生活健康学コース

健康的な生活環境と生活習慣の創造

コースの概要

生活健康学コースでは、主に生活環境や生活習慣が健康に与える影響について、衣食住、運動、休養、ストレスなど様々な視点から、生理学、人間工学、生化学、神経科学、薬理学、行動科学など様々な手法を用いて総合的に教育研究しています。これらを学び研究することで、健康に良い生活環境や生活習慣(ライフスタイル)が見えてくるでしょう。健康で充実した生活を送るための生活環境や生活習慣を創造できる人材を育成しています。

学べること

生活健康学コースでは、健康で、快適かつ安全な生活のあり方を考えるための基礎を学び、応用力を習得することを目指します。従来の衣食住に関する基礎的な事柄だけでなく、運動、休養、ストレス、生活環境などのように生活に関わる様々な現象を、生理学、栄養学、保健学、人間工学など、学際的な視野を持って学習します。人の身体の機能やその調節機構、人の身体に及ぼす生活環境の影響などについて学び、健康にするための生活改善など日常生活に関わる問題点を発見し、科学的・客観的視野に立って評価し、問題解決のための方策を立案・実行できる人材育成を目指します。
講義で各分野の基礎を、実験実習で科学的評価方法の基礎を学習し、卒業研究では、講義や実習で培った能力を発揮して、世界に発信できる研究に取り組みます。
多くの人たちに、健康で充実した生活を送るための生活環境や生活習慣を提案できる人材の育成を目指しています。

教員紹介

三木 健寿教授

主な担当科目
栄養生理学、自律神経科学、人体計測実習
研究内容
自律神経は「こころ」と「からだ」を結ぶ情報伝達経路であり、交感神経と副交感神経からなります。(1)運動、睡眠、飲食時など日常生活における交感神経活動と循環動態との関係について, (2)不安や恐怖を感じるとき、あるいは恐怖体験を思い出すときに交感神経活動がどのように変化して循環機能に影響を及ぼしているのかについて研究しています。交感神経による「こころ」と「からだ」のつながりを明らかにすることは、心身の健康の維持増進につながります。
主な業績
  1. Miki, K. Yoshimoto, M., Sympathetic nerve activity during sleep, exercise, and mental stress Autonomic Neuroscience 174:15-20, 20, 2013
  2. Miki, K., Yoshimoto, M. Cardiac-renal neural reflex operates as a primary negative feedback loop for maintaining body fluid homeostasis. In: The neural and hormonal regulation of kidney function., ed by J. Coote, H. M. Snow, Shaker Verla, Germany PP. 1-27, 2012
  3. Yoshimoto, M., Miki, K., Chronic Angiotensin II Infusion Causes Differential Responses in Regional Sympathetic Nerve Activity in Rats Hypertension 2010;55;644-651, 2010

森本 恵子教授

主な担当科目
【学部】生活保健学、生活内科学、ストレスの科学実習
【大学院】心身医学特論、生活医学演習、生活健康論Ⅱ
研究内容
女性ホルモンであるエストロゲンは血管を若々しく保ち、心疾患や脳卒中などの原因となる動脈硬化を防ぐ働きがあります。エストロゲンはどのようにして血管の老化を防ぐのか、その作用として、1)エストロゲンには精神性ストレスを受けた時の血圧上昇反応を緩和する作用を見出しました。また、2)脂肪の摂食抑制作用、インスリン感受性や脂肪代謝の亢進作用にも着目し研究を進めています。このように、エストロゲンの作用機序を解明することによって、女性のライフステージに依存する女性ホルモンの変動を考慮し、女性の生涯にわたる健康増進に役立つライフスタイルの提案を目指しています。
主な業績
  1. Tazumi S, Omoto S, Nagatomo Y, Kawahara M, Yokota N, Kawakami M, Takamata A, Morimoto K. Estrogen replacement attenuates stress-induced pressor responses through vasorelaxation via β2-adrenoceptor in peripheral arteries of ovariectomized rats. Am J Physiol-Heart Circ Physiol. (in press) 2017
  2. Tazumi S, Yokota N, Kawakami M, Omoto S, Takamata A, Morimoto K. Effects of estrogen replacement on stress-induced cardiovascular responses via renin-angiotensin system in ovariectomized rats. Am J Physiol-Regul Integr Comp Physiol. 311(5):R898-R905. 2016
  3. 村井俊哉,森本恵子,石井信子編著.メンタルヘルスを学ぶ---精神医学・内科学・心理学の視点から(第2章こころとからだ,75-122頁)ミネルヴァ書房, 2015(著書)

