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出張講義

奈良女子大学理学部では、自然科学の基礎研究の最先端を研究者自らがわかりやすく紹介する 出張講義 を行っています。

今まで興味があったが聞く機会がなかった、奈良女の理学部でどんな研究がされているかわからなかった、という方々のために、理学部の教員が「どんなことを研究しているか」「どんな話ができるか」をまとめました。
出張講義を希望される場合は、「出張講義申込書(様式)」にご記入のうえ、奈良女子大学学務課理学部係(ri.jimu@cc.nara-wu.ac.jp)にメールにてお送りください。その他ご要望等ありましたらお気軽にお問い合わせください。(TEL 0742−20−3428、FAX 0742−20−3234)
講義内容については下記を参考にご相談ください。
なお、共同研究のご相談は社会連携センターが窓口となっておりますので、こちらもぜひご利用ください。

数学コース 出張講義

数学の論理 小林 毅 [教授]
 「数学は論理的な学問である」という話をよく聞きます.実際、高等学校の学習指導要領の中では次のように書かれています.
 第5 数学A
 ・・・
 2 内 容
 ・・・
 (2) 集合と論理
 図表示などを用いて集合についての基本的な事項を理解し、統合的に見ることの有用性を認識し、論理的な思考力を伸ばすとともに、それらを命題などの考察に生かすことができるようにする。
 ・・・
 ところが、この「集合と論理」は大部分の高校生にとっては論理的な思考力という言葉とは程遠い丸暗記すべき項目になってしまっているように見えます. ここでは数学における論理の取り扱いに関して、高校の教科書より少しだけ踏み込んだ視点でご紹介したいと思います.  
暗号のお話し他 小林 毅 [教授]
 以下のような話題で出張講義可能です。
  • 結び目の数学
  • 暗号のお話し
  • 4次元空間を感じる
  • あみだくじの話し(小学生以上)
  • 空気と遊ぼう(小学生以上)
その他「論理の話」「空間の向きと行列の話」等高校のカリキュラムに関連した話題も可能ですので希望があれば御相談下さい。  
対称性の数学 松澤 淳一 [教授]
 モザイクの模様などに見られる対称性の美しさは、古来多くの人々に愛されてきました。正多面体などの模型の製作体験を通じて、このシンメトリーの世界を紹介します。
天気予報と数学 柳沢 卓 [教授]
 毎日我々が身近に接している天気予報において、どのような形で数学が使われているのかについて解説する。更に、天気という現象の解析を行う中で提起された新たな数学的課題についても触れたい。
地図の塗り分け 片桐 民陽 [准教授]
 平面上の地図を塗り分けることを考えます。きれいに塗り分けるために、境界線を共有する国は異なる色で塗ることとします。必要な色の数はどの位でしょうか?単純に考えると、地図が複雑になればなるほど必要な色の数は増えるような気もします。地図の塗り分けについて、歴史的な話も含めてご紹介したいと思います。
トポロジー ― やわらかい幾何学 村井 紘子 [助教]
 高等学校までの幾何学では図形の「合同」「相似」という概念を学びます。「合同」とは大きさも形も同じものを“同じ”とみなし、「相似」とは大きさに捉われずに形が同じであるものを“同じ”とみなす概念ですが、大きさにも角度にも捉われずに三角形も四角形も円も“同じ”とみなす、トポロジーという分野があります。このような分野では一体何が問題になり、どのように考えたらいいのでしょうか。比較的新しい分野であるトポロジーの考え方を直感的に学びます。
関数の大きさを比較する (いろいろな不等式を素材にして) 森藤 紳哉 [教授]
 この時間では、関数の大きさを積分を用いて比較することについてお話ししたいと思います。古くからよく知られ、現在にいたるまで大いに使われている不等式のいくつかを、ハーディー、リトルウッド、ポリア3人の数学者による名著「不等式」をもとにご紹介したいと考えています。コーシー、シュワルツ、ヘルダー、イェンセンなどの名前が冠せられる不等式が中心になりますが、多くの不等式のいわば横のつながりといったようなものを強調したいと考えています。また、積分と申しましても、数列の形で書かれた不等式と同じことが多いので、これらを並列的にお話ししたいとも考えています。
確率から確率論へ 篠田 正人 [教授]
 「確率」は天気予報やギャンブルなど多くの身近な話題と密接につながっているだけでなく、数学の研究としても色々な面白い問題を含んでいる。中学・高校で習う確率の問題からどのように研究レベルにまでつながっていくかを、具体例を通して講義を行う。
強いコンピュータ将棋・囲碁プログラムを作るための数学 篠田 正人 [教授]
 将棋や囲碁は、ゲーム局面のパターンがあまりにも多いことから、強いコンピュータプログラムを作ることが困難だと言われていました。しかし21世紀に入り、コンピュータの性能向上に加えプログラムの改善により劇的に強くなり、人間のトッププレーヤー以上の強さに達しています。こうしたプログラムのために使われている数学をわかりやすく紹介します。
数式処理システム入門 加古富志雄 [教授]
 数式処理(Computer Algebra)システムとは計算機で代数等の計算を行うプログラムである。計算機で数式を扱うためのデータ構造および代数計算や微分・積分を計算するためのアルゴリズムについて述べる。
フラクタル図形とクライン群 山下 靖 [教授]
 複素数の2x2行列から海岸線や樹木の形に似たフラクタル的な図形が定義されることは以前から知られていましたが、計算機で可視化することによってはじめてその美しさと多様で精緻な構造が明らかになってきました。これらの図形とその背後にある計算について紹介します。
確率の話 嶽村 智子[助教]
 「確率」という言葉はどこかで耳にしたことがあるかと思います。身近にある事を題材に確率計算の始まりや高校数学から少し発展した内容を紹介します。確率をもっと身近に感じてもらえるようお手伝いできればと思っていま す。 確率の代表的な定理である大数の法則・中心極限定理についても触れたいと思います。


