文化メディア学コース

文化メディア学コース

ごあいさつ

奈良女子大学文学部において、2008年4月に開設された人文社会学科の新しい顔のひとつが「文化メディア学コース」です。以下、本コースを紹介いたします。これをきっかけに、みなさんが現代社会における文化のあり方に興味を抱き、「文化メディア学コース」のある本学文学部の扉をたたいて下さることを願っています。

奈良女子大学文学部人文社会学科
文化メディア学コース
担当教員一同

入学からコース履修まで

受験の際に履修希望の学科やコースを決める必要はありません。
 文学部入学後、さまざまな教養科目などを通して自分の学びたい方向をさぐってください。そして、もし「文化メディア学」に関心が深まれば、2回生の段階で人文社会学科へ進み、本コース関連授業を中心に各自履修計画を立てます。そして、コース担当教員の実習や演習(ゼミ)にも参加して、さまざまな能力を習得し、卒論につながる研究を深めます。

授業科目(開講予定)

  • 文化社会学概論
  • 文化人類学概論
  • 観光文化論
  • 地域メディア論
  • マスメディア論
  • 都市文化論
  • 文化メディア学
  • 現代民俗論
  • 環境文化論
  • 文化メディアインターンシップ など

授業内容ミニ紹介

文化メディア実習

文化メディア実習

文化メディア実習

カメラやビデオの構造から、構図やライティングまで実際にデジタルカメラやビデオを操作しながら学びます。下の写真は、大判カメラを使ってカメラの構造と写真の構図について学んでいる様子です。撮影後は、コンピューターを使って画像の編集や管理をし、さらにビデオを編集して、オリジナルのムービーを制作したりします。

文化メディア学インターンシップ

公立図書館等で文化イベント企画に参加したり、シンクタンクや業界紙の仕事の現場を訪問し、実践的に学びます。将来の進路を考える際に役立つ科目です。

文化メディア学コース Q&A

Q:「文化メディア」とはなんですか。
A:ひと言でいえば、「文化を産み伝える文化」のことです。
Q:よくわかりません...。
A:「文化」と「メディア」を分けるのではなく、「文化メディア」という一つの言葉としてとらえてください。
情報をはこぶ単なる媒体(=メディア)ではなく、それ自体が何かを産み出す文化でもある媒体が、「文化メディア」です。
Q:例をあげてください。
A:一番わかりやすいのは、博物館や美術館です。
これらは、文化遺産や絵画の大切さと魅力を人々に「伝える」施設です。と同時に、展示によって美術品を「産み出す」はたらきもあります。そして、パリのルーブルなどをみてもわかるように、博物館や美術館そのものが「文化」的存在でもあります。つまりそれは、「文化を産み伝える文化」なのです。
Q:他に、「文化メディア」にはどんな例がありますか。
A:沢山あります。
音楽を例にとれば、コンサートやFM放送、CD、ネット配信などそれぞれが、音楽という文化を産み伝える文化であり、文化メディアなのです。
また、地域からの情報発信などは、地域の文化を伝えていますが、その伝え方に地域のカラーが反映され、独自の文化となっている場合も少なくありません。
Q:このコースで学ぶのはそれだけですか?
A:いいえ。いわゆる「文化」にも文化メディア的側面を見いだすことができます。
Q:具体的には?
A:現代に例をとれば、いまや日本のアニメ文化なども文化メディアです。日本独自のものを世界に伝える働きを発揮しているからです。
また、祭や芸能などは、過去の生活文化やしきたりを今に伝えるメッセンジャーであり、やはり文化メディアなのです。
Q:授業で取り上げるテーマの例は?
A:上で挙げた事柄の他に、寺社や歴史イベントなどを観光学の観点から調べたり、博物館や美術館と連携したまちづくりの取組を調査・分析するような実習が可能です。
他にも、
  1. 奈良のバサラ祭や各地に広まる「よさこい」のような現代都市まつり
  2. 新しい文化創造を担う若者や団塊の世代の動き
  3. 観光ツアー商品は地域の魅力をどう演出しているか
  4. マスメディア分析など興味深いテーマはつきません。
Q:本コースで学ぶと、学問分野的には、どのような専門知識が身につきますか?
A:文化社会学・民俗学・文化人類学・人文地理学・観光学などです。これらは、本コースを主に担当する教員の専門領域です。また、人文社会学科で取り組んでいる「なら学」をじっくり学ぶことができるのもこのコースです。
Q:将来どんな職業につながりますか?
A:就職や大学院進学など、様々な分野への将来が開けています(「卒業後の進路」の項参照)。
Q:在学中に将来へのアドバイスなどあるのですか?
A:様々な実習授業が、将来の職業イメージづくりにもつながっています。またすでに在学生を対象に、業界紙やシンクタンク、公立図書館などの見学&社員・職員との意見交換の企画を始めています。
また、本学では全学的に四年一貫のキャリア教育が展開されています。就職支援も充実しています(詳しくは、本学HPトップページの<就職支援>をご覧ください。http://koto.nara-wu.ac.jp/syusyoku/adr.htm

