→担当教員情報はこちら
本専攻は,主として文化,言語,歴史を研究対象とする三講座,「文化史論講座」「日本アジア文化情報学講座」「欧米地域文化情報学講座」から成っており,これら三講座間の学際的研究を推進することとを目的としています。歴史都市「奈良」において研究することの利点は,個別の学問領域において豊かな歴史資料に接近することが容易であるという点だけでなく,また同時に日本アジアと欧米の両文化を比較文化論の視点から分析することを可能にしてくれる点にもあります。本専攻では,文化を情報として扱う視点を重視して,膨大なデータ処理に必要な方法の探求にも力を注いでいます。 |
|
文化史論講座
|
ここでいう文化史とは,歴史学の一つの分野としての狭義の文化史ではなく,より包括的な,広義の人間の営みとしての諸文化の時間的変容を把握した上で,グローバルな観点から諸文化の構造の比較研究,およびその方法の検討を行うことを目的とするものです。したがって,考古学を含め,服飾史などより広い意味での歴史学を中心に,文化を成り立たせている基礎的な構造の把握に努めています。また,近隣の奈良文化財研究所・奈良国立博物館・正倉院事務所等の研究者や機関と交流し,〈古代・奈良〉を起点として諸文化を国際的に比較するという視点から研究を進めることのできる,他大学には見られない独自な講座です。奈良という地利を生かし,実地に即した比較を通して歴史=文化を作ってきた「人間」の総体的な理解を目指しています。 | |
|
日本アジア文化情報学講座
|
本講座は,国語学国文学・中国語学中国文学の文献学を基礎としつつ,それをとりまく文化状況の解明と情報システム化とに視野を広げ,今日的な課題設定のもとに東アジアの明日に繋がる文化研究を目指します。スタッフは,日本,中国文化関係および美学美術史担当の計9人の教員からなり,いずれの時代・分野の研究にも対応できるぜいたくな態勢となっています。また,奈良国立博物館から野尻忠氏,宮内庁正倉院事務所から飯田剛彦氏のお2人を客員教授として迎え,旧来の大学の枠組みを超えた学問の現場に接する講義を実施しています。さらに,情報データ処理の実際に関して,画像ビューア処理ソフトであるイパレットの開発者の津田光弘氏を非常勤講師としてお迎えし,高度で懇切な指導をいただいています。 | |
|
欧米地域文化情報学講座
|
本講座は,わが国近現代化のモデルとなった欧米文化について深く研究し考察するために,なによりも「普遍的」であろうとしたギリシア文明とキリスト教を基盤として形成されてきたその特質を見極めようとするとともに,そうした視座から,その合理主義・科学主義を日本人としての立場から批判的に検討し,わが国に固有の問題を解明することにも寄与しようとするものです。本講座の基礎を成すのは英語学,英文学,米文学,仏文学,独文学といった領域の研究ですが,それにとどまらず,記号や表象といった多様な観点に立ち,我国の文化とも比較しつつ,欧米の言語文化についての学際的研究をおこなうことを目指していますので,言語システムから文化表象システムに及ぶ広い視野を獲得できるでしょう。 | |
|
【教育理念】 本専攻は,社会事象──言語認識,西欧世界──アジア世界という二つの基軸をたて,それに対応する、文化史論,日本アジア文化情報学,欧米地域文化情報学の3つの講座から成っています。 高度な専門教育を通して,固有の学問領域の研究を深化させるとともに,これまで分化の方向に発展してきた諸科学を,実体的に融合させること,すなわち「諸科学の人間的意味づけ」を追求します。そのため,諸科学の多様性を<文化>として統合する知見を,適切な<情報>として取り扱う方法論によって,<古代・奈良>を基本的視座として,アジアおよび欧米の諸文化との比較研究の上に,広い視野に立った教育研究を行います。
【求める学生像】 人間学の総合的探求を修め,21世紀にはばたく国際感覚をそなえた研究者,高度専門職業人の育成をめざします。
|