物理学コース 出張講義

放射線とイオンビーム 石井 邦和 [准教授]
 この講義では放射線や放射能といった言葉を整理し、シーベルトやグレイといった放射線関連の単位系を中心に講義を行います。また、放射線が人体にとって危ないということだけではなく、人類の近代生活にとって非常に有用であることについても解説したいと考えています。可能であれば、本学に設置されているペレトロン加速器を見学して頂くと共に、現在我々が行っているイオンビームを用いた研究の紹介をします。
記憶と想起の物理学 上江洌達也 [教授]
 脳は、大きさが0.1mm程度の神経細胞(ニューロン)が約130億個集まってできています。これらのニューロンどうしはつながりあってネットワークを形成しています。ニューロンの働きや、記憶がどこで行われるかを簡単に解説し、このようなニューロンの構造や働きを簡単化して数学的に表現したモデル、ニューラルネットワークモデルにおいて、記憶の埋め込みや想起、学習などが実現できることを説明します。
放射線物理学の基礎 小川 英巳 [教授]
 19世紀終わりから20世紀初めにかけてのX線、電子、原子核の発見に端を発し、イオンや光と物質との相互作用を研究する「放射線物理学」という分野が生まれました。また、電子や原子などは、粒子としての性質とともに波としての性質も兼ね備えており、これらの状態や振舞いを数学的に記述するために、量子力学という新しい物理の理論が、1920年代半ばに構築されました。この授業では、放射線物理学誕生にまつわる歴史的背景についてお話しした後、原子核が放射線を出して別の原子核に変わる崩壊と呼ばれる現象や、放射線の種類、及びそれらの物理的性質等について解説します。さらに、放射線と固体の相互作用に関する研究についても、幾つかのトピックスを紹介します。
素粒子論の世界 高橋 智彦 [准教授]
 物質をつくる最も基本的な粒子を研究する素粒子物理学は、ニュートリノやヒッグス粒子の研究を通じて未知の物理法則に迫ろうとしています。さらに素粒子が「ひも」だとすれば、この宇宙がなぜ存在するのかもわかると考えられています。このような研究を踏まえながら、南部、益川、小林博士が大きな貢献をされた素粒子論の世界についてお話したいと思います。
自然における形と動き 戸田 幹人 [准教授]
 自然現象には、簡単なルールから思いも依らない複雑な挙動が生じることがある。その代表例として知られているのがカオス現象とフラクタルである。カオス現象では、決定論的なルールから、予測不可能な確率的挙動が生じる。その意味で、必然性と偶然性の橋渡しとなる現象と言える。ここでは最も簡単なカオス現象と言える数学的なモデルを紹介するとともに、振り子を用いたより物理的な例も用いて、カオス現象が自然界に普遍的に存在している事を示す。フラクタルでは、入れ子のような繰り返しの図形が無限に細かく生じる。自然現象では、雪の結晶や雷の放電パターン、ひび割れのように、似たパターンが繰り返し現れる場合が良く見られる。このような現象を数理的に表したものがフラクタルである。ここでは簡単な例を用いてフラクタルに親しむとともに、カオス現象を含めて、自然界で見られる様々な形や動きを数理的に理解する試みを紹介する。
電子レンジから宇宙大爆発まで 林井 久樹 [教授]
林井・図 本講義では、高校生を対象に、光(可視光)やマイクロ波などを題材にして身近なところでいかに物理が役に立っているかということの紹介と、最先端の物理、特に宇宙の研究で可視光のみでなく電波(マイクロ波)を使うとなにが解ってきたかについてできる限り簡単に紹介します。
相対性理論入門 林井 久樹 [教授]
 現代物理学の基礎である相対性理論について高校生に分かるように解説します。また、相対論の結果が如何に生活に役立っているかについて、私の専門である素粒子物理学に関する最近の幾つかのトピックスを含めて紹介します。
原子核とハドロン: 強い相互作用をする粒子の物理学 比連崎 悟 [教授]
 世の中に存在する物質を構成する原子の中心にある原子核は、強い相互作用(いわゆる核力)で束縛されている。この原子核を構成する陽子や中性子を始めとして、強く相互作用する粒子はまとめてハドロンと呼ばれ、多くの興味深い性質を持っている。
 本講義では強い相互作用をするハドロンの物理学を基礎から現代の話題まで含めて概観する。
素粒子を捕らえる・調べる 宮林 謙吉 [教授]
 物質の最も基本的な構成要素のことを素粒子と呼びます。その実験研究をするには、素粒子を捕らえる技術=粒子検出器の技術が不可欠です。 それについて、可能ならば粒子検出のデモ実験を交え講義するとともに、講師が実際に従事している素粒子の国際共同実験とその成果について紹介します。
X線で観る宇宙 山内 茂雄 [教授]
 果てしなく広がる宇宙はどのような世界なのでしょうか、そしてどのような進化を経てきたのでしょうか。また、極限状態にある宇宙ではどのような現象が起こっているのでしょうか。宇宙物理学はこれらの謎の解明を目指しています。宇宙の観測では主に電磁波を使って行いますが、このうち、X線を使って宇宙を観測するのがX線天文学です。波長が短いX線は大きなエネルギーを持つ電磁波であるため、宇宙における高エネルギー現象の現場を探るのに適しています。これまでに行われたX線天文衛星を用いた精密観測により、様々な天体における熱的、非熱的現象をとらえ、活動的な宇宙の姿を明らかにしてきました。本講義では、宇宙物理学の特徴と基礎知識、およびX線観測から明らかにされてきた宇宙の姿を紹介したいと思います。