卒論テーマ

本コース担当教員が過去に指導した論文の事例より

  • 創造される観光―女性誌『an・an』『non・no』より
  • 電子ペットの生命
  • 音楽「作品」の社会的創造
  • 外見至上主義社会の展開―「男らしさ」と美―
  • ご当地ソングと地域イメージ ・博物館ガイドによる被爆体験継承のあり方
  • 日本人ムスリム女性の日常生活 ・ご当地ラーメン物語―佐野ラーメン
  • スローフード運動と地域活動―埼玉県の場合 ・苗字のルーツを追う
  • 温泉観光地の戦略―別府市竹瓦地区の取り組み
  • 現代におけるジャポニズム―ファッションにみる
  • 地域文化の保存と活用―富山おわら風の盆の事例
  • 現代若者の体臭感覚―無臭と香りの社会学―
  • 或る老妓の生活史―奈良・元林院に生きる―
  • 大河ドラマと地域の歴史意識 ・大和の虫送り行事の研究
  • 陶磁器から見た日蘭交流 ・四国山地の民俗食に関する一考察
  • 北部九州の特殊神饌に関する研究 ・瀬戸内の船霊信仰
  • 近世における本膳料理に関する一考察 など

卒業後の進路

本コース担当教員が過去に指導した学生の事例より

  • 文化・マスコミ関係
  • メーカー・食品関係
  • 金融関係
  • 都市開発関係
  • 流通・サービス関係
  • 商社
  • 情報関係
  • 国・自治体公務員
  • 大学院進学

コラム ぶんかめ

旅するディズニーランド

ディズニーランドはアメリカで生まれました。しかし不思議なことがひとつあります。中心のひとつが「キャッスル=城」だということです。
 本来キャッスルがあるのはどこでしょう。アメリカではなくヨーロッパのはずです。「アメリカにもお城があったらなぁ......」。ヨーロッパへのそんな憧れを、ディズニーランドは映しています。
 その後ディズニーランドは日本にもやってきました。ここにもキャッスルはあります。しかしそれを皆さんは、ヨーロッパのお城と感じるでしょうか?
 さらにディズニーランドは、フランスにもつくられました。お城はヨーロッパに里帰りしたというわけです。ホンモノのお城のある土地に、作り物のお城をもってゆくなんて、なかなか勇気のいることです。
 こうして、最初はコピーとして誕生しながら、「ディズニーのお城」という新しいジャンルができあがりました。こういう創造をしてしまうことこそ、アメリカ文化なのかもしれません。
 お城のイメージが世界を移動しながら変化していく。こんなダイナミズムも「文化メディア学」の題材のひとつです。 (小川記)

(参考文献:富永茂樹「ユーロ・ディズニーランド」)

メッセージ

文化というものを見渡せる大きな視野が、今の日本には求められています。
 このページで触れたさまざまな文化内容は、一見ばらばらです。ミュージアム・マスメディア・観光・芸能・まちづくり・地域メディア・マンガなど、これまでは、別の学問領域で研究され教育されてきました。しかし現実の社会では、これらのものは一体となり切れ目なく人びとの生活のなかに入り込んでいます。
 その全体を見渡すには、なにか軸となる視点が必要です。この新しい視点こそが、「文化メディア」なのです。それは、文化をダイナミックに、つねに創造され何かを伝えるものとして捉える見方です。
 本コースで学ぶことで、過去と現在の文化動向を見すえ、未来への新鮮な提言もできるような素養とセンスが培われることでしょう。
 歴史的な文化環境と大都市への近さ。この双方を備えた奈良は、文化への複眼的な思考をじっくり身につける理想的な場所です。ここが、あなたにとって新しい発見の場となることを願っています。

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