鷹股 亮教授

主な担当科目
【学部】人体生理学、女性健康論、行動神経内分泌学、栄養学実験
【大学院】環境生理論、環境生理論演習
研究内容
"女性ホルモンであるエストロゲンには抗肥満・摂食抑制作用、抗うつ作用があることが知られています。そのため、閉経後に肥満やうつ病の発症頻度が増加します。しかし、エストロゲン欠乏がどのようにして過食・肥満、うつのを惹き起こすのかその中枢メカニズムは十分に解明されていません。我々の最近の研究から、エストロゲンが不足すると、摂食行動の日内リズムが乱れ、これが過食・肥満やうつ様行動の原因になる可能性があることが明らかになってきました。また、女性は「甘いものが好き」と言われていますが、エストロゲンがエネルギーバランス調節と甘味に対する嗜好性に及ぼす影響の関係とその中枢メカニズムについても研究しています。
本研究室では、エストロゲンが、摂取行動に及ぼす影響の脳内メカニズムを明らかにすることにより、女性が年齢に応じて健康的な生活をするための生活習慣や生活環境の創造につなげたいと考えています。
主な業績
  1. Nishimura Y, Mabuchi K, Takano A, Hara Y, Negishi H, Morimoto K, Ueno T, Uchiyama S, Takamata A. S-equol exerts estradiol-like anorectic action with minimal stimulation of estrogen receptor-α in ovariectomized rats. Front Endocrinol. (Lausanne) 8: 281, 2017.
  2. Nishimura Y, Mabuchi K, Taguchi S, Ikeda S, Aida E, Negishi H, Takamata A. Involvement of orexin-A neurons but not melanin-concentrating hormone neurons in the short-term regulation of food intake in rats. J Physiol Sci. 64: 203-11, 2014.
  3. Takamata A, Torii K, Miyake K, Morimoto K. Chronic oestrogen replacement in ovariectomized rats attenuates food intake and augments c-Fos expression in the suprachiasmatic nucleus specifically during the light phase. British Journal of Nutrition. 106, 1283-1289, 2011.

久保 博子教授

主な担当科目
環境人間工学、高齢者生活環境論、環境人間工学実習
研究内容
生活に密着した視点で、 健康で快適な生活を創造するための様々な環境条件について、 住環境学、建築環境工学、人間工学的な手法を用いて実験や実測調査により研究しています。 生活の中には興味深いテーマがたくさんありますが、中でも、「睡眠と環境」「暑さ寒さと生活」「高齢者の生活環境」の3テーマが中心です。「睡眠と環境」では健康で快適な睡眠が得られるための温熱環境や寝具・寝衣はどの様なものなのか、日常睡眠と生活活動の関連はどうかを、「暑さ寒さと生活」では、省エネルギーや快適性、個人差や年齢差、冷暖房方式や設備、住居や建物性能、生活行為などの視点から人は暑さ寒さをどの様に感じながら生活し、どの様な環境が健康で快適なのかについて、「高齢者の生活環境」ではユニバーサルデザインの観点から、生体機能の低下した高齢者の生活行動に適した睡眠環境や温熱環境を検討しています。
主な業績
  1. Yasuoka, A., Kubo, H., Tsuzuki, K., Isoda, N. , Individual differences in thermal comfort and the responses to skin cooling in young women、Journal of Thermal Biology、37/ 1, 65-71,2012
  2. 佐々尚美、久保博子、磯田憲生「高齢者の選択気温と設定気温下の人体反応特性」日本建築学会環境系論文集、77/ 676, 475-479、2012
  3. 久保博子「建築環境と居住者の生理・心理 : (6)温熱環境と居住者の生理心理」、空気調和・衛生工学、85/ 3, 209-217、2011