数物連携コース 出張講義

数学の論理 小林 毅 [教授]
 「数学は論理的な学問である」という話をよく聞きます.実際、高等学校の学習指導要領の中では次のように書かれています.
 第5 数学A
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 2 内 容
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 (2) 集合と論理
 図表示などを用いて集合についての基本的な事項を理解し、統合的に見ることの有用性を認識し、論理的な思考力を伸ばすとともに、それらを命題などの考察に生かすことができるようにする。
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 ところが、この「集合と論理」は大部分の高校生にとっては論理的な思考力という言葉とは程遠い丸暗記すべき項目になってしまっているように見えます. ここでは数学における論理の取り扱いに関して、高校の教科書より少しだけ踏み込んだ視点でご紹介したいと思います.  
暗号のお話し他 小林 毅 [教授]
 以下のような話題で出張講義可能です。
  • 結び目の数学
  • 暗号のお話し
  • 4次元空間を感じる
  • あみだくじの話し(小学生以上)
  • 空気と遊ぼう(小学生以上)
その他「論理の話」「空間の向きと行列の話」等高校のカリキュラムに関連した話題も可能ですので希望があれば御相談下さい。  
対称性の数学 松澤 淳一 [教授]
 モザイクの模様などに見られる対称性の美しさは、古来多くの人々に愛されてきました。正多面体などの模型の製作体験を通じて、このシンメトリーの世界を紹介します。
記憶と想起の物理学 上江洌達也 [教授]
 脳は、大きさが0.1mm程度の神経細胞(ニューロン)が約130億個集まってできています。これらのニューロンどうしはつながりあってネットワークを形成しています。ニューロンの働きや、記憶がどこで行われるかを簡単に解説し、このようなニューロンの構造や働きを簡単化して数学的に表現したモデル、ニューラルネットワークモデルにおいて、記憶の埋め込みや想起、学習などが実現できることを説明します。
数式処理システム入門 加古富志雄 [教授]
 数式処理(Computer Algebra)システムとは計算機で代数等の計算を行うプログラムである。計算機で数式を扱うためのデータ構造および代数計算や微分・積分を計算するためのアルゴリズムについて述べる。
フラクタル図形とクライン群 山下 靖 [教授]
 複素数の2x2行列から海岸線や樹木の形に似たフラクタル的な図形が定義されることは以前から知られていましたが、計算機で可視化することによってはじめてその美しさと多様で精緻な構造が明らかになってきました。これらの図形とその背後にある計算について紹介します。
 


化学コース 出張講義

迷子のタンパク質に鈴をつける 中沢 隆 [教授]
 現在、世界的に展開されていたヒト・ゲノム計画がほぼ完了し、約30億塩基対からなるヒトの遺伝子の塩基配列の全貌が明らかになりつつある。ところが困ったことに、実際にタンパク質として使われる遺伝情報は全体の5%前後にすぎず、そのタンパク質がいつどこでつかわれるのかさえわかっていないものが多い。逆に、あることはわかっていても遺伝子のどこに書かれているかわからない「迷子」もある。こうした迷子にどうやって化学的に目印をつけてその働きを明らかにするかについて講義する。
マススペクトルにおけるフラグメンテーションの基礎 −理論的、実験的アプローチ− 竹内 孝江 [准教授]
 マススペクトルは、生体関連物質等の微量有機分子の同定や構造解析に欠かすことのできない道具となってきており、医学、薬学、環境科学、宇宙科学、地球科学など広い分野で使われている。 マススペクトルによって分子の構造を知るためには、イオン化した分子を分解(フラグメンテーション)させ、その生成物を解析する。
マススペクトルに現れるフラグメントピークのm/z 値とイオン強度から分子構造を解析をするときに必要となる「フラグメンテーションのルール」に関する経験則と理論を紹介し、マススペクトルを解釈する過程を解説する。また実社会における応用例も紹介する。


生物科学コース 出張講義

原生生物の世界 春本 晃江 [教授]
 原生生物は、動物でもなく、植物でもなく、菌類でもない真核生物のグループですが、近年、真核生物全体の分類が大きく見直されてきました。講義では、真核生物の新しい分類法をご紹介し、従来原生生物として分類されてきた生物が、いかに多様な生物の集まりであったかをお話します。原生生物は様々な環境に適応し、地球上で十数億年もの間生きてきました。この多様な原生生物の種類、生活史、人間との関わり合いについて講義します。ビデオを用いて、さまざまな原生生物の動きを見ていただき、水の中の小さな世界で繰り広げられている原生生物の営みをご紹介します。そして原生生物の中でも、有性生殖を行い、生殖系列と体細胞系列が分化している繊毛虫類について詳しく講義します。特に、繊毛虫類の有性生殖である「接合」の開始機構について、私たちの研究内容も含めてお話したいと思います。
生体防御としての免疫について 吉川 尚男 [准教授]
 生体防御としての免疫は、例えば、はしか(麻疹)、みずぼうそう(水痘)など、子供の時期に一度感染すると、その後は再び感染しないという事実から、歴史的に昔から認識されてきた現象です。すなわち、免疫は哺乳類を始めとして脊椎動物に見られる高度に発達した自分自身を外敵から守る機構として獲得したものである。講義では、免疫のシステムについて理解しやすいように簡単に説明します。
植物の形の科学 坂口 修一 [准教授]
 動物と比べると植物のかたちは、一見いいかげんそうに見えるかもしれません。この講義では、植物のかたちには実は様々なルールが隠されていて、それがわかると 植物を見る目が変わる、そんなお話ができたらと思います。植物のかたちにまつわる遺伝子や細胞の科学に関する最近の話題もまじえながら講義します。
微生物学 岩口 伸一 [准教授]
一般的な微生物学、あるいは酵母・カビのはなし
出前実験 岩口 伸一 [准教授]
教育的遺伝子組み換え実験。 分子生物学の基礎

