臨床心理学コース

こころを知り、己を磨き、人を支える力に

コースの概要

臨床心理学コースでは、こころをキーワードに私たちの健康について考えます。
こころというのは、目で見たり、手で触ったりすることができないものですが、実は人間にとってもっとも重要なものと言っていいかもしれません。こころに何か問題が生じると、私たちは日々の生活を順調に送ることができなかったりします。このようなこころの健康に関するさまざまな問題を正しく捉える方法を学ぶとともに、どのようにすればそれら問題を抱えている人たちの回復を援助できるのかという実践的な知識を身につけます。卒業後は、臨床心理学に関する専門業務、あるいは人との関わりが重要となるさまざまな仕事で活躍できる人材を育てます。

学べること

本コースではこころをキーワードに心理学の立場から私たちの健康について考え、研究や実践をおこなっています。こころの問題にはうつ、不安、依存症、不登校、非行、心理発達上の問題など様々なものがあります。このようなこころの問題を科学的に正しく理解するために、臨床心理学を中心に様々な学問領域から学びます。例えば家族関係からこころを理解しようとする家族心理学、学校や教育とこころの問題とその援助を探る教育・学校臨床心理学、こころの発達を探ろうとする発達臨床心理学、自分らしさや人格をどのように形成していくのかという人格形成論、犯罪や非行の問題を科学する犯罪心理学などです。
また心理学実験や心理査定などの演習、臨床心理学に関する実習を通じて、こころのメカニズムやこころの問題を理解する方法論を体験的に学びます。さらに、どうすればそれらの問題を抱えている人たちの回復を援助できるのかという実践的な知識や援助方法の基礎を習得することを目指しています。

教員紹介

伊藤 美奈子教授  臨床心理士・公認心理師

主な担当科目
【学部】教育臨床心理学(教育・学校心理学)、学校臨床心理学
【大学院】臨床心理学面接特論Ⅰ(心理支援に関する理論と実践)、教育心理学特論(教育分野に関する理論と支援の展開)
研究内容
教育現場におけるさまざまな心の問題(不登校やいじめ、教師のメンタルヘルス、スクールカウンセリングなど)についての調査研究と心理臨床実践を行っています。また、思春期以降の人格形成(個人化・社会化)や東京都と共同で自尊感情に関する研究も行ってきました。さらに、不育症(習慣性流産)に苦しむ女性への支援を目指したグリーフケア研究も始めています。
主な業績
  1. 『不登校 その心もようと支援の実際』(金子書房,単著)
  2. 『思春期・青年期臨床心理学』(朝倉書店,編著)
  3. 『スクールカウンセラーの仕事』(岩波書店,単著)

岡本 英生教授  臨床心理士・公認心理師

主な担当科目
【学部】司法・犯罪心理学、感情・人格心理学
【大学院】臨床心理学面接特論Ⅱ、犯罪心理学特論(司法・犯罪分野に関する理論と支援の展開)
研究内容
専門領域の中心は犯罪心理学と犯罪学ですが,そのほかに心理テストをはじめとした心理査定法についても研究しています。主な研究テーマは,なぜ人は犯罪をするのか,どのようにすれば犯罪者は犯罪をくり返さないようになるのか,そして犯罪の発生を減らすためには何が必要かといったことです。犯罪というのは特別な現象ではなく,私たちの日常生活でもしばしば見られますが,このような犯罪を少しでも減らすことで,人々が安心して暮らすことができる社会づくりに貢献できると考えています。
主な業績
  1. 『コンパクト犯罪心理学』(北大路書房,共編及び分担執筆)
  2. 『大災害と犯罪』(法律文化社,分担執筆)
  3. 『非行からの立ち直りの要件』(現代のエスプリ,462,170-180,単著)

黒川 嘉子准教授  臨床心理士・公認心理師

主な担当科目
【学部】臨床心理学概論、発達臨床心理学(発達心理学)
【大学院】臨床心理学特論Ⅱ、心理療法特論
研究内容
赤ん坊が、養育者など他者との関係性のなかで、どのように心の世界を築いていくのかを研究しています。
子どもへの遊戯療法、乳幼児の発達相談や子育て支援、発達障害への心理療法的アプローチなどを通して、遊びに表現される子どもの心、乳幼児と養育者の情緒的かかわり合い、言葉の問題などを探求しています。
主な業績
  1. 『遊戯療法の過程―遊ぶこと・話すこと―』(現代のエスプリ別冊・臨床心理面接研究セミナー,至文堂,共著)
  2. 『自閉症児における自分ではない(not-me)体験―ある発達検査場面での形合わせ遊び を通して―』(遊戯療法学研究,5(1),3-11)
  3. 『移行対象・移行現象に関する二つの視点』(心理臨床学研究,22(3),285-296)

梅垣 佑介専任講師  臨床心理士・公認心理師

主な担当科目
【学部】心理検査法(心理的アセスメント)、心理学統計法
【大学院】学習心理学特論、心理統計法特論
研究内容
うつ・不安を感じた時によくみられる反すう思考に注目し、認知行動療法に基づく介入の効果とその測定方法を調べています。また、援助要請行動のプロセスや、心理療法の「共通要因」についても研究を行っています。
主な業績
  1. "A rumination-focused cognitive-behavioral therapy self-help program to reduce depressive rumination in high-ruminating Japanese female university students: A case series study" (Cognitive and Behavioral Practice, 29, 468-484, 共著・筆頭)
  2. "Psychometric properties of the Japanese CES-D, SDS, and PHQ-9 depression scales in university students" (Psychological Assessment, 29, 354-359, 共著・筆頭)
  3. 『うつと援助をつなぐ―援助資源マッチングに向けた臨床心理学研究―』(東京大学出版会, 単著)

時岡 良太助教  臨床心理士・公認心理師

主な担当科目
【学部】心理療法学(心理学的支援法)、心理学実験演習(心理学実験)
【大学院】発達心理学特論、臨床心理学研究法特論
研究内容
主に学生相談の領域において、カウンセリングのプロセスの中でクライエントがいかに主体性を持てるようになるのかについて探究しています。また、現代の青年の主体のありようを考える上で、自己の多面性や、インターネットを介したコミュニケーションの影響に着目した研究を行ってきました。
主な業績
  1. 『「自分」とは何か―日常語による心理臨床学的探究の試み―』(創元社,単著)
  2. 『高校生の LINE でのやりとりに対する認知に現代青年の友人関係特徴が及ぼす影響』(パーソナリティ研究,26(1),76-88,共著)
  3. 『「自分がない」 という日常語の意味についての心理臨床学的考察』(心理臨床学研究,33(6),625-634,単著)