歴史学コース

大学院へのいざない

歴史学コース

令和5年度よりコース再編を行う予定です。詳しくはこちらをご覧下さい。

1.歴史学コースの概要

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本コースは、日本史・東洋史・西洋史の各分野から構成されており、歴史学を総合的に勉強する場を提供しています。

各分野のスタッフが同じコースにいるため、幅広い視点から歴史を考えることができます。さまざまな地域のアイデンティティについて、あるいは、いろいろな時代の政治、文化、社会のありようについて、自分の関心を生かしながら、勉強していくことができるコースです。特に、奈良という場所は、いながらにして歴史を感じさせてくれるところです。こうした環境のなかで、あなたも、自分の興味や関心を学問の世界で深めつつ、その成果をユニークなものに育ててみませんか。

各教員の研究内容は、本学「研究者総覧」ページを参照してください。ただし、院生の皆さんは必ずしも教員の研究領域にとらわれる必要なありません。それぞれの問題意識に応じた自由なテーマをそれぞれ扱い、質の高い修士論文の作成をめざしてください。

2.こんな授業があります

修士論文の作成を進める演習授業等の他に、次のような内容の特論科目が開講されています。これらは、毎年異なるテーマで教員それぞれの専門的な研究領域を講じるものです。

日本史関係

古代国家形成史と現代における国家の問題/平安京の時代/「国風」と「古典」/東アジアのなかの南都復興/平安・鎌倉期の気候変動と社会/中世の宗教・芸能と認識論/人文学の課題と日本中世社会/中世戦国期の権力と支配原理/近代日本における民主主義論の特徴と展開/日本近代にみる自由と歴史/アナーキズムの理論と実態/戦後日本の思想/旅する人びと/歴史における身心/人新世の歴史学/

東洋史関係

モンゴル帝国期の東西交流/イラン民族史/遊牧国家論/アジア文字史/中東現代史/イスラーム思想史/ペルシア古典文学とその周辺

西洋史関係

古代アテナイの法廷弁論からみる古代民主制の特徴/ヨーロッパの都市の空間形成の歴史/キリスト教会からみた古代から中世初期の西欧社会形成過程/西洋におけるローマ法研究の展開──法史料を読む/Tacuinum Sanitatis をめぐる多角的な研究/中世スコットランド王国形成の歴史と「自由」/近世・近代(16~19世紀)フランスの歴史と文化

3.院生在籍状況

現在、本コースの在籍院生数は次のようになっています(2020年4月現在)。きめの細かい少人数教育が特徴です。

1年次 4名 2年次 6名 計 10名

4.修了後の進路

本コース修了後進路は大きく二つに分かれます。ひとつは就職、もうひとつは博士後期課程への進学です。

就職先は、一般企業以外にも、中高の教員、官公庁、メディア関係など多岐にわたっています。高等学校で歴史を担当する教員、市役所や県庁の職員、海外で交渉にあたる政府職員、企画展示を通して人々を歴史の世界に誘う学芸員、日々取材に走り回るカメラマンなど、修了者(採用決定による中退を含む)たちは多方面で活躍しています。

いっぽう、修了者のなかには、大学教員といった教育・研究職や研究を生かした専門職の道をめざして、博士後期課程に進学する人もいます。進学先は本学が中心ですが、他大学の大学院に進むケースもあります。

5.他大学との連携

他大学大学院との単位互換制度があります。京都大学大学院(文学研究科・人間環境学研究科)や神戸大学大学院(文学研究科)など提携をしている大学大学院の授業を在学中に受講し、単位を取得することが可能です。さらに履修登録により先方大学の図書館の利用が可能となる場合もあるので、研究の幅を広げることができます。

6.研究活動紹介

史学会と『寧楽史苑』

奈良女子大学史学会は、歴史学の研究・教育の発展と会員相互の親睦をはかるために、会誌『寧楽史苑』の発行、月例会を中心とした研究会、秋の総会とそれに伴う講演会やシンポジウムの開催などを行っています。歴史に関係する奈良女子大学教員・在学生・卒業生が会員です。

『寧楽史苑(ならしえん)』は、史学会が毎年一回発行している会誌です。大学院生や教員の研究論文が主に掲載されています。時には優秀な卒業論文が掲載されることもあります。月例会の研究報告の概要も載せられていますので、大学院生の研究内容を知ることもできます。

その他の研究活動

以上のほかに、在籍者がこれまで参加してきた研究会としては、次のようなものがあります:日本史研究会、大阪歴史学会、関西中世史研究会、関西フランス史研究会、関西イタリア史研究会、関西ベルギー史研究会、近代社会史研究会、関西政治史研究会、ハプスブルク帝国史研究会、母子衛生学会など。

7.修士論文タイトル

大学院博士前期課程の最終的な修学目的は、それぞれのテーマで質の高い修士論文を作成することにあります。最近の修士論文タイトルには下記のようなものがあります。

  • ドイツレクイエム考──レクイエムの母語化に宿るドイツ観──
  • 『古事記』における国家成立
  • 戦国期の宗教観
  • 仮名日記の成立
  • 平泉澄の歴史理論の展開と史学史上の位置付け
  • 崇徳天皇論
  • 能楽の本意
  • 古代・中世の統治観
  • 色彩と人間──平安・鎌倉期を中心に──
  • バイエルンにおけるナチス・ドイツの祝祭
  • 古代・中世日本における月信仰
  • 軍記物語における「敗者」の語りとその思想
  • 19世紀後半におけるインド茶の流通
  • ニホンオオカミ観の史的変遷
  • 中国の三足烏と日本の八咫烏
  • フランス革命期における政治と宗教
  • 〈元服〉の揺籃期──日本古代における人間観の考究──
  • 十五年戦争期の詩人たち──日本近代における詩の性質と民衆とのかかわりから──
  • 語られる時間──災害史料にみる「前代未聞」と過去認識──
  • 古墳時代における北部九州豪族について
  • 後期マムルーク朝におけるカイロとナイル──都市と災害の共生──

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