【備考】 要実験経費
マウス個体での遺伝子の機能を探る 渡邊 利雄 [教授]
 遺伝子から私たち人間に係わる生命現象を理解しようと主にマウスの細胞と個体で研究をしています。
 解析の対象は、自分たちが発見した新しい遺伝子からスタートし、個体で初めて解析できるもので、内容は以下のように多岐に渡っています。
「がん・白血病の発症メカニズム:がんの治療薬・予防薬の開発へ向けて」
「アルツハイマー症発症メカニズム:治療薬の開発へ向けて」
「細胞内のタンパク質輸送系の解析と個体での生理機能を明らかにする」

 以下の2つの項目に関して、高校生にも理解できるように講義いたします。
(1)遺伝子の機能を、様々な遺伝子組み換え体を用いて、プラスチックのお皿の中で飼うことが出来る培養細胞に入れて詳しく解析します。これで、細胞のレベルでの働きを知ることが出来ます。
(2)個々の細胞の機能がどのように個体としての私たちに影響を及ぼすのかについて、万能細胞であるマウスES細胞での遺伝子改変を行い遺伝子改変マウスを作ることにより解析します。
フジツボ類が魅せるさまざまな寄生の手管 遊佐 陽一 [教授]
 フジツボ類は、体の外側に殻を作って、岩や流木などに着生している海の甲殻類(エビ・カニの仲間)です。フジツボ類には特定の生物(ホスト)に着生している種も多く、ホストとの間にさまざまな関係を築いています。ホストは着生基盤としてだけでなく、隠れ場所・餌・育児の手段などさまざまな方法でフジツボ類に利用されています。その多様な手管について、スライドやビデオを交えてご紹介します。
「第3の眼」で動物は何を見ているの? 保 智己 [教授]
 脊椎動物は発達した2つの眼を持っています。しかし、哺乳類を除く脊椎動物はこの両眼に加えて、「第3の眼」を持っています。どこにあるかというと、頭頂部の頭蓋骨の下にある松果体という内分泌器官です。頭蓋骨の下にあるのですから、像を見ることはできません。明るさの情報が主ですが、魚類や両生類等では紫外光と可視光の割合を検出するという機能も併せ持っています。講義では様々な脊椎動物の「第3の眼」を紹介し、その役割についても紹介します。
草は踏まれてどう変わる? 酒井 敦 [教授]
 道端や草地にはいろいろな植物が生えていて、我々ヒトや(奈良なら)シカ、行き交う車などに踏みつけられてしまうこともしばしばです。踏まれた草は小さくなってしまいますが、悪いことばかりでもないようです。小さくまとまったおかげで体の隅々まで十分に栄養がまわり、葉っぱの光合成能力が高くなるようなのです。この講義では、奈良県のシカとササの関係を調べていて見えてきた、踏み付けと光合成の意外な関係を紹介します。
植物の「免疫」 酒井 敦 [教授]
