奈良女子大学の博士後期課程(ドクターコース)は2020年から,人文科学専攻・生活環境科学専攻・自然科学専攻・生活工学共同専攻の4専攻体制となり,研究科の名称は人間文化総合科学研究科となりました。これで2014年度に実施した学部の組織改編,2016年度にお茶の水女子大学と共同で実施した大学院生活工学共同専攻(博士前期・後期課程)の新設,2018年度に実施した大学院博士前期課程の組織改編と続いた一連の改革が完了し,学部から大学院博士前期課程,博士後期課程へと繋がる一連の学びの体系が確立されたことになります。本学大学院の特徴は,1)伝統に裏打ちされた先端研究の推進,2)様々な手厚い教育・研究サポート体制,3)主体的に研究が推進できる場の提供の3点に集約されます。
まず第1の特徴として,奈良女子大学大学院は長い伝統を持ち,女性研究者・専門家を輩出してきました。新しい大学院では,その伝統を活かしつつ,学生の拠って立つ基本的な学問分野の原理や考え方を明確化するとともに,分野の壁を超えた先端的・融合的な研究活動も可能な教育体系が構築されています。それぞれの研究領域において,特色のある最先端の研究が行われており,院生は自らの手でその研究を推進します。
第2の特徴として,本学では教育・研究環境の充実のための努力を日々続けています。長期履修学生制度や夜間・休日を含めた柔軟な教育指導カリキュラムの整備,キャリア開発のためのプログラム,子育て支援のためのサポート体制などはその例です。また学生への財政上の支援策として,博士後期課程では2021年度からSGCフェローシップとSGC+プログラムが始まり,さらに2024年度からSGC-NEXUSプログラムという,研究奨励費(給与に相当)と研究費が支給され,博士後期学生が経済的な心配なく研究に専念できる制度が始まりました。他にも,博士前期課程修了者博士号取得支援制度,再チャレンジ型若手女性研究者支援制度といった,本学大学院博士後期課程入学を目指す際の入学金不徴収や既修得単位認定の支援制度等の制度を導入し,女性研究者・専門家の育成支援を行っています。
第3の特徴として,本学大学院では在籍する大学院生の皆さんが主役です。自分達こそが,活力ある大学院を,そして将来の日本を作り上げるキーパーソンなのだという主体的・意欲的な意識を持った皆さんに入学いただき,適切な研究指導体制の元で,自主的な研究活動を通じて自らを高めてもらえるように期待しております。様々な問題を抱えるこの社会を変革していくためには,高い意識を持った皆さんが,科学的なものの見方を身に着け,その実践を通して,成長する必要があります。本学大学院は,皆さんが女性研究者・専門家として活躍するために最適な場を提供します。
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