芝﨑 学教授

主な担当科目
【学部】環境生理学、被服生理学、人体生理学実習
【大学院】生体機能調節論、生体機能調節論演習
研究内容
天気や季節によって暑さや寒さを感じます。温度変化に対して快適性を保つために着衣量を変えたり、日向や木陰に移動したりします。このような意識的な行動だけでなく、無意識的に暑い時は汗をかいたり、寒い時はふるえたりします。このように寒暖の変化に対し、行動性(意識的)および自律性(無意識的)に身体内部の温度を一定に調節(体温調節)します。体内外の温度変化は他の身体の調節機能にも影響します。例えば、暑い時にふらついたり、ボーっとしたり、息が上がりやすかったりします。発症メカニズム(なぜそうなるのか)を実験的に検討し、主要因や関連要因を追求し、どうしたら対処できるのかを提案しようとしています。
主な業績
  1. Shibasaki M and Davis SL. Human Perspiration and Cutaneous Circulation. In Fluid Balance, Hydration, and Athletic Performance, eds., Meyer F, Szygula Z, Boguslaw W, CRC Press, Taylor & Francis Group. (2016) Sec I, chapt 3, 33-58. 
  2. Shibasaki M, Namba, M, Oshiro M, Kakigi R, and Nakata H. Suppression of cognitive function in hyperthermia; From the viewpoint of executive and inhibitive cognitive processing. Scientific Reports. (2017) 7:43528.
  3. Shibasaki M, Umemoto Y, Kinoshita T, Kouda K, Ito T, Nakamura T, Crandall CG, Tajima F. The role of cardiac sympathetic innervation and skin thermoreceptors on cardiac responses during heat stress. Am J Physiol Heart Circ Physiol. (2015) 308 (11): H1336-H1342.

吉本 光佐准教授

主な担当科目
【学部】食健康論、食環環境論、生活健康学基礎実験
【大学院】食と自律神経学特論、 食と自律神経学演習
研究内容
自律神経は中枢神経と末梢臓器を結ぶ情報伝達路で、交感神経と副交感神経からなります。交感神経は、動脈圧の変化を調節している1つの因子です。動脈圧は、運動・睡眠・飲食時などの日常生活時に、交感神経の調節を受けてある一定値を保ちながら常に変動しています。そのため、高血圧といった生活習慣病に至る過程で、交感神経活動がどのように変化して循環機能調節に影響を及ぼしているかについて研究しています。また、恐怖や不安を感じるストレス時に交感神経活動がどのように変化して循環機能調節に影響を及ぼしているのかについても研究しています。「こころ」と「からだ」を結ぶ交感神経を軸に循環動態がどう維持されあるいは破綻するかを実験的に検討しています。
主な業績
  1. Pearson JT, Yoshimoto M, Chen YC, Sultani R, Edgley AJ, Nakaoka H, Nisida M, Umetani K, Waddingham MT, Jin HL, Zhang Y, Kelly DJ, Schwenke DO, Inagaki T, Tsuchimochi H, Yamashita S, and Shirai M. Widespread Coronary Dysfunction in the Absence of HDL Receptor SR-B1 in an Ischemic Cardiomyopathy Mouse Model. Scientific Reports, 7(1), 2017
  2. Wehrwein EA, Yoshimoto M, Guzuman P, Shah A, Kreulen DL. and Osborn JW. Role of cardiac sympathetic nerves in blood pressure regulation. Auton Neutosci, 183:30-5, 2014.
  3. Miki K and Yoshimoto M. Shifts in the baroreflex control of sympathetic nerve activity induced by exercise. J Phys Fitness Sports Med, 2(3):319-324, 2013

内田 有希助教

主な担当科目
【学部】心身健康学概論Ⅱ、生活健康学概論
【大学院】生活適応学、生活適応学演習
研究内容
女性ホルモンのエストロゲンは肥満、摂食障害、アルツハイマー、睡眠障害など多数の疾患に関与することが知られていますが、その作用機序は不明な点が多いといわれています。普段意識することはありませんが、体温調節は暑熱・寒冷といった様々な環境下でも、体温を一定に保とうとする命を守るしくみです。本研究室では、女性ホルモンのエストロゲンと体温調節の関わりについて、主に実験動物(ラット等)を用いて研究しています。今までの研究から、エストロゲンが末梢だけでなく中枢(脳)にも影響し、体温調節を変化させるということが分かってきました。このような研究を通じて、女性の冷え症や、熱中症の予防、生涯にわたる快適性の向上に貢献していきたいと考えています。
主な業績
  1. Yuki Uchida, Keisuke Onishi, Ken Tokizawa, Kei Nagashima. Regional differences of cFos immunoreactive cells in the preoptic areas in hypothalamus associated with heat and cold responses in mice. Neuroscience Letters, Vol. 665:130–134, 2018.
  2. Yuki Uchida, Shuri Marui, Ken Tokizawa, Kei Nagashima. Effect of Systemic Estradiol Administration on Circadian Body Temperature and Activity Rhythms in Female Rats. Anatomy & Physiology, Vol. 7 Issue 5 280, 1-6, 2017.
  3. Yuki Uchida, Kei Nagashima, Kazunari Yuri. Systemic estradiol administration to ovariectomized rats facilitates thermoregulatory behavior in a cold environment. Brain Research Vol.1670:125-134, 2017.