 植物は病原体の感染に気づくと、感染された付近の細胞が「自殺」して感染の拡大を防いだり、離れた場所でも抗菌物質を作ったり、感染に素早く反応できるように準備したりして、二度目の感染の被害を小さく抑えることができます。私たちの研究室では、そんな植物の「免疫」の仕組みを調べるための「モデル実験系」をつくりました。その実験系を使って見えてきた、「自殺する細胞」の仕事ぶりを紹介します。
細胞の中の小さな細胞、ミトコンドリアと葉緑体の「核」のはなし 酒井 敦 [教授]
 我々の細胞の中にはミトコンドリアという細胞小器官があって、細胞呼吸を司っています。植物の細胞の中にはそれに加えて葉緑体という細胞小器官があって、光合成を営んでいます。これらの細胞小器官は、もとは独立して生活していたバクテリアの末裔で、いまだに自分自身の遺伝子DNAをしっかり持っています。このDNAはどんな形をしていて、どんな風にはたらいているのでしょう?細胞の進化の様子を交えて紹介します。
植物と水のはなし 奈良 久美 [准教授]
 地球上の生物は、水がなくては生きていけません。水は様々な溶質を溶かし、全ての生命現象がおこる場を提供しています。植物にとっても、水は、光合成の材料として、または細胞の成長や形(膨圧)を保つため、さまざまな無機養分や糖を溶かして運搬するために、とても大切です。そんな大切な水をどうやって植物は吸収し、必要な場所へ運んでいるのでしょうか?植物の水の輸送のしくみを、水チャネル(アクアポリン)のはたらきにも触れつつ、わかりやすくお話しします。
奈良公園にみる刺だらけのイラクサの進化 佐藤 宏明 [准教授]
 奈良公園のイラクサは他地域のイラクサと比べると、異常とも言えるくらい葉や茎に多数の刺毛を備えています。このような奈良公園特有のイラクサの進化には、奈良公園一帯で1200年も手厚く保護されてきたシカの存在が係わっています。講義では、どのような過程を経て刺だらけのイラクサが進化したのか、自然淘汰による進化の観点からお話します。
卵と精子のサバイバルレース 安田 恵子 [教授]
 1個の卵と1個の精子が出会うと「受精」が起こり、新しい生命が生まれます。受精へとたどりついた卵と精子は、いくつもの関門をくぐりぬけ、大勢の仲間達との競争に勝ち抜いた超エリート達です。生物はできるだけ優秀な子孫を確実に産み出すために、実に過酷な選別のしくみをつくっています。講義では哺乳類を中心に、配偶子形成と受精における卵と精子のサバイバルレースについてお話します。
生物共生の分子遺伝学と生化学 佐伯 和彦 [教授]
 生物学における『共生』の定義づけの後、多様で階層的な微生物との共生系の実例を紹介し、さらに、マメ科植物と根粒菌が営む窒素固定共生について共生の成立機構に関する分子遺伝学、ゲノム科学そして生化学について講義します。
 高校生物の基礎知識を持つレベル向けの「生物間共生と窒素固定入門」あるいは、基礎知識が少ないレベル向けの「植物と共生し、助け合うバクテリア:でも、共生するのも楽じゃない」を実施可能。


