日本アジア言語文化学コース

大学院へのいざない

日本アジア言語文化学コース

コースの特徴

大学で培った学力を基礎に、日本と中国を中心とした東アジアの言語文化について研究します。国文学分野においては上代・平安鎌倉・室町江戸・近代(二人)のすべての時代にわたって専任教員がおり、国語学分野にも古代から現代にわたる諸問題を研究する二名の教員がいます。中国文学・中国語学分野は、古代から近世まで、専門の時代を異にする三人の教員が担当しています。

作品の精読を根本に据えた文学・言語研究を行っていますが、奈良という地の利を活かし、奈良や京都の寺社や文庫などで写本・版本を手にとっての調査・研究も行っています。一方、文献資料データベースの作成や絵画資料の画像処理の授業を受講することもできます。
 また21世紀COEプログラム「古代日本形成の特質解明の研究教育拠点」以来、拠点講座の一つとして、学会をリードする研究が進められています。特に毎年夏に本学で行われる「若手研究者支援研修プログラム」は大変有意義な試みとして注目されています。
 大学院では、学会などの研究活動も重要な位置を占めます。本学では国文学関連の学会が毎年のように開かれ(近年の例では、上代文学会、中古文学会、日本近世文学会、和歌文学会関西例会、説話文学会・仏教文学会、近代文学会関西支部大会ほか)、中国文学関係でも、シンポジウム・講演会など海外の研究者と交流する機会が多く、中国の重点大学である南京大学や台湾の国立清華大学といった提携校への留学も随時可能です。
 このような恵まれた環境のもと、本学・他大学出身者ともに切磋琢磨し、最先端の学問にふれつつ、自分自身の研究成果をも広く発表することをめざして、日夜研鑽を積んでいます。

授業科目(令和元年度開講科目より)

  • 『萬葉集』精読
  • 上代文学に関する論文の精読
  • 素行文庫本『発心集』輪読
  • 『南北二京霊地集」精読
  • 『散文棄歌集標注』精読
  • 澤田四郎作『日誌』表現と営為の相関
  • 奈良女子高等師範学校『大典記念書帖』
  • 朝日文芸欄を読む
  • 〈未来記〉の言語表現の分析
  • 『世説新語』研究
  • 中国語の最新研究論文の精読
  • 『上海俗語図説』精読
  • 二〇世紀中国文学小品精読
  • 日本語の文字・書記史・文体史に関わる論文精読
  • 広東語とはどのような言語か
  • 上代語の文法と語構成
  • 草木を描く日中古典文学作品
  • 寺社縁起の言説
  • 「名所図会」に見る江戸時代の東西文化
  • 日本近代文学の「都市テクスト論」
  • 越劇にみる伝統芸能の「保存」と「改革」
  • デジタルアーカイブのための画像データベース

進路

博士後期課程に進学したり、専修免許を取得して中学高校の教員になる者が、多くを占めます。特に近年、各都道府県の教育委員会において大学院修了者を採用する傾向があり、中学や高校の教員をめざす人には、大学院での専修免許の取得をおすすめします。また、これ以外に、大学院修了後、公務員となったり、一般企業に就職するケースもあります。博士後期課程進学後は、大学教員や非常勤講師、あるいは万葉文化館や宮内庁書陵部などの研究職に就職しています。

