留学体験記<ドイツ>

トリアー大学

驚くべきことに帰国してから半年が過ぎてしまいました。皆さんも同じことを感じたかもしれませんが、帰国後の半年間、2020年の前期は新型コロナの影響で短いような長いような不思議な時間でした。留学先であるドイツでの感染拡大によって留学を半年早く切り上げ4月に帰国した私は、何度も「本当なら今頃ドイツで…」などと考えながら大人しくステイホームを満喫しました。それでも帰国するまでの数週間、コロナ禍の混乱を海外で過ごすという先にも後にもないような貴重な経験をすることができたことは少し誇らしく思ったりもします。
独りで飛行機に乗り海外に行くことも、生活をすることも、長期の滞在をすることも何もかもが初めての経験でした。すべてが終わって感じた、やっておけば良かったこととやって良かったこと、この2つをご紹介したいと思います。

やっておけば良かったことは、「全力で取り組む」ことです。「初めてだから…」「まだ慣れていないから…」と、ドイツに飛び込んだ割には受け身なことを考えていたように思います。「最初の半年間はドイツに慣れていって…」なんて言っているうちに、コロナで帰国することになり、それは最後の半年間になっていました。自己管理は大切ですが、時間が限られている留学に限っては、「飛び込んでから慣れる」ことを楽しむ勇気を持つべきだったと感じています。これから留学される方は、少し無理して自分のキャパシティを広げる挑戦をしてみてほしいなと思います。

やって良かったことは、「柔軟に動くこと」です。思うようにドイツ語が話せない環境で、思い立って行った休暇中のホームステイでは、日常のドイツ語だけでなく、食生活や教育、子供の遊びなど寮生活では経験できないドイツの文化に触れることができました。「今しかできないこと」は何かを考えながら行動したことは、留学生活を充実させる一つの要素になったと思います。

長々と語りましたが一つ確実に言えることは、初めての経験は自分を成長させる、ということです。できないことに気づくのも、後悔するのも一つの成長です。交換留学の一番の目的は学問ですが、新しい環境の中でやり遂げたことは、(あるいはやり遂げられなかったとしても)自分の中の「当たり前」を考え直したり、長所や短所と向き合ったり、社会に出る前のかけがえのない経験になります。
私自身がこのような経験をする機会をいただけたこと、奈良女とトリア―大学の国際課の方々や家族にたくさんのサポートをしていただいたことに感謝しています。

トリアー大学

私は2018年9月から2019年2月まで(1学期間)、ドイツの西部(ほぼフランスとの国境)にあるトリアーという街に留学していました。皆さんにお伝えしたいことは山ほどあるのですが、ここでは主に「留学の目的地としてドイツを選択した理由」そして「多様性の中で生きるということ」についてお伝えしたいと思います。

―「なぜ英語圏じゃなくてドイツなの?」
私がドイツに留学すると報告した際、多くの人からこの質問をされました。それに対する私の答えは単純で「ドイツ語が好きで、やっていて楽しいから」です。確かに、将来役に立つのは英語なのかもしれません。しかし、だた「実用的だから」という理由でやっていたならば、途中で飽きていたでしょう。やはり何をするにも「楽しい」と感じることが一番大切なのではないかなと思います。
しかし、幼いころからドイツに興味があったわけではありません。大学入学前の私は、自分がドイツに留学するなんて思ってもみませんでした。興味をもつようになったきっかけは、大学一年次に第二外国語として選択したドイツ語の授業でした。それを通じて、ドイツに行きたい、そこで勉強したいという気持ちが強くなりました。私の大学生活を充実したものにしてくれたドイツ語に出会えてたことに心から感謝しています。