環境科学コース 出張講義

AMASAプロジェクト〜メタンの発生を探る〜 林田佐智子 [教授]
 環境省受託研究として推進しているプロジェクトAMASAの成果から、地球温暖化をもたらす温室効果気体メタンの発生について解説する。
環境科学における数理的手法 高須 夫悟 [教授]
 地球人口の急激な増加、伝染病の世界的流行、石油資源の枯渇といった問題が社会的に注目されるようになって久しい。本講義では、人間を取り巻く環境一般における様々な問題を数理的手法を用いて概観する。抽象的かつ簡潔な数理モデルを解析する事で、こうした問題への対処法について議論する。
フラクタル入門 高橋 智 [准教授]
 リアス式海岸線などのように大きなスケールから小さなスケールまで同じように複雑な図形として「フラクタル」と呼ばれるものがある。この授業ではさまざまなフラクタルの例、フラクタルの性質、およびフラクタルのつくられるしくみについてパスカルの3角形との関係を中心に述べていく。
宇宙から地球の観測 村松加奈子 [教授]
 地球の陸域の植生、土地の被覆状態、その変動等を人工衛星データを用いて観測する手法の原理と観測例を紹介する。(状況が許せば、地表の様々な物質の分光反射率測定の実験付き)
光と大気環境 久慈 誠 [准教授]
 大気中に浮遊する微粒子は、地表面に届く日射を遮ったり、視程を悪化させたりする事により、大気環境に大きな影響を及ぼすことについて説明します。さらに、ポータブルタイプの機器を用いて、大気微粒子の観測実習を行います。
迷子のタンパク質に鈴をつける 中沢 隆 [教授]
 現在、世界的に展開されていたヒト・ゲノム計画がほぼ完了し、約30億塩基対からなるヒトの遺伝子の塩基配列の全貌が明らかになりつつある。ところが困ったことに、実際にタンパク質として使われる遺伝情報は全体の5%前後にすぎず、そのタンパク質がいつどこでつかわれるのかさえわかっていないものが多い。逆に、あることはわかっていても遺伝子のどこに書かれているかわからない「迷子」もある。こうした迷子にどうやって化学的に目印をつけてその働きを明らかにするかについて講義する。
マススペクトルにおけるフラグメンテーションの基礎 −理論的、実験的アプローチ− 竹内 孝江 [准教授]
 マススペクトルは、生体関連物質等の微量有機分子の同定や構造解析に欠かすことのできない道具となってきており、医学、薬学、環境科学、宇宙科学、地球科学など広い分野で使われている。 マススペクトルによって分子の構造を知るためには、イオン化した分子を分解(フラグメンテーション)させ、その生成物を解析する。 マススペクトルに現れるフラグメントピークのm/z 値とイオン強度から分子構造を解析をするときに必要となる「フラグメンテーションのルール」に関する経験則と理論を紹介し、マススペクトルを解釈する過程を解説する。また実社会における応用例も紹介する。
水辺環境を整えて外来種を制御する 遊佐 陽一 [教授]