修士論文題目

平成30年度
  • 中国残留孤児の女性―「童養媳」との関わりから―
  • 『とりかえばや』における女君の苦悩
  • 訓仮名と上代特殊仮名遣い
平成29年度
  • 『夜の寝覚』における帝の造形―「ねたし」の用例を手がかりに―
  • 文字化されることば―〈役割表記〉の世界―
  • 杜牧詩「雨」考―思索の空間―
平成28年度
  • 九条兼実と「理」―『玉葉』を中心に―
  • 『蔵玉和歌集』における詞の生成
  • 川端康成「望遠鏡と電話」における語りと視点
  • 国定教科書における和歌及び御製
  • 金素雲の翻訳表現―日本語訳詩「野菊」の分析から―
  • 沈従文小説研究―『阿麗思中国遊記』を中心に―
平成27年度
  • 六朝期における仏教説話の展開
  • 『金剛三昧院奉納和歌短冊』考―足利尊氏の和歌を中心に―
  • 芥川龍之介「南京の基督」における翻訳と語りの問題
  • 里見弴の大正期作品における「まごころ哲学」と恋愛のイデオロギー―『多情仏心』と『今年竹』を中心に―
  • 尾崎翠「第七官界彷徨」「歩行」における〈少女〉像―小野町子という「女の子」の位置―
平成26年度
  • 宇治十帖の語りと時間
  • 方法としての「手記」―谷崎潤一郎「夢の浮橋」における〈読み〉の力学―
  • 妲妃のお百に見る毒婦像の形成
  • 仮名文における「指示副詞」の機能
  • 家持歌における「うつろふ」―「常無し」との関連―
平成25年度
  • 史書としての『先代旧事本紀』―先行諸書との関連―
  • 藤原俊成『五社百首』考―春日社百首を中心に―
  • 『大坂物語』の表現
  • 内田百閒「サラサーテの盤」論
  • 幕末・明治期における医学用語の展開
  • 副詞「まさに」の投写機能について
平成24年度
  • 山上憶良の七夕長歌について―表現と構造―
  • 『萬葉集』における女歌について
  • 『万葉集』かぎろひ考―受容と変遷―
  • 日記『玉葉』における言談と古事
  • 入水する女性―長門本『平家物語』巻第十八「髑髏尼事」を中心に―
  • 与喜天満宮像の変遷―長谷寺縁起から豊山玉石集へ―
  • 『道草』論
  • 『檸檬』論
  • 『斜陽』における母と子
平成23年度
  • 萬葉集における「八千桙の神の御世」について
    ― 一〇六五番歌を中心に―
  • 『伊勢物語』第四段試論
    ―平安時代における「とぶらひ」攷―
  • 叡尊と『梵網経古迹記』
    ―『梵網経古迹記輔行文集』を中心に―
  • 「鬼」について―『鞍馬蓋寺縁起』を中心に―
  • 皇甫謐の出処観
    ―『高士傳』・『帝王世紀』・設論を中心に―
  • 鮑照「蕪城賦」の表現と構造 ―五言詩との関わりについて
平成22年度
  • 山部赤人の不尽山歌について―山に対する意識を中心に
  • 「物名」攷
  •  『無名草子』における光源氏像
  • 天平勝宝四年聖武太上天皇歌とその周辺
平成21年度
  • 三輪における遁世者・元賓〜「大三輪神三者鎮座次第」を中心に〜
  • 『古葉略類聚鈔』歌本文にみる『萬葉集』受容の一側面
    ―漢字片仮名混合本文を中心として―
  • 植物を用いた人物造形の方法―「源氏物語」の特異性―
平成20年度
  • 遍照光院頼慶序説
  • 樋口一葉「うつせみ」論
  • 中臣宅守独詠歌の作歌意識
  • 「二十四孝」について
  • 神亀二年難波宮行幸の車持千年作歌試論
  • 柳如是論
  • 『弘児聖教秘伝私』の基礎的考察
平成19年度
  • 西鶴『諸国ばなし』考
  • 小堀遠州『辛酉紀行』の研究
  • 服部嵐雪『其袋』の研究
  • 但馬皇子相聞三首について
  • 谷崎潤一郎『吉野葛』試論
  • 『吾輩は猫である』試論
  • 蘇軾・蘇轍の唱和詩
平成18年度
  • 野坂家蔵謡本の研究
  • 久米仙人再考−七大寺巡礼私記を中心として−
  • 北村季吟『万葉拾穂抄』の研究
  • 芥川龍之介『歯車』試論
  • 樋口一葉『にごりえ』考
平成17年度
  • 天智天皇挽歌群考
  • 『私聚百因縁集』考―その成立と受容
  • 『風につれなき物語』の女院
  • 宗祇の伊勢物語注釈―『山口記』を中心として
  • 鮑照と杜甫―戦争を詠んだ二人の詩人

 

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