスポーツ選手が魅せるプレーの上手さは、どのように評価することができるのか、スポーツバイオメカニクス的な観点から動作の仕組みを調べています。
主な業績
  1. Ohtaka, C. and Fujiwara, M.(2016)Control strategies for accurate force generation and relaxation. Perceptual and Motor Skills, 123: 489-507.
  2. 大高千明,藤原素子(2016)等尺性脚伸展動作における脱力を介した出力の切り換え. 体育学研究,61,489-501.
  3. 大高千明,梅本麻実,藤原素子(2016)幼児の目安跳び動作における認知とパフォーマンスの関係. 発育発達研究,71,9-17.