研究科長挨拶


「常識は、既に或る信仰である」
 日本の哲学者・三木清が書いた、「仮説について」より引用。

 急に訪れた新型コロナウイルスの感染爆発に対応するために、私たちの生活の常識は大きく変わりました。この変化に対応し新しい日常を作るためには、複雑に絡み合う問題を同時に解決していかなければなりません。かなりピンチな状況ですが、私たちはいったいどうすれば良いのでしょうか?
 元プロレスラーのアントニオ猪木氏は、「ピンチっていうのは、ひとつのものじゃなくて、いろんなやっかいごとが『ダマ』になってやってくる。でも『ダマ』をひとつずつ解きほぐしていけば、ピンチは必ず乗り切れる」と言っています。玄田有史氏の『希望のつくり方』には、「大きな壁にぶつかったときに、大切なことはただ一つ。壁の前でちゃんとウロウロしていること。」とあります。
 では、私たちが困難な状況に対処し社会へ貢献できるようになるには具体的にどのようにしたら良いのでしょうか?その答えが、本学の人間文化総合科学研究科にあります。一見すると複雑(ダマ)に見える物事を要素に分けて、その根本原理(原理原則)を明らかにし、そこから問題を解決する能力を身に着けて行き、ひいては学術と社会とに貢献する女性人材を育成することが本学大学院教育の主目的です。
 本学大学院博士後期課程は、人文科学、生活環境科学、自然科学、生活工学共同専攻から成る4専攻体制です。学生の拠って立つ基本的な学問分野の系統や学び方を明確化し、分野の壁を越えた先端的・融合的な研究活動も可能な教育体系が構築されています。大学の学部から大学院博士前期課程、博士後期課程へと繋がる一連の学びの体系が確立されています。詳しい内容はこのホームページで是非見て頂きたいと思います。
 本学大学院は、これまでに多数の女性研究者を育成してまいりましたが、現在もさらなる女性研究者育成のために、教育・研究環境の充実の努力を日々続けています。長期履修学生制度、夜間・休日を含めた柔軟な教育指導カリキュラムの整備、キャリア開発プログラム、子育て支援のサポート体制などです。学生への財政的な支援策として、博士後期課程では2021年度入学生から開始する奈良女子大学博士号取得支援SGCフェローシップ(年間210万円ほどの研究専念支援金+研究費)に加えて、博士前期課程修了者博士号取得支援制度、再チャレンジ型若手女性研究者支援制度等々の制度を導入し、女性研究者の育成支援を行っています。
 大学院は在籍する大学院生のあなた自身が主役です。自分達こそが、活力ある大学院をそして将来の日本を作り上げるキーパーソンなのだ、という主体的・意欲的な意識を持った方に、多数、入学していただけるよう期待しております。様々な問題を抱えているこの社会を改革するためには、皆さん方に科学的なものの見方と実践とを身に着けていただき、何としても成長してもらわなくてはならないのです。本学大学院で是非お会いしましょう。

奈良女子大学大学院人間文化総合科学研究科長
渡 邊 利 雄

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