 田んぼやその周りの水路や小川などは身近な水辺ですが、そこでは外来種の侵略がたいてい起こっています。外来種はどのような環境に侵入しやすいのか、それを防ぐにはどのような環境を作り出せばよいのか、などについてスクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)を例にしてお話しします。
動物達の巧みな光環境への適応 保 智己 [教授]
 動物にとって光は重要な環境因子の一つである。そのため多くの動物が光受容器官を持っています。その構造は様々で、どのような光環境に生息しているのか、またはどのように利用しているのかによって、その形態や特性を変化させてきました。深海の微弱な光環境下に生息する動物では眼が非常に発達するものも見られますが、洞窟に生息するある種の魚類では反対に退化しています。講義では、様々な動物の視覚器だけでなく、眼以外の光受容器についても紹介します。
植物たちの化学戦争(?)「他感作用」のはなし 酒井 敦 [教授]
 植物はとてもたくさんの種類の化学物質をつくります。その一部は環境中に放出され、さらにその一部は他の植物の生長や分化に影響を及ぼします。こうした、化学物質を介した植物間の相互作用を「他感作用」といいます。この講義では、植物たちがどうしてそんなにいろいろな化学物質を作るのか、どうやって環境中に放出されるのか、どうやって他の植物に影響を及ぼすのか、どうやってそれを調べるのか、等を紹介します。
微生物と動植物の共生と地球環境 佐伯 和彦 [教授]
 目に見えない微生物は、動植物より遙か昔に地球上に出現し、地球環境の形成に重要な働きをしてきました。現在も、微生物同士、さらに動物や植物と相互作用しつつ地球や人類に多大な影響を与えています。地球物質循環における微生物と共生の役割について概説します。
光と植物の形 奈良 久美 [准教授]
 光は植物にとって大切なエネルギー源です。もし光がなかったり弱かったりしたら、植物は光を求めて上へ上へと伸びていきます。その結果、暗いところで育った植物はひょろ長いモヤシのような形になります。逆に十分な光があれば、茎が太く短く、大きくて緑色の葉をもつような形に成長していきます。また、光の有無は、地下部の根の形にも影響します。このように光によって植物の形が変わる仕組みについて、フィトクロムなどの光受容体のはたらきに注目して、解説します。
昆虫の不思議な生態 佐藤 宏明 [准教授]
(1)ファーブル昆虫記で有名なタマオシコガネ(俗称フンコロガシ)の生態をアフリカでの私自身の研究に基づき、現代の行動生態学の成果を踏まえ講義する。
(2)幼虫期に葉に潜って葉組織を摂食する蛾の生態を、植物との相互進化の観点から講義する。 
大台ヶ原の原生林の衰退とニホンジカ 佐藤 宏明 [准教授]
 奈良県大台ヶ原では、1980年代からニホンジカの増加が顕著になり、期を一にしてトウヒ林の衰退とミヤコザサ草地の拡大が始まった。ニホンジカが植生の変化に及ぼす影響について、保全生態学の観点から講義する。