留学体験記<中国>

南京大学

(文学部 人間科学科 A.M.さん)
派遣期間:2012年8月〜2013年6月

私は留学を終え日本の地を踏んだ時、「ここは日本だ」と新鮮に感じました。緑の山々やコンビニの店員さんの丁寧な接客、そんな些細なことに驚きました。これは留学中に中国の文化に触れるだけでなく、中国の生活に適応していたからかもしれません。

ちょうど私が留学した時期は反日デモや空気汚染、鳥インフルエンザなどのニュースが日本で盛んに取り上げられており、日本の家族や友人にとても心配されました。しかし、そんな時期だったからこそ、身を持って感じられることがたくさんありました。尖閣諸島の領土問題で反日デモが行われていた時期は、外出するのも用心しなければなりませんでしたが、実際に接する中国人との関係には何の支障もなく、現にこうやって仲良くしているのに、なぜ政治家同士が対立し、その報道を見た何も知らない庶民が相手の国に簡単に悪いイメージを持ってしまうのか、とてももどかしく思いました。特に南京は南京大虐殺の地でもあり、日本人に悪いイメージを持っている人も確かにいます。そのことを中国人と話す機会もあったし、日本人留学生で学ぶ機会もありました。この時期に南京に留学したことは何物にも代えがたい貴重な経験となりました。

留学の中心は中国語を学ぶことでした。クラスメイトはヨーロッパ、アジア、アメリカ、アフリカなど世界各国から中国語を学びに来た人々で、中国語を通じて中国以外の文化にも触れることができました。その中には今も連絡を取り続ける友人が多くいます。

南京には南京日本語補習校という学校があり、日本人の子どもたちが勉強を補習する場として毎週土曜日の午前中に学んでいます。ここの講師はほとんどが南京に来ている留学生で、私もここで有償ボランティアに参加しました。幼児の面倒をみたり、小学生に国語を教えたり、行事の企画、実行や文集作りなども行いました。ここに来る子どもたちは、普段インターナショナルスクールや現地の学校に通っているので、周りの友達と日本語を話すことができません。この補習校は子どもたちのそのストレス発散の場にもなっていて、いかに子どもたちを受け止められるか、講師たちで話し合いを重ねました。この補習校での活動も含め、南京での日本人の方々との出会いもまた貴重なものでした。

留学で出会った世界中の人々とのつながりを生涯大切にしたいと思います。