国立大学法人奈良女子大学スポーツ健康科学コース

国立大学法人奈良女子大学スポーツ健康科学コース

身体表現学研究室

研究院 生活環境科学系 スポーツ健康科学領域 教授 成瀬九美

わたしたちは、日々、からだを動かしています。身体表現学では、速さや力強さや精緻さといった効率の良い動きだけではなく、人それぞれのからだづかいや人々の動き合うダイナミズムも対象とします。舞踊学や運動心理学、身体運動学の手法や考え方をベースとして、ボディ・イメージや身体感覚と関連する体の部位間のつながり(Connection)や、動き(動的/静的)の象徴性、動きがもたらす他者との相互作用(Relationship)について、基礎研究や応用・実践研究を行っています。


主な研究テーマ

  • 動作速度調整からみた身体的コミュニケーション

  • 人が出会い、時空間を共有し活動する‐日常生活で何気なく行っている社会的な関わりには、私たちそれぞれに固有の快適な動作速度Preferred Pace(PP)を離れ、他者の速度を受け入れて調整するプロセスが求められます。実験課題によって同調プロセスを可視化しています。

    「前腕回転計を用いた実験」

    「小型加速度計を用いた実験」

  • 身体表現の臨床応用(ダンス/ムーブメントセラピー)

  • 対象とする人に表れている動きを尊重し、ボディーワークや身体表現を通して動き・きもち・ことばのつながりを促進する活動の場として、ダンス/ムーブメントセラピーを実践しています。

    「ダンス/ムーブメントセラピー」

    主な卒論・修論テーマ

    <表現>

  • ダンス創作のグループワークにおける対人的相互作用とイメージ共有
  • 全身協応動作の習熟に伴う動きのなめらかさの変容
  • バトントワーリングのパフォーマンスを構成する3モードの運動感覚
  • 身体表現運動にみられる相互交流とその変容―小学校低学年の実践事例から
  • コロナ禍のライブ・エンタテイメント―現地上演とオンライン配信の共存の可能性
  • <うごき/からだをみる>

  • 人の姿勢の内的表象が空間的注意に及ぼす影響
  • 表現ポーズ鑑賞時の時間知覚のゆらぎ
  • モデルと動作者の視覚的特徴の一致・不一致がパフォーマンスに及ぼす影響
  • 他者身体との空間的および解剖学的適合性がパフォーマンスに及ぼす影響
  • 身体刺激を用いたメンタルローテーション課題からみた親近性およびイメージ操作
  • <あう/あわせる>

  • リーダー・フォロワー役割の有無が協調課題に及ぼす影響
  • 幼児の自由遊びにみられる相補的な関わりの分析
  • キャンプの自炊場面における協同作業の成立過程
  • 幼児たちの移動場面における他者への同調―手をつなぐことに着目して
  • <イメージ>

  • 棒把握課題を用いた5歳児の切り替え動作特性の分析
  • 大学生女子における心のとらわれと注意機能との関連性
  • ポジティブ機能に着目した空想傾性の分類
  • ボディイメージの変化からみた怪我や病気を経験した高齢者の回復過程