スポーツ科学コース

大学院へのいざない

スポーツ科学コース

コース紹介

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スポーツ科学バレーボール大会
―教員・学部生との交流―

本コースは、学部での教育と研究を基礎に、スポーツ行動や身体運動現象を科学的に把握し、社会に貢献できるような研究を目指しています。人間の歴史的所産である運動文化は、具体的には体操・スポーツ・ダンスとして現れますが、この運動文化を学問的にアプローチする視点は、人文・社会・自然の視点など多様です。たとえば、スポーツの歴史、スポーツの心理学、スポーツの社会学、運動生理学、身体表現学などです。したがって、スポーツ科学は、基本的に学際的な学問であり複雑系の科学です。
 これらの性格を十分踏まえて、他の諸学問と関連しながら、スポーツ行動や身体運動現象を理論的及び実証的に研究します。
 近年、産業構造の変化に伴って、自然環境や生活環境の変化が急速ですが、人間を取り囲むこれらの環境的条件をも視野にいれながら、健康・体力・身体運動に関わる社会的ニーズに応えるような教育と研究も重要な課題です。このような実践的な研究は、理論的な研究と共に、今後ますます期待される領域といえます。

概要

スタッフと主な担当授業

  • 井上洋一(教授)  スポーツ法学特論、スポーツ法学演習
  • 藤原素子(教授)  バイオメカニクス特論、バイオメカニクス演習
  • 成瀬九美(教授)  身体表現学特論、身体表現学演習
  • 星野聡子(准教授)  スポーツ生理学特論、スポーツ生理学演習
  • 石坂友司(准教授)  スポーツ社会学特論、スポーツ社会学演習
  • 中田大貴(准教授)  スポーツ行動心理学特論、スポーツ行動心理学演習

この他、非常勤講師をお迎えし、運動文化論特論、身体運動学特論 を開講しています。

修士修了後の進路

本学の修士修了生は博士後期課程に進学し研究を継続するほかにも、さまざまな職域で幅広く活躍しています。

博士後期課程への進学

奈良女子大学大学院へ多数、大阪大学大学院、早稲田大学大学院 等

大学・短大での研究教育職

九州大学、金沢大学、山口大学、埼玉大学、兵庫教育大学、鹿屋体育大学、東京大学、奈良女子大学、大阪府立大学、熊本県立大学、青山学院大学、日本女子体育大学、慶應義塾大学、早稲田大学、国士舘大学、名古屋学芸大学、椙山女子大学、武庫川女子大学、園田学園女子大学、大谷大学、大阪工業大学、天理大学、姫路獨協大学、畿央大学、Harvard Institutes of Medicine、愛知医科大学、関西医科大学、大阪青山短期大学、大阪女子短期大学、奈良佐保短期大学、奈良文化女子短期大学、京都光華短期大学、富山福祉短期大学 等

各種研究所での研究職

独立行政法人自然科学研究機構 生理学研究所、独立行政法人科学技術振興機構 脳科学と社会研究センター、アシックススポーツ工学研究所、松下電器産業人材開発カンパニー、防衛省臨床心理士 等

中学・高等学校教員

(奈良女子大学附属中等教育学校、大阪学芸高等学校、四条畷学園高等学校、畝傍高校 等)

小学校教員

(大阪市立、奈良市立、名古屋市立 等)

幼稚園教員

(奈良女子大学附属幼稚園、宝塚市立幼稚園 等)

一般企業

出版社(メディカ出版など)、マスコミ(日本テレビなど)

資格で自立する

健康運動指導士、社会保険労務士 など

修了生の声

平成6年3月修了 太田裕子さん(京都市障害者スポーツセンター体育指導員・健康運動指導士)

「誰もが楽しめるように、理解できるように」

現在、障害者スポーツセンターに勤務し、車いすを使用している人、脳血管障害の人、ダウン症や自閉症の人、精神に障害のある人など、様々な障害のある人と一緒に水泳や障害者シンクロナイズドスイミング、テニス、卓球、アーチェリーなど、様々なスポーツに取り組んだり、運動相談にのったりしています。2004年は、パラリンピックアテネ大会に当センターを利用する人たちが出場し、大変盛り上がりました。アスリートからご近所の方や子ども達まで、「誰でも運動・スポーツを楽しむことができる」と信じて、どうしたらみんなが楽しくスポーツできるだろうと試行錯誤の毎日です。「障害があるから、できないから」とずっと遠くから眺めているだけだった人が、「やってみると楽しいね」と笑顔を見せてくださったときが一番うれしいときです。工夫次第でいろんなことにチャレンジできる、それがこの仕事の楽しさであり、魅力だと思います。
 運動相談や指導の現場で、つい難しい説明をしがちになるときがあります。そんなときは恩師の言葉を思い出し、誰にでも分かるように...という姿勢で向かうようにしています。
 在学中、運動生理学を専攻していた私は、毎日実験室に入りびたり。「機械には愛情を持って接することがいい研究につながる」と機械を手なづけ、毎日心拍や呼吸の波形とにらめっこ。実験は本当に大好きでした。しかし、英語の文献を読んだり、何度も論文を書き直したり、本当につらくて逃げ出したくなることも。いい論文を書かなくてはと思えば思うほど頭は凝り固まって、筆が進まず、書けずに泣きそうになっていると、「研究に関係のないお店屋さんに分かるように説明してごらん」と担当の先生が声を掛けてくださいました。その言葉が気負っていた心を幾分解かし、文章が進んだことを忘れられません。
 実際の場面に還元できなければいい研究とはいえない。専門用語を並べて説明しても、誰も理解してくれない。より平易な言葉で新しい知識を伝える。在学中に学んだその姿勢を今も大切にしています。

平成2年3月修士修了 手塚かおりさん(大阪労務センター勤務・社会保険労務士)

「奥深い発想を学び、解決方法をまとめる場」

私は、平成元年3月に大学院文学研究科体育学専攻(修士課程2年)を修了し、一般企業へ就職、その後もおよそ「体育学」とは関係ない業界を転職し、現在の職業に至っています。では、修士課程の2年間は無駄だったかというと・・・いいえ、とんでもない!!大学院生活抜きで現在の私は語れません。
 大学院では「好きなテーマを追求できる」ことが魅力です。もちろん、経費等いろんな制約の中ではありますが。私が所属した研究室は、テーマも手法も自分で考えます。指導教官は各人のテーマを解決すべく、経験豊富なアドバイスをしてくださいますが、なんといっても主役は自分です。受身ではやっていけません。何でも自分で考えなくてはなりません。研究室とは、指導教官から与えられたテーマを自分なりにこなすものだと思っていた私にとって、「自分でやること」にかなりとまどいを感じました。でもこの時の「産みの苦しみ」がその後、あらゆる面で大いに役立ちました。私にとっての大学院は、専門性を追究する場であったことはもちろんですが、それよりもっと奥深い発想を学び、解決方法をまとめる場でした。
 大学院修了後、企業の人事部や法律事務、労務管理など、主に「人」に関わる仕事をし続けています。仕事は与えられるものではなく、自分で見つけるものです。今、自分に求めれられているのは何なのか。自分にできることは何なのか。それは私の場合、迅速な事務処理であり、質問に対する適切な回答であり、顧客のニーズに誠意を持って応えることであると思っています。自分磨きはまだまだこれからです。
 横並びの時代は終わっています。ひとりひとりが自分ならではの「キラリ光るもの」を磨く時代です。それは取りも直さず、「自分で課題を見つけ、自分で解決していくこと」に他ならないと思います。私にとって、前向きに、自分なりの視点を持って生きていく出発点が大学院だったと思います。

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