―多様性の中で生きるということ
私が留学生活を通じて一番感じたことは「自分の“当たり前”は当たり前ではない」ということです。留学中は、なるべく自分から友人に話しかけることを心がけ、交友の輪は世界中に広がりました。日々の生活や友人たちとの他愛のない会話から学べることはとても多く、毎日が学びに溢れていました。しかしそれと同時に、宗教や文化、そして価値観の違いなどに困惑することも多々ありました。なぜなら、その当時の私はすべての物事を自分の尺度、価値観のみで測っていたからです。しかし、多様性が溢れるドイツでの生活を通じて「違った価値観や考え方を理解すること、受け入れること」の大切さを肌で感じ、今ではそれらを通じて自分の世界が広がっていくことに喜びを覚えるようになりました。

―さいごに
私が留学生活で得たものは数えきれません。ドイツに留学できて幸せだったな、と心から思います。そして、留学を通じて関わったすべての人に感謝の気持ちでいっぱいです。
留学は、語学を伸ばすだけではなく、自分の世界を広げられる絶好の機会です。もし、留学するか悩んでいる方がいらっしゃるなら、ぜひ一歩前に踏み出してみてください。後悔することは絶対にないと思います。その決断が皆さんの人生を豊かなものにすることを心から祈っています。

トリアー大学

自分の留学期間に点数をつけるとしたら、百点満点中八十点ぐらいだと思う。良かったところは、留学するまで知らなかった世界に触れることができたこと、足りなかったところは留学までのシミュレートが足りず、今から思えば自分の行動範囲が狭くなってしまったことだ。

私はドイツの西の街、ルクセンブルクとの国境の近くに位置する小さなトリアという街に留学した。今から思えば、私は本当に幸運な身分だった。入国、入学などの事務的な手続きはトリア大学の国際課に助けてもらえたおかげで問題なく済ませることができた。トリア大の日本語学科や大学の合唱団で出会った人達は皆優しく親切で、彼らのおかげで私のドイツ語は飛躍的に伸びた。勉強熱心な韓国人の留学生と友達になり単語を覚えるタンデムを組み切磋琢磨した。彼女のおかげで、単語を覚えれば覚えるほど面白いほど話せるようになるという貴重な体験が出来た。また、授業中にドイツ語で質問したりドイツ語でやり取りするのも楽しかった。ドイツ語を話しているときは地に足がつかないフワフワした、魔法のような感覚で初めの方は不安になった時もあったが、きちんと納得してやり取りができると達成感がとても大きかった。

留学前に知らなかったことの一つに英語の重要性がある。留学前はとりあえずドイツ語の勉強を必死にやっていたので、現地の語学コースでは中級クラスに入ることができた。しかし、留学生間の会話で私は詰まずいてしまった。それは、休み時間に皆、英語ではなすことである。ドイツ語が出来ないクラスほど英語を使う機会が多い。最初のクラス分けテストで一時期に下のクラスに入った時、あまりにも英語でコミュニケーションが出来ないと危機感を感じた私は、何としても上のクラスに行こうと必死に勉強をした。上のクラスでは休み時間もドイツ語でやり取りする人ばかりだったので結果的にドイツ語はできるようになったが、逆に英語が話せなくなってしまった。話そうとしてどうしても恥ずかしくなってしまうのだ。これは私の今後の課題である。就職活動中も感じることだが、やはり必要とされている語学のスキルは英語である。しかもそれはただのツールでしかないので、ただ話せるよりも上のこと、それを運用していく能力が求められるのだ。今は英語で映画を見たり、新聞記事を読んだり、Podcastを聞いたりと実用的な英語に積極的に触れているが、スピーキングとライディングの能力が全然鍛えられていない状態だ。もし英語の重要性を留学前に真に理解していたら、現地のドイツ人だけではなくて他の国の人ともっと仲良くなれたかもしれない。それはとても悔しい経験で、いちばんの挫折だった。しかし、社会人になる前にこのような経験が出来て良かったとも言える。なぜなら、これから仕事をする上で英語でコミュニケーションを取る機会はどんどんあるからだ。良いアドバンテージを手に入れたということにする。